韓国のロボットアニメ『燃えないでバスター』（타오르지마 버스터）を紹介する。
韓国では2017年からKBS（韓国放送公社）で放送されたテレビシリーズだ。15分番組で、第一シーズンが2017年から、第二シーズンが2018年から放送された（第二シーズンではライバルチームであるエックスバスターズも登場し盛り上がる）。
2019年には劇場版も公開されている人気シリーズだ。
ストーリーは、主人公の小学生ゴン・テジャンの元に宇宙から宛先を間違えて届いた宅急便、それは地球征服五種セットで、地球を征服するのを手助けする小さな傭兵ロボット5体が入っていた、というもの。
ゴンは地球征服など考えたこともないのに、地球征服に意欲を燃やす5体の傭兵たち（アサルト、スナイパー、シグナル、メディック、ヘビーと個性もアクも強いメンバー揃い）に振り回される（だからタイトルに「燃えないで」と入っているのだ！）
この傭兵たちが困りもので、ことあるごとにゴンの意思と関係なく命令を要求し騒ぎを巻き起こすのだ。傭兵たちは、ティーバスターチームと呼ばれ、ティーバスタービークルとコンバインし、シチュエーションに応じて様々な形態にチェンジする。
ティーファイター、ティードリル、ティードローン、ティービートル、ティータンク、ティーバスターといった形態がある。特にティーバスターは人型のロボットであり、非常に格好いいデザインだ。この形態があるからロボットアニメとして紹介しているが、後述するように韓国のロボットアニメでも異色な作品である。
合体シーンを確認してもらえばわかるが、無駄に格好よく素晴らしく描かれている。オープニングも傭兵たちの戦いを雄々しく描いており熱く燃えるロボットアニメを期待して視聴者も盛り上がるだろう。
しかし各エピソードはロボットアニメらしからぬ展開を見せる。内容を一言で言うならば、シチュエーション・コメディ作品である。様々なシチュエーションで物語が展開する。（注意！ これからネタバレがあります！）
例えば、第一話である。やって来た傭兵ロボットたちは、自己紹介しつつ、ゴンにコンバインを要求する。だが、その時ゴンは、トイレに行きたくて仕方がない状態になっていたのだ。
精神的にも追い詰められて、仕方がなくバスターギア（コンバイン指令を与える道具で、コインにより起動する）でコンバインを承認すると、傭兵たちはティーファイターになり、自分たちの力を見せつけるために、ゴンが行こうとしていた公衆トイレを破壊してしまう。力尽きたゴンは、ついにお漏らししてしまう。そしてバスターギアの自爆ボタンを押し、傭兵たちのティーファイターを解体してしまうのだった。
このように、戦いも燃える展開も全くなく、第一話は終わる。なんだよ、トイレを爆破したために自爆する主役メカって！
そんなことある？
第一話を観て私は、予想外のギャグに、これからどんな作品が展開されるのかと、心を奪われてしまった。そして、傭兵たちがティータンクで暴れてゴンの自宅が入っているマンションを停電させてしまう第二話を経て、第三話ではついに傭兵ロボットたちは敵と戦う。その敵とは、学校に迷い込んできたイノシシであった。妙にリアルだ。
ゴンがひそかに心を寄せる女子スジに近づくイノシシをティードローンで吊り上げる。「さあ。攻撃命令を！」しかしゴンは今回も自爆ボタンを押し、ティードローンを解体して、エピソードは終わる。
このように毎回あるシチュエーションが発生し、傭兵たちが騒ぎを起こし、ゴンが困り果てて自爆スイッチを押すというパターンだ。なお、この自爆ボタンは、ほぼ毎回押され、この作品の風物詩となっている。こんな感じで第一シーズン全26話が展開される。
他にも、町の文房具屋の前で行われているロボットボクシングにティーバスターで出場するエピソードや、地球が壊滅すると勘違いした傭兵たちがドタバタを繰り広げるエピソード、訓練を行う傭兵たちが幼児たちにさんざんな目に遭わされるエピソードや、傭兵たちがゴンの部屋の空調を改造したため冷房が効きすぎて凍り付き遭難状態になるエピソード、洞窟に迷い込んで冒険するエピソードなどシチュエーションは盛沢山だ。
毎回、毎回、こんなシチュエーションをよくぞ思いついたという仕掛けで、ギャグにもキレがあり、笑わせてくれる。そして、第一シーズンのラストは、意外と感動するエピソードでもある。ゴンの元にやって来た傭兵たちは先述の通り配達ミスで送られてきたものだった。
それが本当の注文主である警備員のおじさん（ゴンと同姓同名）の指令により地球征服を本格化させ町で暴れまわる事になる（ゴンのお父さんは兵士であり、これと戦う事になる）。しかし、これまで培ってきたゴンとの友情との板挟みになり、傭兵たちは自爆して果てるのだった。これは泣ける。ばらばらになった傭兵たちの部品を拾うスジ。そして、第二シーズンに続くのである。
復活した傭兵たちと、エックスバスターズというライバルチームも登場し（アサルトと過去に因縁があったようだ）、騒ぎを繰り広げる。劇場版では、アサルトが兄貴と慕うブラックアサルト（彼の本当の意図とは？）が登場し映画らしく長編でたっぷりとTバスターの戦いが描かれる。
テレビ版第二シーズンのオープニングにだけ登場していた、宇宙海賊も大暴れし盛り上がる一編だ。なお第一シーズン、第二シーズンは共にYOUTUBEで公式配信されている。ぜひ視聴して欲しい。
かに三匹 韓国発魔法少女ものアニメである『フラワーリングハート』（２０１６年）を紹介する。 韓国でも多くの魔法少女アニメが存在し、この作品は中でも一定レベルのクオリティーを持った作品だ。ストーリーは困っている人を[…]
