

以前、ディズニーのOVAについての記事を書いた者ですが、巡りあわせなのでしょうか「シンデレラ」の試写を観る機会を頂きまして、今回もファンタジ~なカンジでハッピ~なんですよ。
「シンデレラ」といっても色々ありますが、今回紹介しますのは3月17日公開のノルウェー映画、『シンデレラ / 3つの願い』です。


2021年11月に本国で公開され、4週に渡って(あのヴェノムを抑え!)興行成績1位を獲得した本作。歴史あるノルウェー国際映画祭・アマンダ賞において「最優秀子供向け映画賞」「最優秀コスチューム賞」を受賞したほか、「最優秀助演女優賞」「最優秀メイクアップ賞」にノミネートされました(※)。
公式サイトからあらすじを引用しておきます。
”主人公は美しく、弓や乗馬が得意で勇敢な娘・シンデレラ。そして王家の伝統に縛られたくない王子。舞踏会の始まる数日前、2人は偶然出会い惹かれ合う。互いの名も知らぬまま離れ離れになった2人だが、ある日シンデレラは魔法の力を手に入れる。しかしその魔法が使えるのはたった”3回”だけ。果たしてシンデレラは王子に再会することはできるのか──。”
はいなんでしょう?
「私の知ってるシンデレラと違う」?
………………。
そりゃそうやろがい!!
世の中にはいろんなシンデレラがある……
実は、「シンデレラ」という物語の起源を辿ると、紀元前まで遡れてしまいます。そこから派生した(あるいは偶発的に類似した)お話の数も膨大で、それらを網羅しようと思うとこの記事は映画を紹介する前に終わってしまいます。ガラスの靴やカボチャの馬車があったりなかったり、魔法使いが出てきたり出てこなかったり、色々なバージョンがありますよ。
本作『シンデレラ / 3つの願い』は、これまでに書かれてきた様々な「シンデレラ」の要素を混ぜ合わせた、いわばハイブリッド・シンデレラであるといえます。


©️2021 STORM FILMS AS ALLE RETTIGHETER FORBEHOLDT
大切な情報をふたつお伝えします!
①怖い映画ではない!!
少し前に『本当は怖いグリム童話』とかが話題になったりもしましたから、本作もそうなのではないかと思ってらっしゃる方がいるかもしれない。原作にあったように、シンデレラや森の動物たちが次々とキルを取りにいったらどうしよう……それは杞憂です!
思い出してください。
この作品が「最優秀子供向け映画賞」を受賞していることを!!
この映画はどなたでも安心して観られますし、さらに言えば「子供向け」とは「子供が観ても大丈夫」であって、大人が楽しめないという意味ではありません。誰もが楽しめる映画です!!
②既存の要素の組み合わせでは終わらない!!
これが、作品に新鮮さをもたらしている理由だと思います。
では具体的に今までの「シンデレラ」とは何が違うのか、順を追って書いていきます。キャスト紹介からどうぞ。
●主役も脇役も、魅力たっぷりなキャスト陣!
作品中でとりわけ出番が多いのは三人です。
まずいわずもがなシンデレラ。
シンガーソングライターのアストリッドS(Astrid Smeplass)さんが演じています。
本国では彼女の楽曲が幾度もプラチナディスクに認定され、国外においても2017年にケイティ・ペリーさんの楽曲にバックボーカルとして参加するなど、その実力は高く評価されています。
なお、本作が映画初主演ということで、初々しくありながらも強い気持ちを秘めた、新しいシンデレラ像を表現なさっています。


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本作の舞台は雪国の小さな山村で、人々にとって狩猟が生活の一部になっているわけですね。それでシンデレラにもスキルが備わっていて、弓を握らせればそれはもうものすごいエイムをします。心の強さがエイムにも出ている。心身たくましく、キツイ仕打ちにへこたれません。素敵です。
王子を演じるのはセンジス・アル(Cengiz Al)さんです。


テレビシリーズ『SCAM』でデビューし、その後映画界にも進出。着実にキャリアを積み上げている25歳の若手俳優です。
この作品での王子は基本的にのびのびやっていきたい人なんですね。結婚とか国を守るとか、そういうのはいいよ~って感じで、城を抜け出して狩りに興じたり、国王達がド真面目に会議をしているところにパジャマ姿で現れたりします。藤井風か!?
だけどやることばっちりやってる。弓もダンスもうまいし、生意気だけどイヤなやつじゃない。素敵です。
素敵といえば王子の直属の部下ふたりもノリがよくていいカンジ。作品の清涼剤です。


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そして前述の「最優秀助演女優賞」にノミネートされたエレン・ドリット・ピーターセン(Ellen Dorrit Petersen)さんはシンデレラの継母を演じていらっしゃいます。


