黒猫が仲間を連れて大航海!映画『Flow』鑑賞レポート!動物好きはマストで見よう!

ヤマダマイ

(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

2匹の猫と暮らすライターがアニメ映画『Flow』を鑑賞しました。

以前、茶トラ猫を操作して遊ぶゲーム「Stray」をプレイしたとき「こんな映画があったらなあ~」と思っていたのですが、世界観は違えど、かなり近いアプローチの映画が爆誕していました。

今回は動物好きはもちろん、クリエイターたちも虜にしている異色のネコ映画の魅力を紹介させていただきます!

映画『Flow』あらすじ・概要

世界が大洪水に包まれ、今にも街が消えようとする中、ある一匹の猫は居場所を後に旅立つ事を決意する。流れて来たボートに乗り合わせた動物たちと、想像を超えた出来事や予期せぬ危機に襲われることに。しかし、彼らの中で少しずつ友情が芽生えはじめ、たくましくなっていく。彼らは運命を変える事が出来るのか?そして、この冒険の果てにあるものとは―?
<公式サイトより引用>

監督はラトビア出身のクリエイター

監督・脚本・音楽を担当したのは、ラトビア出身のクリエイター、ギンツ・ジルバロディス。

『Flow』は大規模なスタジオ作品とは異なり、全編がオープンソースソフトウェア「Blender」で制作されています。

さらにスタッフは50人以下、制作費は350万ユーロ(約5.5億円)というゴリゴリのインディペンデント作品です。

本作が長編2作目となる監督ですが、2024年アヌシー国際アニメーション映画祭では『Flow』が審査員賞、観客賞含む4冠を受賞。

2025年のゴールデングローブ賞では『野生の島のロズ』『モアナと伝説の海2』などの大作を押さえてアニメーション映画賞を受賞する快挙を成し遂げています。

ばんざーい!人間がいないぞー!

(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

(筆者含む)動物好きあるあるとして、動物好きに反比例して、人間が嫌いというのがあります。

ゆえに、映画やドキュメンタリーなどで動物に人間の声が当てられていると「ああああああ!」ともだえる異常行動に走ります。(好みの問題です)

その点『Flow』では、動物が人間の言葉を話さない事はもちろん、そもそも人間が1人もいない世界の話なので、異常行動を起こすことなく安心して作品を楽しめました。

(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

ただ、初めから人間がいないわけではありません。過去に人間が暮らしていた痕跡があり(それも、そこまで時間が経過していない感じ)、如何にして動物だけの世界になったのか、想像力を掻き立てられる作風となっています。

主人公となる黒猫も人に飼われていた様子がうかがわれ、図らずしも野生の世界に飛び出す不安・緊張などが、人の言葉など介さなくてもしっかり伝わるのがよかったです。

ほかにも、登場する犬がレトリーバーから柴犬、シェパードまで多岐にわたる様子から、野生動物と元飼い犬・猫たちの違いが分かるのもユニーク。この映画では多様性も動物たちで描いていました。

個性豊かな動物の絆も描く!

(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

主人公の黒猫のほかに、一緒に船に乗り合わせる動物のキャラもなかなか濃いです。

マイペースの代名詞ともいえるカピパラから、異常コミュ力の持ち主であるレトリーバー。光るものが好きなワオキツネザル。とあるきっかけで黒猫たちの船に乗ることとなったヘビクイワシと出会います。

https://www.instagram.com/p/DGM7N9Szp55/?igsh=MXI0eTd3MXlqdnQ4bg==
(↑)作中で黒猫の次に好きになったヘビクイワシ。めちゃくちゃクールです…。個人的には「上司にしたい人ランキング」の常連、ウッチャンに並ぶくらい上司にいてほしいなあ~と思いました。

「セリフがないのにどうやってドラマを描くの?」と疑問に思うかもしれませんが、動物たちのしぐさで何を感じて、何を思っているのかある程度わかります。

例えば、猫であればしっぽが上向きだと上機嫌。垂れていたら怯えている…といった感じです。哺乳類は割と表情豊かな動物もいるので、普通にコミュニケーションの様子をほっこりしながら見れる場面もありました。

ただヘビクイワシだけは最初、何を考えているのかさっぱり分からない…(汗)表情がなかなか読めない…(だからクールなのかもしれませんが)鳥類を飼っている人ならわかるのかな?

しかしヘビクイワシもある程度ストーリーが進むにつれ、他の動物たちと同じように、観客もなんとなく何を思っているのか分かるから不思議です…。

動物たちの感情を読み取る点では、ペットを飼っている人を集めて鑑賞会したら、面白い意見交換ができるかもしれません。

自分のペットに置き換えるとずっとハラハラします。

(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

もとは人間に飼われていたと思われるペットも多数登場するので、ペットを飼っている人が見ると、ついつい作中の動物たちを「うちの子」に置き換えたくなります。

しかしただのロードムービーなら可愛いものの、作中では結構な頻度で命に関わるピンチに直面するので、めっちゃハラハラします。高所からの転落、溺れる、巨大な鳥に襲われるetc..。.過激な「はじめてのおつかい」を見ている気分になりました。

(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.
(↑)作中の黒猫は泳げるのですが、それでもかなりの頻度で溺れそうになっています…。

「チェンソーマン」の作者である藤本タツキ氏も、コメントで「見ている途中ずっとこれを作りたかったという気持ちと、猫達に早くゴハンを食べさせてあげて!と夢中で見ていました。」と書いているように、鑑賞後はいつも以上にペットに感情移入してしまうこと必須です。

ロードムービーだけどメッセージ性も強い

(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

ハラハラ・ドキドキのアドベンチャー要素が強い一方で、なんとセリフがないのにメッセージ性も強い作品でした。

ネタバレになってしまうので、あまり詳しく書けませんが、動物たちが生きていく上では避けられない「あること」に気づいたのでは?と思わせるシーンが非常に印象深く、ちょっとウルッときてしまいました。色々と考えさせられます…。

控えめに言って最高でした。

いろんな動物映画(特に猫)を見ていますが、アニメならではのカメラワークや、セリフがないからこそ生きるサントラの良さ(公式サイトで視聴できます)など、この作風だからこそ楽しめる魅力が80分弱にギュッと濃縮されていました。

…それにしても、人間がいなくなった後の世界で、動物たちがこんな大変な目に遭うと考えると、もっと地球環境のこととか、真面目に考えようと思いました(大洪水が環境問題によるものかは不明)これからは我慢して紙のストローとか使います。

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▶︎映画『Flow』公式サイトはこちら

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