

ある日の昼下がり、晩飯の買い物を終えた私は激烈にボンヤリしながら駅前を歩いていた。
するとなにか、驚いたりすることがあったのかなんなのかは知らないが、突如周囲のハトが示し合わせたように一斉に飛びたったのだ。
「おお。ジョン・ウーだ」
反射的に思った。
よく見るアレな。アレ。
Wikipediaの「ジョン・ウー」のページにも代表的なジョン・ウーアクションのひとつとして「戦闘中に舞い飛ぶ白い鳩」が挙げられている。
が、しかし。すぐにこうも思い直した。
「俺、ジョン・ウー見たことないな」


恥ずかしい。
元ネタを見てもいないミームについて、ふと思い出してしまうという行為が。
見るべきだ。いい加減ジョン・ウー作品を、なにかしら。
そんなことを思わずSNSに呟いたところフォロワーから朗報が届いた。
「今度、神保町で『男たちの挽歌』と『2』やりますよ…」
見に行くかァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!
こんなにちょうどいいタイミングはない。なにかの縁やろ。そんなわけで今回は神保町シネマリスにお邪魔して『男たちの挽歌』と同『2』を見てまいりました。
思ってたんと結構違う!!!


神保町シネマリスにははじめて行ったんだけどびっくりしちゃったね。ここ元・神保町ヴィレッジヴァンガードじゃねーか!!! いつのまにかミニシアターになってたんだ。知らなかった。


で 見始めてまたもやびっくりしてしまった。
え!?!?!?!?!? ポスターの人、主人公じゃないじゃん!!!!!!! 「主人公の相棒」ポジションだし、なんなら「主人公パワー」みたいなものは主人公の弟の方が強いじゃん!?!?!?!? ビックリした。


いや、見方・言い方によっては「3人の主人公のうちの一人」と 言えないこともないけど……。やはりあくまでサブキャラというか……。
あとこの、紙幣でタバコに火をつけるシーンもめちゃくちゃ序盤なのな!!!! 映画が始まって4分くらいでもう出てきてビビっちまったぞ。心の中で「えっ!? もう!?」って叫んじまった。なんかこう、勝手に中盤〜クライマックスのエモいシーンとかかと思ってたのに、めっちゃ序盤の、「輝かしい平和な日常〜」みたいなシーンだったんですね。いや偽札作ってるんだけど!
マークはカッコ良すぎる
しかしまあ、ポスターの人……チョウ・ユンファ演じるマークは抜群にカッコいい。正直物語のドラマ的には主人公たるホーや、その弟であるキットに比べてやはり薄い、サブキャラとしか言いようがないんだが、それでもなぜかマークが出てくると急に画面がビシッ! と締まって「うおお! カッコいいぜ!」と思わせてしまう何かが間違いなくある!


とくに台湾マフィアに報復に行くシーンは痺れたね。
敵のところに乗り込む直前、植木鉢にピストルを隠しておくマーク。最初は何やってんだ? と思ったが銃撃戦が始まってからその意図に気付いた。


マークは2丁拳銃で戦う。2丁で撃ちまくることによって圧倒的多数の相手にほとんど反撃を許さないまま殺戮を行う。だが2丁拳銃には致命的な弱点がある。リロードが非常に困難なことだ。じゃあ撃ち切ったらどうする!? そこでさっきの植木鉢ですよ。それまで撃っていた銃を捨て、植木鉢で銃ごと取り替えてまたもやバーン! 相手は死ぬ!


か、かっこいい〜〜〜!!!!!!
年代的な順序は逆なんだけど、昔『リベリオン』で見た「戦いが始まる前に弾倉をフィールドに転がしておく」シーンを思い出した。アレもかっこいいんだよな!
「2丁拳銃はリロードできなくて不利だから使わない」というのは甘ったれの発想だ。本当にできる男は「じゃあどうしたらその弱点を克服できるか?」を考えるんですよ。かっこいいぜ、マーク……! あとジョン・ウー!
シンは……頑張っとる!!!
お話自体はやるせないハードボイルドなお話というか、不器用な男たちの悲しい話って感じでボンヤリ見ていれば「かっこいい」「泣ける」「切ないぜ」って感じで順当にイイハナシダナーってなれるんだけど、よく考えると「なんか変じゃね???」ってところもチラホラある。
個人的に一番「アレ…?」ってなったのは、本作のヴィランともいえるシンの存在だ。


シンは元々、ホーとマークの弟分であった。
台湾マフィアとの取引の場で、その場にいた台湾マフィアボスの甥の裏切りにあったホーとシン。ホーは自分が自首して囮になることでシンを逃し、3年服役する。
娑婆に戻ってきたホーが見たものは、出世して組織のナンバーツーにまでなったシンと、雑用係になっている相棒マークの姿だった……!
その後もなんやかんやでホーとシンは敵対し、最終的にラスボスになるわけなんですが……。なんか……。
別にシンってホーやマークを陥れたわけではないんだよな。
台湾で警察に追われる場面で、キレたホーが「お前が裏切ったのか!?」って怒るシーンがあったけど、あれもシンが否定した通り「だったら一緒に逃げてないでしょ!?」に尽きるし……。その後のマークや台湾マフィアの動きを見ていても、あれは台湾マフィアボスの甥の独断行動であって、シンが糸を張り巡らせた陰謀ってわけではないと思う。


と、いうことはシンは真っ当に、自分で努力してナンバーツーまでのし上がったんだよな……?
ホーとキットの父親が殺されたのもシンは関係ないし……。
もちろん、その後の所業は許されたものではない。マークをリンチしたり、言うこと聞いてくれなくてカタギに戻ろうとするホーに暴力的な嫌がらせを繰り返す。弟を殺そうとする。殺し合いの大決戦が繰り広げられるには十分すぎる理由がホーとシンにはある。
ただなんか……物語全体を司るほどの因縁があるかっていうと無いというか……言ってしまえばシンって、ただ「クソ生意気な後輩の上司」ってだけだよね!?
マーク視点だとマジでそれだけだろ!?


全然ね、不満とかそういうわけじゃ無いんだけど思い返すとアレ…? って点が多々あるというか……面白いんですよ!? 全然心に残る映画でした。見てよかった。ちょっと変なところはあったけど。
とか言いながら帰って次の日の昼、続けて『2』を見たら……おい!!!!!!! こっちはもっと変な映画じゃねえかよ!!!!!!! どうなってんだ!!!!!!!
というわけで次回は『男たちの挽歌2』について書きます。変すぎた。お楽しみに。







