『リック・アンド・モーティ』シーズン7が制作陣交代の不安を覆す程の傑作だったから魅力を語らせて!

どうも、ゲル山ゲル子です!

皆さんNetflixでアニメ見てますか?
前回、前々回とNetfilxのドラマの話をしたので、そのついでとしてNetflixでオススメの海外アニメ『リック・アンド・モーティ』の最新シーズンが良すぎたので紹介しようと思います。

そもそもリック・アンド・モーティってどういう作品か

このアニメシリーズ自体は実は2013年にスタートしていて10年以上続いていますが、それはあくまでアメリカ本国での話…。

日本では2016年公開かつ、当時はNetflixオンリーの作品だったのもあり一部の海外アニメ好きの間だけで留まっていました。というか現状も多分留まっています。
そのぐらい海外アニメってわざわざ見る人がいないのもあるし、リック・アンド・モーティが配信開始された前後はNetflixの海外アニメは話題作や傑作が多かったのもあると思う!

擬人化された動物と共存する世界を描きながらも、どこかリアルで深刻な話で沈鬱としてしまう、でも心を大きく揺さぶられる瞬間のある『ボージャック・ホースマン』なんかはそのいい例じゃないか。
毛色は違うが、大人向けかつ所謂「刺さる」作品だったのもありこちらの方が注目されていたイメージです。

ただ、海外では知名度ぶっちぎりかつ、かなり人気が高く「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」ではリックをモデルにしたリック・スタントン博士が登場したり(これは海外の監督インタビューで明確にモデルにしたというのがあります)
そもそも劇中のノートPCの裏にリックのステッカーがでかでかと貼っている。

コラボというかCMも結構やっていて、これ系だとデスストランディングが最初だったと思うけど、最近だとソニーから直々に大金をもらってPRしていたり…。

他にも有名ゲームにキャラクターとして出たり、日本での認知度以上に海外での浸透度が高いのがよくわかる。

そもそもどういう作品なのか?

滅茶苦茶な天才科学者の祖父リックとそれに振り回されるバカな孫モーティが時間や空間、時には次元を越えて冒険をするSFコメディ。どのぐらい無茶苦茶かというと、リックは違法であるポータル銃を使ったり銀河中で法を犯しまくり。
1話の時点で違法性のある木の実を地球へと密輸する話で、モーティは足の骨が粉々になったり、銀河連邦政府に追いかけられたり、尻に木の実を入れたり…。

この時点で内容が結構飛ばしているように見えて、先に言っときます。

シーズン1の6話まで結構普通のアニメです!

そう、ギアが本格的にかかるのが遅い。勿論ヤバいエピソードもそれまでにあるんですけど、リックの発明を周りの家族が悪用したりしてしまい事件に発展して、リックがなんとか解決してくれる…というのが続いていて、なんていうか「少しハードめのドラえもんを見てる感じ」で作品の独自性はかなり薄め。
つまらないわけではないけど、取り立ててこれを見るという意味はあんまりない。そう、シーズン1の6話まではね!

この6話は後に10年以上続くこの作品における重要な1話になっています。しかも、それが強く活きてくるのは8話になってから。

6話自体はモーティが「好きな子がいるから惚れ薬を作ってくれ!」という、いかにもこういうアニメにありそうな話なのに、死生観、SF的なブラックジョーク、リックとモーティの関係性…
こんなとこに落ち着く!?って当時観ていて声が出ました。
でも、この3要素がリック・アンド・モーティという作品を形作る上で重要で魅力的なんです。

リアルに考え込むような死生観を下品なブラックジョークでハチャメチャにして、二人の関係性が進んだりする。

基本は下品でくだらないのに、こちらの思考の隙を作ってる奥行きのある感じがまさに多次元的。
そう、次元がテーマの一つなのもあるせいか妙にレイヤーの多いのがこの作品の魅力なんです!

