【現地レポ】東京から開幕遠征した大阪・関西万博は“文化食べ放題のテーマパーク”

 

あ!ミャクミャクちゃんだ!一緒に写真撮って下さい!
きゃ〜っ!!着ぐるみの形が胡乱すぎて中の方がパーソナルスペースをわかっておらず、細胞が顔にブチ当たる〜!

私はこの2025年万博を2年前からめちゃくちゃ楽しみにしていた人間です。

2023年11月には万博のチケットを取っている。いくらなんでも早すぎる。

色々なゴタゴタした事は差し置いて、単純に“お祭的なテーマパークのオタク”としてクソデカ祭ならば、開幕日に行くしかないわね! と確信して開幕チケットを取った当時、周りのオタクにそれを伝えても全員「万博って何……?そんなんやるの……?」という胡乱な反応だったと記憶しています。

私が万博に行く気しか無かったのは、50年前の1970年大阪万博の熱量を追体験できるかもしれないという期待もありました。太陽の塔や当時のグラフィック、プロダクトデザインに心底憧れて育ってきた人間なので……。

 

結論から言うと。

EXPO2025、やはり行ってよかったです! 東京に帰ってきたばかりですが、もう”万博おかわり”したい。万博の大屋根リングの下の椅子でiPad開いて毎日仕事したい。東京が10月までどうにかして大阪になってほしい(???

まず、万博って「オタクの娯楽施設、テーマパークとして楽しい」のかどうか?

私はとても楽しかったです。

万博=お国によるお堅い博覧会、みたいなイメージで構えてる人がいるかも知れないですが、個人の体感的には「大お祭テーマパーク」で間違いありませんました。

    • 最新技術体験
    • アートや建築法的に怪しいであろう刹那的にしか味わえない狂った建築の鑑賞
    • 海外のショーやダンス、パレードを観劇
    • ミャクミャクや海外パビリオンキャラのキャラグリ
    • 死ぬまでに行けなさそうな地球の裏側の国の空気を吸う
    • 世界中のグルメで食い倒れ
    • 各国の歴史や未来や自分の健康についてお勉強
    • 広い公園をお弁当を持ってハイキング

それが全部一箇所でできる。文化のRTA会場って感じです。贅沢の極み。

ここからは遠征組な上に全てのパビリオンの予約が外れた私が1日で実際に回れたパビリオンをピックアップしてレポートします。多分100分の1も回りきれてない……。

ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier

綺麗~! あ! て、徹子さんですよね。

徹子さんの深淵に……。

手を入れたら素敵な言葉が。

    • 光と影、映像と構造が美しい。流石カルティエ。
    • 世界中のいろいろな人生の女性の人生に寄り添う演出が静かに心を打つ。

カルティエが協賛してるだけあって、ラグジュアリーなムードなのにちゃんとメッセージがあり、押し付けがましくない。予約不要のパビリオンという事で飛び込こみましたが、建築も空間設計も美しく、美術館としての完成度も高いパビリオンでした。

女性達の生き辛い歴史を辿る、ちょっと辛い内容。

いのちの未来パビリオン 石黒浩

うわっ! 開幕から早速恐ろしいフェチを感じる猿っぽいロボット。緊張走る

マツコさんは2025年から既にアンドロイド化しているらしい。説得力がある。

このあとお婆さんと孫のアンドロイド化に関する泣ける物語が挟まったあと、突如1000年後の人類がこの先にいます!と脈絡のない案内をされ……。

おい!本当に見せたいのこれだろ!私にはわかるぞ!

レースに包まれた性別不詳の明らかな”上位存在”。無力な人間である我々を見下すように旋回してくる。石黒さん!!わかりますよ!我々に見せたかったのはこれですね!

