映画『ベロゴリア戦記』第1章&第2章レビュー!ロシアが異世界転生ものを作ったらこうなった!

日本でも様々な作品が誕生し、ジャンルものとして地位を築いた「異世界転生もの」

人間界では冴えない主人公が異世界で最強のステータスやパワーを手にする、いわゆるチート展開が見どころのジャンルです。

実はこのジャンルに目をつけた国があります。なんとあのロシア(それもディズニー)です。ロシアといえばミリタリーファンからも支持を集める「パワー!」な国。「別にチートなんかなくても強いだろ…」と思うかもしれませんが、これがガッツリ異世界転生ものの映画を作っていました。

今回はディズニー・ロシアが制作した異世界転生映画『ベロゴリア戦記』の第1章(11/26公開)&第2章(12/3公開)をレビューします!

映画『ベロゴリア戦記 第1章』概要

人気TV番組に魔術師として出演するイワン。もちろん魔術が使えるわけではなく、孤児院で育ち口先だけで生き抜いてきたペテン師。騙した相手は数知れず、その日も嘘がばれて逃走劇を繰り広げる中、プールのウォータースライダーに逃げ込む。だが、そこを抜けると全く見覚えのない世界が目の前に広がっていた―。待ち受けていた老爺から、ここはイワンが生まれたベロゴリア王国で、イワンは伝説の戦士イリヤが人間界に隠した息子だと聞かされる。そして、闇に支配されようとしている王国を救う救世主として召喚されたというが、イワンが手にしていたのは電波の届かないスマートフォンだけだった―。(公式サイトより)

(C)Disney 2017 (C)YBW Group 2017

最先端のVFXを駆使してファンタジー世界を描いた本作は、ロシア版アカデミー賞と言われる「ゴールデン・イーグル賞」にてメークアップ賞と特殊効果賞を受賞するクオリティ。さらにスラヴ民話に登場する魔女“バーバ・ヤーガ”をはじめ、ロシアでは魚の支配者とされ、東欧では水の妖精として各国に伝わる“ヴォジャノーイ”といった、おとぎ話のキャラクターも多数登場します。彼らに限らず、登場人物の多くは民話のキャラクターをモチーフにしていました。

日本だと第1章と第2章の上映間隔が1週間ですが、ロシア本国では2017年に第1章、2021年に第2章が制作されました。そして2021年12月にはロシアで第3章が公開されるなど、本国での勢いが凄まじい作品です。はたして日本から見たロシアの異世界転生ものとはいかに…?

後ろめたい過去を持つキャラが多すぎぃ!

(C)Disney 2017 (C)YBW Group 2017

華のディズニー(?)映画である本作ですが、なんと主人公・イワンはペテン師。自称魔術師を名乗りテレビ番組でその妙技を披露しますが、実際はカネでスタッフを買収しているだけ。主人公が冴えない・非力な設定ならまだしも、本作は四捨五入したら犯罪者みたいなヤツです。ただ「病で死にそうな人を魔術で助けて!」という依頼に対しては逃げ出してしまうなど、人を騙すのにも彼なりの限度を持っている様子。

(C)Disney 2017 (C)YBW Group 2017

そんなイワンが迷い込んだ異世界「ベロゴリア」にはファンタジーならではのキャラがたくさん…と思いきや、これまたイワンと行動をすることになるキャラにも後ろめたいヤツがいました。牢屋で「封印されしエグゾディア」みたいに監禁されているコシチェイ自分の師匠が不死身になるチャンスを横取りして不死身の体を手に入れているし、謎の老婆バーバ・ヤーガは600歳になってもお尋ね者

唯一、ヒロインであるヴァシリーサだけが魔術師によってカエルになってしまった家族を救うため、コシチェイと共に行動している健気なキャラです(しかも強い)。チーム構成がマ・ドンソク主演の痛快アクション『バッド・ガイズ』のそれでした。

ファンタジーらしくない物騒な物言いや武器があり過ぎぃ!

(C)Disney 2017 (C)YBW Group 2017

今作のユニークな点は主人公が異世界で急激に強くなるのではなく、現実世界のガジェットや武器を持ち込んで戦おうとする点です。

イワンは伝説の戦士・イリヤの息子であり、彼だけが扱うことのできる“伝説の魔法の剣”を探すことになります。しかしその間は人間界の物を持ち込んで戦ったり、老婆の強力な私物を勝手に使うor盗むなどしてチームに迷惑をかけます。挙句の果てには余計な事ばかりしすぎて600歳の老婆に「死ね」と言われる始末。ホントにディズニーか…?と思う発言まで喰らっています。

イワンが持ち込んだ武器も普通に子どもに見せたくない、ガチの殺傷力高めなやつなので、ファンタジー映画なのにアングラ感の強い武器が登場するのも面白いです。伝説の魔法の剣の出番も、敵を倒すよりイワンが自宅に帰るときに使用することが多いというシュールさ(後術)。ロシアのファンタジーは結構大人向けかもしれません。