そうやって作品の方向性が定まっていくと作品のギアが加速度的に上がっていき、ギアの上がりきったシーズン3ではリック・アンド・モーティの風呂敷は完全に開ききる。謎多きリックの過去や目的がぼんやりながら明らかになり、相変わらず無茶をしながら風呂敷を畳むのであろう安定期へと入っていく。

そして2023年10月にシーズン7を配信開始だったんだけど…。

原作者の離脱

シーズン7が始まる数カ月前、原作とリックの声優をシーズン1から務めていたジャスティン・ロイランドが家庭内暴力の容疑などにより起訴され、シーズン7をもって作品より離脱することが報じられた。

こ、ここで!?
嘘でしょ!!!!???!!?!?!

何故ここまで言うのかというと、リック・アンド・モーティはカートゥーンネットワークと長期契約を結んだのでシーズン10までは確定続くことが決定していた。
だから、ぼんやりと「シーズン10で劇的な終わり(今広げている風呂敷を畳む)をするんだろうな」と思っていた。そこへシーズン7で原作者が離脱という事実…ショックを受けないわけないじゃない。

実際、安定期とは言ったけど、シーズン4以降はシーズン単位で「そこそこかな」ぐらいのものもあったり。作品で面白さのムラが目立っていて、メインのストーリーだけを追うみたいな時すらあった。
あぁ…これはもう作品の終わりか???

恐らくなんらかの奇跡が起きたシーズン7(ネタバレあるよ)

大分ネタバレします

※OKな人だけ読んでね

不安なまま迎えたシーズン7がまさかまさかのすべてのシーズンの中でもトップに食い込むぐらいの大当たりシーズン!
倫理観も道徳も無いような話が盛りだくさん。特に4話は安楽死をテーマに、安楽死が正当化していくと世界はどうなっていくのか?そもそも死の肯定とはどういうことなのか?そんな事を考えさせつつ中指を立てていくような作風。そうそう、これだよ!これが観たかったの!

更に、安定期の肝でもあり癌でもあるリックの宿願であるプライムリックとの決着がつきます。シーズンの半ば唐突に。

これが狙いすましたものだったのかはわからないけど、この10年間追い続けていた宿敵は今まで倒してきた1話限りの敵キャラのように倒してしまう。
視聴者からすれば10年、リックにしてみれば数十年。追い続けてきた相手がこんなにもあっさり?今まで何度も裏をかかれ続けた相手が…。

プライムリックを討つというのが人生の目標であり、生きる意味であったリックはなんでもない1日(1話)でその両方を失ってしまう。

怒りや復讐は意味が無いわけじゃない。でも、復讐を何十年も夢見たところで劇的な幕ではなく何の変哲もない一日のように終わってしまう。
人生は劇ではないのだという突き付けと、復讐を目的に生きてみるとあとは生きる目標が無くなって空虚さが残る…というのを10年かけて視聴者に体感させるという、とんでもない事をしてくれました。これはこの作品をリアルタイムで追った人にこそ衝撃的なエピソードだったと思う!
実際2016年から7年間この作品を追いかけたゲル子にはとんでもなくショックを受けた回になった。

この話のあとのリックはどこか空虚な日々を送り、以前よりも優しいというか落ち着いて見える。ここまでリックとモーティの絆を少しずつ描いては来たんだけど、決して表に分かりやすい形で出す事は無かった。
でもそれすらも10話で明確に描かれるぐらいにはリックは優しい…いや気が抜けていっている。でも、そんなリックの気持ちとは反比例するように面白さは他のシーズンの比じゃないぐらい高い。

これはプラスなのか?マイナスなのか?

正直どっちに働いていくかはまだ分からない。
確実に言えるのはシーズン7は傑作であり、ここから原作者の手も離れた新たなフェーズへと入るという事。

かつてニコロデオンで放送していたレンとスティンピーのような凋落だけは避けてもらいたい。

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