この人の存在感がすごいんですよね~。
基本誰にでもいじわるなんですが、シンデレラに対してはものすごくいじわるです。印象深いのは机にぶちまけたスパンコールをひとつひとつ色別に仕分けろと命令するシーンなんですが、今まで観た「シンデレラもの」の中でおそらく最も限定的かつねちねちした嫌がらせです。
まあでもそれよりなんといっても髪型すわ。


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ひとりティム・バートンてなカンジで強烈ですが、この髪にはしっかりギミックが仕込まれていますので、最後まで注視してくださいね。
他にもシンデレラの大切な理解者である村のおじさん(この人メチャ好きです)とか、王子に散々振り回される大臣のおじさんとか、印象に残る人物がたくさん登場します。こうして登場人物をさらっていくだけでも作品の雰囲気を感じ取れますが、次はいよいよそろそろ本作のキーワード「3つの願い」について。
●「3つの願い」……あなたならどうする??
願い事を叶えてもらうお話もやっぱり色々あるんですが、私が思い出すのはまずディズニーの『アラジン』ですね。あいつはひとつ誤魔化してますけどね。3つと言われて4つ叶えています。
同類項では『ジョジョの奇妙な冒険』のモハメド・アブドゥル。あいつもゴリ押しで4つ叶えてますよね。本来3つなんですけどね。
それと、ちあきなおみさんの『4つのお願い』という楽曲。「4つのお願いをきいてくれたら私はあなたに恋します」といった歌詞なのですが、1番・2番・3番で願いの内容がすべて違うために、結果的には12つのお願いになっているというしたたかな曲です。
こうして挙げてみると、規定通りの数だけ叶えてもらうパターンというのが本当に存在するのか怪しくなってくる。
ですが、確実に存在します。
それが、本作です。


フライヤーでシンデレラが持っている木の実がキーアイテムです。あるきっかけで手に入れたこの実が、ひとつ割れると願いがひとつ叶います。実のストックが切れそうになったらバックヤードから持ってくるとかそういうことは全くできませんので、正真正銘、チャンスは3回だけです。
もちろん「3つの願い」が何であるかはここに書くことはできませんので、みなさんぜひ予想してみてください。3つ全部を的中させられたらすごいですよ。劇場に足を運び、「3つの願い」の全貌を知り、そこにあるメッセージを噛み締めてほしいなあと思います。
ちなみに、作品の原題は「Three Wishes for Cinderella」なのですが、”for”ってどういうことなんだろう? ヒントはここまでです。
●結論…「新しい!」のに「安心!」できる必見作!


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再び公式サイトから引用させていただきます。
”誰もが知る『シンデレラ』が新解釈で生まれ変わる!”
まさしくこの通りでした。
シンデレラを観ているのにシンデレラじゃないみたい、と感じる瞬間がいくつもありまして、それは今まで述べてきたような既存の作品との明確な違いだけでなく、たとえば台詞回し、たとえば人々の関係性、そうした細かな部分でも「新解釈だ~!」と思わせてくれます。実のところ、どのように物語が展開していくのか、予想できないのです。この感覚はとても新鮮でした。
だけどそれは奇をてらうという意味ではありません。様々なアレンジで鑑賞者の興味を惹き続け、気が付けばあっという間にエンドロール。そのとき、みなさんの心はすごくあったまっているはずです。これはわたし個人の気持ちですが、安心して観られる映画が一番好きです。


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なお、私の観た試写は字幕版でしたが、日本語吹き替え版ではシンデレラを内田真礼さん、王子を仲村宗悟さん、継母を深見梨加さんがそれぞれ担当されています。
色んな作品に引っ張りだこの実力派である内田さん、「THE FIRST SLAM DUNK」での宮城リョータ役が記憶に新しい仲村さん、そしてアンジェリーナ・ジョリーさんの担当声優としても知られる深見さん。全員ぴったりのキャスティングではないでしょうか!
あと! ノルウェーいうたらオーロラ!! オーロラがメチャクチャ綺麗なカットがあります!! 劇場の大きな画面で観てほしいです!!
最後に私の3つの願いを教えましょう。
①本作を字幕版で観てほしい!
②吹替版でも観てほしい!
③どっち版でもいいので最後にもっかい観てほしい!!
叶えてくれ……。
シンデレラ / 3つの願い
3月17日(金)公開!!
ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、
アップリンク吉祥寺 ほかにて全国ロードショー!
監督:セシリエ・A・モリス
出演:アストリッドS、センジス・アル、
エレン・ドリット・ピーターセン / 他
2021年 / ノルウェー / ノルウェー語 / シネマスコープ / 87 分
配給:プルーク、エクストリーム
©️2021 STORM FILMS AS ALLE RETTIGHETER FORBEHOLDT
★映画公式サイト(上映劇場一覧もこちらから)
https://cinderella-3wishes.com/
(※)出典: https://www.imdb.com/event/ev0000876/2022/1/
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