難しい話なので少し冷静に語ります。常に真剣ですけど冷静にはなります。
「恋愛もの」という括りがめちゃくちゃ広大なので一概に言えない話ではあるのですが、自分の身の回りの人や、自分が「あーこの恋愛もの苦手だなー」って感じる時があります。
関係性がないがしろにされた時です。
恋愛感情、という引力のように作中で設定されている概念でそれまでの積み重ねもなくキャラの関係性が進展させられた時の「え、どういうこと」という感じというか。
『出会って4秒で合体』みたいな展開を平気でするよね。あいつら。
恋愛感情というものをある種の絶対的に上位の本能的な衝動として描かれていて、それを読者に対して前提とされる、強要されることへの忌避感、そういったものが「恋愛もの苦手」という言葉になることはあるかなと。
多分そうかもしれないですね。それって裏返せば『恋愛経験のない(少ない)奴は異常者!劣等!粉砕!』ってことじゃないですか。それに対して反発する気持ちもあるし、悲しみも覚えるのでフィクションにおける恋愛要素が苦手です…
結構言われている話ですが「壁ドン」とか「俺のものになれ」とか言われるのって、ときめく人もいるけど「はぁ?いきなりなんだこいつ」ってなる人も十分いるわけじゃないですか。いや、私壁ドンされるシチュも「俺のものになれ」とか言われるシチュも好きなんですけど、それが万人に受けるものでないことはわかる、というか身の回りで嫌いな人もいる。
あと寝ている人間にこっそりキスするとか。「それ同意じゃないのにやっていことじゃねえから!」みたいなツッコミあったりしますよね。
でも恋愛もので時に「恋愛感情」という免罪符でそれを良い描写、として肯定的に描かれることがある。それにいやな気持ちになる人はいるんじゃないでしょうか。
準強制わいせつ罪に当たりますもんね。
ここ数年で「関係性」という表現がよく使われるようになったと思います。多分それは恋愛感情とかだけが人間の強い結びつきでなくて、もっと多様な関係があるという意味もあるのではないでしょうか。多様であったはずの存在・関係が、恋愛という枠組みにはめた瞬間に紋切り型の存在・関係になる、そういうことが嫌、というのはあるのではないでしょうか。
そういう意味で僕ヤバは恋愛感情を扱いながらも「関係性」に対して真摯に書いている作品だと思います。
僕ヤバがどんな話か、というのをやや発狂しながら語った時に「偶像を超えてお互いを理解しようとする話」と語りました。市川は市川京太郎という存在のまま、山田杏奈という少女と関わろうとします。もちろんその過程で勇気を振り絞り、ささやかながら全力で行動する時もありますが、それでも市川は市川のままです。ある日突然陰キャな性格であった市川がパリピになるわけではありません。山田もまた山田杏奈という存在のまま市川京太郎という存在と関わります。
市川は山田がカーストの頂点で、モデルで、大人びているという印象だから好きになり好きでいるわけではありません。
山田は市川がカーストの下層で、ぼっちで、おかしいから好きになって好きでいるのではありません。
作中で描かれた、互いが徐々に互いを知り、偶像ではない、相手自身の人間性を好きになったからこそ好きでいるのです。
僕ヤバは文脈で殺す漫画です。それは紋切り型ではない関係性を描いている、ということです。
だから、もし関係性が丁寧に積み上げられる描写がそれまでの自分の苦手と感じる「恋愛もの」になかったのなら、僕ヤバに手を出してみるのは……どうでしょうか。
「恋愛ものが苦手」には様々な切り口があり、「性欲が不快」「日常が嫌い」「男女が関わるのが不快」「青春に絶えられない」等もあるため、上記はあくまでも個人の所見であることをご承知おきください。
三行くらいのレスを期待して、気軽に尋ねたらめちゃくちゃな熱量で回答していただきました!
これは食わず嫌いせずに読むしかあるまいな…!
もし私と同様に二の足を踏んでいる方がいらっしゃいましたらこの機会に一緒に読んでみましょう!
※なおこのやり取りの後、最新話(4/7)でえのきさんは廃人になったとのことです…
追記:公式にも心配されるえのきさん
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基本的に恋愛っぽいものが苦手で避けてるんですが大丈夫ですか?