映画『ベロゴリア戦記』第2章の見どころとは…

イワンたちの活躍によって平和を取り戻したベロゴリア王国。イワンは毎日のように魔法の剣を使い人間界と王国を行き来し、最新家電を王国に持ち込んで快適な生活を送っていた。しかし、恋人となったヴァシリーサは文明を嫌い、結婚して人間界に引っ越すことには消極的だった。そんな中、各地から戦士が集まり力比べの競技会が開催されるが、イワンは能力がなかなか目覚めず、さらには恋のライバルも現れて苛立っていた。ヴァシリーサにアピールするため一念発起して競技会に参加するが、そこにヴァルヴァラが魔法の剣を奪うために再び現れる。しかし、魔法の剣はイワンの使い過ぎで魔力を失っていた―。(公式サイトより)

異世界版「SASUKE」が見られる『ベロゴリア戦記』第2章

(C)Disney 2020 (C)YBW Group 2020

ネタバレもあるので多くは語れないのですが、第2章の目玉はやはり異世界版「SASUKE」(戦士たちの競技会)でしょう。腕に自信のある戦士たちが丸太の上を歩いたり、壁をよじ登ったり、ドラゴンが吹く火を避けて進んだり、ショットガン(コロボーグ)タッチをしたり…。制作陣の中に絶対「SASUKE」ファンいるなこれ…。ちゃんとステージから落下すると泥まみれになるのも芸が細かい。

(C)Disney 2020 (C)YBW Group 2020
↑邪悪な敵によって破壊されるベロゴリア版「SASUKE」のステージ…嗚呼…

無論「SASUKE」は見どころのひとつであり、最大のポイントは前作で登場したキャラに意外な秘密が隠されていたり、イワンが全然異世界に馴染む気がなかったりといった要素です。イワンは最新家電をどんどん異世界の住まいに持ち込んでいるので、いま日本でも流行り(?)の二拠点生活者になっているだけという。

また、実際の制作期間は前作から4年経過していることもあり、ヒロインのヴァシリーサがめちゃくちゃ大人っぽくなっていました。

(C)Disney 2020 (C)YBW Group 2020
5割くらいヴァシリーサ目当てで続編を鑑賞していました。すいません…。

前作と同様に、第2章でも魔法の剣の出番は敵を倒すときより、イワンが人間界に戻るときのほうが多いです。イワンが人間界と異世界の行き来をするためには剣の魔力が必須ですが、往復しすぎたために魔力が尽きてしまいます。イワンが頻繁に剣の魔力を使った理由。それは異世界が嫌になったり、人間界の最新ガジェットを持ち込むため。「もう異世界転生やめちまえ!」と言いたくなる理由がシュールです。

魔力が尽きると剣は武器としても使えなくなるため「ブレス オブ ザ ワイルド」のマスターソード(※)を思い出してちょっとニヤニヤしてしまいました。

(※)他の武器が使用し続けると壊れるのに対し、マスターソードはある程度使用すると装備ができなくなる。時間が経つと剣に力が戻って再び装備できる。

(C)Disney 2020 (C)YBW Group 2020

すでに公式サイトでも第2章のあらすじが掲載されていますが、第1章の終わり方はちゃんと続編が気になる形で締めています。「え!〇〇が●●なの?」みたいなニクい演出で終わりますが、続きが気になるままロシアでは4年も待たされたのかと思うとおそロシア…。日本なら1週間後にはそのモヤモヤが晴れるので安心です!

映画『ベロゴリア戦記 第1章:異世界の王国と魔法の剣』作品情報

(C)Disney 2017 (C)YBW Group 2017

公開日:2021年11月26日
原題:The Last Warrior
制作:ロシア(2017年)
上映時間:114分
配給:アルバトロス・フィルム
キャスト:ビクトル・ホリニャック/ミラ・シバツカヤ/エカテリーナ・ビルコワ/エレナ・ヤコブレワ/コンスタンチン・ラブロネンコ/イェフゲニー・ディアトロフ
監督:ドミトリー・ディアチェンコ
脚本:ビタリー・シュリャッポ/ドミトリー・ジャン/ワシリー・クツェンコ/パベル・ダニロフ/イゴール・トゥドバセフ
撮影:セルゲイ・トロフィモフ
美術:グリゴーリ・プーシュキン
音楽:ジョージ・カリス

映画『ベロゴリア戦記 第2章:劣等勇者と暗黒の魔術師』作品情報

(C)Disney 2020 (C)YBW Group 2020

公開日:2021年12月3
原題:The Last Warrior: Root of Evil
制作:ロシア(2021年)
上映時間:121分配給:アルバトロス・フィルム
キャスト:ビクトル・ホリニャック/ミラ・シバツカヤ/エカテリーナ・ビルコワ/エレナ・ヤコブレワ/コンスタンチン・ラブロネンコ/セルゲイ・ブルノフ
監督:ドミトリー・ディアチェンコ
脚本:ビタリー・シュリャッポ/ドミトリー・ジャン/ワシリー・クツェンコ/パベル・ダニロフ/イゴール・トゥドバセフ
撮影:セルゲイ・トロフィモフ
美術:グリゴーリ・プーシュキン
音楽:ジョージ・カリス

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