今更だけどアレ見よう『ミリオンダラー・ベイビー』/ミラナ・ラヴィーナ

ミラナ・ラヴィーナ

こんにちは!映画好きVtuberのミラナ・ラヴィーナと申します。
今回は大名作ボクシング映画『ミリオンダラー・ベイビー(04)』を今更ながら観ましたので元気な感想記事を書きました!

これがアメリカンドリーム?!

©2004 Lakeshore International. All Rights Reserved.

『ミリオンダラー・ベイビー(04)』はクリント・イーストウッド監督が「自分にとってのアメリカン・ドリームを描いた作品だ」とコメントしているぞうです。
展開を知っている皆様ならお分かりかと思いますが、これがアメリカン・ドリーム!?マジ!?ってなりませんか?イーストウッドの中のアメリカン・ドリーム観、シビアすぎるよ……。

そもそも今回この作品を選んだのはアカデミー賞の主要4部門を独占して世間的に高く評価されているにもかかわらず「落ち込む」「泣いちゃう」という感想を見かけることが多く、そのギャップがずっと気になっていたからでした。

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確かに前半はまさにアメリカンドリームを描いた展開で、境遇に恵まれなかったボクサーが根性とガッツで憧れのトレーナーの下で勝ち続けタイトル戦に挑む!という非常にアツくかっこいい物語でした。
主人公マギーがどんどん成功していく様子は同じボクシングの話ということもあってか『ロッキー(76)』と重なる部分もあり、ここからどう落ち込む展開になるのよ!なんて思っていたんです。
そう、あの試合までは……。(今思い出しても落ち込む)

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でもあの終わり方は……ただ胸糞の悪い映画と切り捨てるにはあまりに優しく真摯で愛がありました。
マギーが尊厳死を望んだのも人生を戦い切ったから、常にファイターでいたいから、という彼女の強い意思を感じました。

あと冒頭スパイス程度に出てくるだけだと思ってた最悪家族が終盤こんな風に効いてくるとは!
でも最悪家族に毅然とした態度を取ったところ、超かっこよかったよ……。

地味にすごいと思ったのは、彼女を半身不随にした対戦相手についてその後まったく言及が無かったところ。
並の人間だったら彼女が世間的にどう扱われているか知りたい、あわよくばバッシングを受けていてほしい、そうでないと主人公たるマギーがあまりにも報われないから……なんて考えてしまうものですが、そういう言及、一切なし!

彼女の残された人生に一切不要だからとでも言わんばかりで、その潔さに感服しました。
でも普通に考えてお見舞いくらいは来いよとか思っちゃいますけど!?(凡人なので……)

イーストウッドという男

ところでみなさんはイーストウッドの映画ってどれくらい観ましたか?

わたしは実はほとんどありません。
最近公開された『クライ・マッチョ(21)』を映画館で観て、人間への優しさと愛がある人なんだなあみたいなことをぼんやり思いつつ、まあこんなもんかあなんてナメた感想を抱いていた自分を殴りたくなりました。

だってもうイーストウッドってマジでめっちゃ映画うまい!!本当にびっくりしました。
これマジで、名作じゃん。(そりゃそう)

展開自体は(中盤の大アクシデントを除けば)全編通してすごく分かりやすくて、こうなるんだろうなと思った展開にきっちり進んでいく感じ。
でも先が読めて飽きるとかではないんです。たぶんセリフ回しがすごくうまい?
そして本当に一瞬たりとも無駄なシーンが無いですね。陰影のぱっきりした画面も印象的でした。

巨匠って言われてる人って本当に映画がうまくてすごいんだ……。(当たり前の感想を当たり前に抱くのもこの記事の見どころです)

あとジジイのモテジョーク、これ結構好きでしたね。『クライ・マッチョ(21)』でもやってたのでイーストウッドの手癖みたいなもんなのかな?

どう見てもおじいちゃんなんだけど、シュッとしてるしお顔もマジでハンサムだしで、女にモテて困るんだわ~wみたいなのが嫌味でも痛々しくもないんですよね。
こういう自分の見せ方が分かってるの地味にすごい。

てかずいぶん股下がなげーなと思って身長調べたら193とか出てきて笑った。スパダリじゃん。
あとwikiに載ってた「速い車と尻軽女にしか興味なかった」みたいな謎の名言好き。
モテジョークはネタでやってんのかと思ったら本人もそういう感じなのかい!というオチがついて面白かったです。

男と男、30年モノの腐れ縁

さて、ここから不真面目感想です。

これマジで意外だったんですが、イーストウッドって男と男(いわゆるBL)を描くのがすげーうまい!
そりゃこんだけ映画がうまければ同性間の友情もいい感じに撮れるんだろうけどそれにしてもすごかった!

一応最初に言っておくとイーストウッド演じるフランキーとモーガン・フリーマン演じるスクラップの関係性の話をしています。
モーガン・フリーマンに萌えることあるんだ…ってわたしも思いました。あるんだよ!

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マギーの初戦にふたりで観戦に来たあたりで、こいつら……仲良くね?と思っていたのですが、そのあと病院にもふたりで付き添ってくれていたのを見てもうこれ夫婦じゃ~んになってしまいました。

スクラップは少しドライというか、自身もボクサーだったからこそ、たとえ身を滅ぼすような戦いだったとしても本人が望むなら選ばせてあげたいという考え方で、対するフランキーはむしろマギーを大切にする思いが強すぎて危ない橋を渡らせたくないという過保護さが見えてくるんですよね。

とりあえず好きにやらせてあげたいスクラップと、大事に育てていきたいフランキー、完全に教育方針の違いで揉める夫婦じゃん。

厳しいのがフランキーで優しいのがスクラップ、という最初に見えた印象が話が進むにつれてひっくり返っていくのも良かった!

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きわめつけは30年来の連れ合いだというだけでもかなり強いのに、フランキーが選手を大事にしたいと思う理由はかつてスクラップが視力を失ってしまった試合を止めることができなかったからという…ね!
エモ…エモくない!?この関係がエモじゃなかったら何?!

あと靴下で謎に言い合いするくだりなに?いる?いるよな、わかるよ。
こういう日常の積み重ねがcouplingに厚みを持たせるからね……ありがとうイーストウッド……。

ということで今回は『ミリオンダラー・ベイビー(04)』の感想でした。
イーストウッド監督作品は『パーフェクト・ワールド(93)』や『グラン・トリノ(08)』も気になっているので、そのうち観られたらいいな~と思っています。

さて、次回は何を観ようかな!

ミリオンダラー・ベイビー作品情報

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「グラン・トリノ」「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッドが監督・主演のヒューマン・ドラマ。小さなボクシング・ジムを営む老トレーナー、フランキー。ある日、31歳になる女性マギーがフランキーに弟子入りを志願するが、追い返してしまう。フランキーの親友スクラップは、諦めずジムに通うマギーの素質と根性を見抜き、目をかける。フランキーはついにトレーナーを引き受けるのだが…。

 

原題:Million Dollar Baby
製作年:2004年
上映時間:133分
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ヒラリー・スワンク

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