開催地域拡大中の「電影祭」とは?2022年必見の傑作中国アニメーション映画『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』を見逃すな!

みなさんは「電影祭(でんえいさい)」をご存知でしょうか。

電影とは、中国語で映画を意味する言葉。2022年1月に東京・グランドシネマサンシャイン池袋でスタートした、中華映画を特集する上映イベントです。

5月には大阪での定例上映もスタートし、8月には福岡でのサテライト開催を実施。そして9月末には愛知でのサテライト開催が発表されています。少しずつ開催地域を広げている電影祭ですが、なにより注目は、日本では全国上映されていないようなレア映画が上映されていることにあります。

電影祭で日本初上陸の中国映画たち

電影祭では、『マンハント』『イップ・マン』シリーズ、『白蛇:縁起』など日本でも上映されたことのある中国作品も上映するのですが、中にはこの電影祭で日本初上陸となる作品が多く存在します。特にアニメーション映画への注力ぶりは熱く、中国でも公開して間もない作品を上映してくれています。

例えば、2019年に公開された『マスターオブスキルー栄耀のためにー(原題:全职高手之巅峰荣耀)』は実写化なども果たしたWEB小説をアニメ映画化した作品。eスポーツの世界を舞台にした作品なのですが、日本のアニメに親しんでいる人にも馴染むのではないかというキャラクターたちの美形ぶりにも注目となっています。

また9月末には、日本初上陸となる『喜羊羊と灰太狼 DUNK FOR FUTURE(原題:喜羊羊与灰太狼之筐出未来)』が、東京・大阪会場で上映されることが発表されています。00年代後半に中国で国民的アニメの位置についたアニメ「喜羊羊と灰太狼」の2022年劇場版最新作が登場し、中国でも人気の高いスポーツであるバスケットボールの試合に挑む回となっています。

映像配信サービスなどが普及した現在でも、2022年現在日本ではこれらの作品は観ることができないだけにぜひこの機会を利用して、体験しておきたい作品ばかりです。

オススメは『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』

そんな電影祭にて初上陸となった作品の中でも、特にオススメしたいのが中国産アニメーション映画『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子(原題:雄狮少年)』。まずタイトルと読めなさに威圧されるかもしれないですが“雄獅(ライオン)少年”と読みます。

舞台は中国の田舎町。主人公の少年・阿娟(チュン)は、凄腕の獅子舞の演者である少女と出会ったことをきっかけに、仲間たちと共に獅子舞の大会に出ようと奮闘する物語が描かれます。今作で題材となっているのは、日本の獅子舞ともまた違った中国獅子舞となっており。その動きやビジュアルの珍しさがすでに見所の一つとなっています。

本作は中国では2021年12月の年末に公開を果たし、年間でもアニメーション映画で1億元以上を記録する作品は少ない中で興行収入は2.5億元にも及ぶ大ヒット作品となりました。

『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』の“そこ”に泣かされる!

雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』は3DCGアニメーション映画。3DCGのアニメーション作品といえばアメリカのディズニーやピクサーが作ったような作品をイメージしがちですが、それともまた違った“リアル”なルックが特徴的。自然や物体はかなり緻密なのですが、人物たちはどこかディフォルメも施されていて、あまり見たことのないデザインに着地しています。

そのビジュアル面だけでも十分見応えがあるのですが、このストーリーがまた泣かせにくるから、たまらない。

両親が共に出稼ぎに出て行ってしまっているという主人公の状況や、結婚をきっかけに定職につかざるを得なくなってしまった大人など、登場人物たちの境遇はかなり現実的で苦味を伴うものとなっています。そんな厳しい現実の渦中に潰されそうになりながらも「それでも……」と、その先を泥臭くも熱く描いていく様に強く胸を打たれます。

全く高い建物のない田舎町を包む夕焼けの開放感と、ビル群がひしめく都会の朝日の姿が対照的なのも皮肉的ですが、そんなビルの隙間からも光が差すーーその瞬間には、思わず涙が溢れ出てきてしまいました。

2022年公開された数々の映画の中でも、『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』で流れた涙の熱さは今でも忘れられず、今年でも随一の体験となりました。本作が全国公開されないのが、本当に惜しいほど。今後もわずかながら電影祭での上映予定があるので、近隣の皆さんにはぜひ逃さず足を運んで欲しいです。

電影祭

公式サイト:http://dianying.jp/den_ei_sai/
東京:グランドシネマサンシャイン 池袋 
大阪:シネマート心斎橋 
愛知:109シネマズ名古屋(9月20日より電影祭SATELLITEを開催)

雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』
大阪・シネマート心斎橋:2022年9月10日(土)
名古屋・109シネマズ名古屋:公開日未定

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