    • ロボットフェチ必見
    • アンドロイドのデザイン自体は20年くらい変わってない……これは最早フェチの問題かもしれない。
    • 全然子供向けではない、というかロボット大好き人間以外向いていないかも。

一般人への導入とも言える感動的な家族の話から始まり、マツコ・デラックスのアンドロイドで客をあやし、最後は完全に「石黒教授のいつもの性癖大博覧会」って感じでした(筆者的にはやぶさかではありません)。

人間と機械の境界を見失う、と見せかけて全然見失わないけど……ロボットフェチの方、上位存在に見下されたい方必見。

しかし結論はアンドロイドの実用化は難しそう、まだフェチの段階かも……というちょっと辛い内容。

日本館

凄い”藻と菌”推し。

演者さんがいる演目が好きなのでこの「菌を使った椅子を作る演技をずっとしてくれる女性」すごい良かった。

    • サステナブルに全振りしてる構成
    • 循環型社会っていうテーマもとにかく日本らしい。
    • 「火星の石」に触れられてEXPO70の月の石の熱狂に思いを馳せられて嬉しい。

丸い中庭の和の空間美と未来技術のミックスが良いです。展示の語り口がやさしく、小さい子どもでも楽しめそうな作りになっていて好印象でした。

しかし結論は「食料不足で藻と人工肉を食べて生きるしかないかも」というちょっと辛い内容。

パソナ「NATUREVERSE」

人が出入りする度にお茶の水博士が隠れる。まぁブラジャとアトムがいれば良いか。

人工心臓的なものだ!!浸かってる汁が赤すぎる。

微生物と生きていく!? さっき日本館でも言われたやつだ!!もう私達って微生物と藻を食うしかないって事!?

メインショーはブロックが変形してプロジェクションマッピングされる。人類の業を責めるタイプの小さいシンデレラ城かな? 良い。

    • アトムとブラック・ジャックなどキャッチ―なキャラが出てくるのでお子様向けかも?
    • 医療・福祉・食の未来がもの悲しくも楽しく学べる。

オリジナルのアトムのコスチュームがフェチを感じる。

人類が誕生した事自体が罪カモ……という事を再認識出来るちょっと辛い展示。

チェコ館

値札もなく並ぶミャクミャクのおともだち

男性器と女性器がかなり沢山描かれているアートにネットミームみたいな映像が流れている。現代美術すぎる。

    • 外観がガラスの螺旋で美しい、中もひたすら螺旋上の坂を登る。
    • 現代美術館的。一階のbarが現地の方でガヤガヤしてていい感じ。お土産物屋さんはbarの中です。

しかし男性期や乳首があまりに並びすぎてちょっと辛い展示。

Commons (海外パビリオン自由入場ゾーン)

スタッフの方もわやわやしており、異国の物産展や市場みたい!楽しい。実際展示だけでなく、よくわからない石とかアクセサリーが大量に売られてる。

あらー床も塩なんですって!ペロペロ

    • 一歩ごとに世界の文化が切り替わる異世界空間
    • この先どう頑張っても死ぬまで行けないであろう国をメドレーできる。世界一周旅行をもし今後出来たとしても絶対回り切れない。贅沢チャンス。
    • 国ごとにレギュレーションが自由なのか、露天商みたいな国や、美術館みたいな国や、博物館みたいな国や、なんかそれぞれ自由にやっているのが良い。

物産展で一日中世界のものを買い物するだけでも楽しいかも。私は時間がゆっくりは取れなかったのですが、各国のパビリオンの方が丁寧に国の文化を説明してくれたので、お話を聞いてるだけで現地の事がわかりそう。ゆっくり勉強したいなあ……。

生きてるうちにどうやっても行けない国が沢山あり、世界が広すぎる事にたいしてい己がちっぽけすぎる事を思い知るちょっと辛い展示。

大阪ヘルスケアパビリオン

おい!!!!私の身体、実年齢より10歳以上老いている。

不健康に悩んではいましたが案の定ですね。もう終わり。漫画なんて描くもんじゃない、読むもんです。

現代人なんて皆身体年齢は老いてるでしょ……って思ったら、友達は実年齢より圧倒的に若い数値が出ていて、バリバリ20代でして。ドウシテ……。(運動不足で不摂生で生活が苦手だから)

25歳加齢した虚無の顔の筆者
でも、踊り狂ってるからいっかー!!
凄い老いてる人沢山いるけど元気に踊ってるからいっかー!!

