「平成ライダー令和ライダーおもしろ~い! 昭和ライダーも見てみよっかな」となっている人がいたとする。これは大変だ。聞かれてもいないのにお勧めをしたくなってしまう。
ここで問題なのは、やはり「どれを見るべきか」という点だ。「どう考えても初代だ!」という人もいれば、「大人気作品V3に決まってんだろ!」という人もいるだろう。「いやブラックだ!」「一本の映画作品で見やすいZOだ!」「ハァ~!? ZOは平成ですけど」「公式は昭和ライダーって言ってます~!!」などと醜いバトルが始まりかねない。
俺(この記事を書いているナ月という者です)も昭和ライダー全部見てるわけではないし、あくまでも「絶対絶対これがおすすめだよ!」という記事ではないが、提案の一つとして読んでほしい。
昭和ライダー、『仮面ライダーアマゾン』から見るというのはどうだろうか。俺は成人してから仮面ライダーアマゾンを見てめちゃめちゃ大好きになった。
以下、楽しみを損ねない程度に仮面ライダーアマゾンのネタバレが含まれる。しかし仮面ライダーアマゾンは全部ネタバレされていてもなお面白いから安心してほしい。
仮面ライダーアマゾンってどんなの
仮面ライダーシリーズ四作目『仮面ライダーアマゾン』
南米アマゾンの奥地で野生児として育った日本人、山本大介(作中ではずっとアマゾンと呼ばれているぞ)!! 悪の組織ゲドンがインカの秘宝ギギの腕輪を狙っているぞ!! 長老バゴーはギギの腕輪を守るために腕輪を山本大介に移植!! 日本へ逃げるように導くぞ!! 日本へ行ったはいいけど半裸のまま文明社会に翻弄されるわゲドンが腕輪を狙って結局日本まで追ってくるわ日本にいるはずの協力者は死ぬわでさあ大変!! でも腕輪の力で仮面ライダーアマゾンに変身して戦うぞ!! みたいな話。
デザインがめちゃめちゃかっこいい。いや、もしかしたら最初はギョッとしてしまう人もいるかもしれないが、見ていたらカッコよく思えてくるのは現代のライダーでもお馴染みの流れだ。
アマゾンがいいと思う:1 長さがちょうどいい
仮面ライダーを見ている人間が今更長さをネックに思うかはわからないが、「ちょっと昭和も見てみよっかな」くらいの興味なら短いに越したことはないはず。
仮面ライダーアマゾンをお勧めしたい理由の一つが、そのちょうどいい話数だ。全24話、仮面ライダーアマゾンはたった2クールしかない。短いからといって物足りないわけではなく、欲しい要素はギッチリ詰まっている。この短さで悪の組織を2つもぶっ潰す凄まじいタイパの良さを誇っている。
今ネタバレしたように、アマゾンでは途中で悪の組織が交代する。それと同時に作風が切り替わって「怪奇! 流血! 暴力!」みたいな前半と、「楽しくド派手!」な後半で二度美味しいのもお勧めポイント。飽きない。
アマゾンがいいと思う:2 単独の作品として良い
初代~Xライダーと一緒に戦っていた立花藤兵衛はレギュラーキャラとして続投しているものの、この『仮面ライダーアマゾン』の時点では他の仮面ライダーとの繋がりはまったく気にしなくていいのもとっつきやすいポイントだ。
それでいて、やけに平成以降の作品にもゲスト出演が多いので見終わった後の楽しみも多い。後に説明するが、もちろん仮面ライダーアマゾンズをより深く楽しむのにも役に立つ。
アマゾンがいいと思う:3 ちょうどいい楽しさの「粗さ」
仮面ライダーアマゾンに登場するモグラ獣人というキャラクターがかなり良い。モグラ獣人に出会うためにアマゾンを見てもいいくらい良い。モグラ獣人のために見てくれ。
名前からお察しの通りこいつは悪の組織ゲドンに属するアマゾンの敵として登場するが、作戦に失敗してボスの十面鬼に罰として天日干しにされてしまう。(十面鬼はしくじった部下は大抵殺すのでかなり温情処置ではある)
天日干しされているところをアマゾンに救われ、その後なんだかんだ仲間になる。マジで可愛い。
人間社会に馴染もうとしているのかなんなのかよくわからないが、音楽を聴きながら「なんだかよくわからないけど慣れなきゃな~」などと言っている死ぬほど可愛いシーンがある。
アマゾンの友達のまさひこ少年と一緒にいるシーンが多く、まさひこからはずっとめちゃめちゃに舐められている。この舐められっぷりも可愛いし、二人の関係も楽しい。
大ネタバレすると モグラ獣人は大活躍した後で死ぬが、まさひこの舐めがあるからこそ彼の最期の言葉が泣ける。
アマゾンがいいと思う理由:5 暴力
暴力シーン、というかアクションシーンがかなり痛快で楽しい。特に番組前半の暴力っぷりがたまらない。
仮面ライダーアマゾンは敵との戦いになってもなかなか変身しないのが特徴。生身アクションがかなり多い。しかも前半のアマゾンはほとんど裸なので、裸のまま昭和特有の無茶苦茶なアクションをやっていてヒヤヒヤする。昭和ならではの無茶苦茶さは昭和作品でしか楽しめない。
そしてアマゾンは逆に言えば、変身しなくても敵の獣人とどっこいどっこいの強さということにもなる。変身後はまず負けないくらい強い。
生身のままの戦いで焦らして焦らしてからお馴染みの「アー!マー!ゾーン!」の絶叫で変身。敵を引きちぎる。この流れがたまらなく気持ちいい。
敵を切断した後の流血なんか「何もそこまでせんでも」ってくらい景気良く血が噴き出るのも最高。
アマゾンがいいと思う理由:6 アマゾンズをより深く知るために
こんなところを読んでいるみなさんはご存知だと思うが2016年にAmazonプライムビデオで公開された『仮面ライダーアマゾンズ』はこの『仮面ライダーアマゾン』のリメイク的な作品になる。こちらも大名作。
物語としての直接的な繋がりはないが、『アマゾン』を見てから『アマゾンズ』を見るとあらゆるシーンで「あれだー!!」となる。もちろん逆に、アマゾンズを見てからアマゾンを見ると「あれってこれか!!」ともなってオタク的には間違いなく楽しい。モグラアマゾンとか。
提案
他にも熱い主題歌とか、最初はカタコトだったアマゾンがどんどん日本語ペラペラになっていく様子とか、最初はバイクを恐れて海にぶん投げていたアマゾンが友のためにバイクに乗る熱さとか、誰にも理解されなかったアマゾンが徐々に受け入れられていく暖かさとか、「これがゲドンの不思議なやり方だよ」「しかし不思議だ」「ああ、不思議だ……」という味わい深い会話とか、お勧めポイントがいっぱいある。
2話までユーチューブでタダだから、とりあえずここから入ってみる……というのはどうだろうか。