リストバンドとアプリで管理され、最初にシェルターに入って個人で身体年齢を測定されます。そして25年老いた自分を見せられる。25年後って……今の年齢によっては超ご長寿になってる方も沢山いるのでは……!? 死……!? 私も他人事ではないけど……大丈夫か……!?

そこから展示で健康を学ぶたびにリストバンドにポイントが溜まり、自分が若返っていき、最終的に幾らか若返った自分が踊り狂う映像を見せられる

ポイント制のゲームのトゥルーエンドとバッドエンドみたいで面白かったです。

多分時間がなかったりよくわからなくて、途中の展示を飛ばしまくってしまった人は一切も若返らず100歳とかの姿で踊り狂う事になってると思う。

私も遠征の身で時間が迫っており若返り切らなかったので、次行くときにはちゃんと全てのポイントを稼いで若返りたい。

数値で老化を示されるだけではなく、髪の痛みや不健康度に対してちゃんとシャンプーやビタミン剤のサンプルをくれてケアする姿勢を見せてくれるのも嬉しいポイントでした。

自分の身体年齢と老いた自分を見せられるストレートにちょっと辛い展示。

住友館

自然がかなり上位から語り掛けてくる。マザーツリーが……!
これ、一人で体験すると結構山で遭難してる気分になれます。
    • 私が体験できた中ではもっともテーマパークのアトラクション的。
    • 最新映像あり、自分の足での散策あり、ダンサーさんあり、で凄く満足。

ショーパレ系が好きな方にはおすすめのパビリオン。私は一人で体験したので森で遭難した気分になれました。

罪深い人類も全てマザーツリーに還るしかないというちょっと辛い展示。

万博グルメ:「水空」

サントリーのレストランなのでお水が美しくておいしい~
コースも美しくて美味しい~。アクスタは連載していた新潮社の殺彼、連載中の双葉社のひぐらし鬼のものを連れてきています。

このレストラン、名前は「水空(SUIKUU)」。空気と水を味わうというコンセプト通りの美しい店内でした。

店内は落ち着いていて、スクリーンには高原の映像、BGMは鳥のさえずり。予約が出来るので、確実に落ち着いたところでご飯を食べたい方にお勧め。

提供される料理もしっかり美味しくてボリューミー。特に、トマトの冷製ポタージュが特に美味しかったです。

ノンアルコールのカクテルも香り高くて、季節によって変わるらしいです。また行きたい……!

海沿いなので窓にびっしり虫が張り付いていたのがちょっと辛いレストラン。

おそらくマルタパビリオンのレストラン

肉パンもシナモンパン的なものも、美味い

最早調べてもレストランのメニュー情報まで出てこないので定かではない(そんなことある!?)のですがおそらくマルタパビリオンのレストランです。とても美味しく、歯まで弱い私も美味しく食べれるパンでした。現地の方っぽい方で賑わっていました。

アイスが冷たい時期だったことがちょっと辛いレストラン。

万博攻略のコツ~これから行く人へ~

この記事が上がるころには開幕付近の日と状況は違うかもしれないですが、不安な方の為の攻略情報を纏めます。

ミャクミャクハウスはいわばミッキーの家かと。混雑で入れなくて残念……!
なんかワロテル。可愛い。
    • パビリオン予約は二か月前抽選、七日前抽選、三日前抽選を全て活用するのが望ましいですが、筆者のように2年前にチケットを買ったのに全ての抽選に落とされた人間もいる。(結構絶望しました、何故こんな仕打ちを……)

でも上記のパビリオンは全て当日予約で回れました。案外なんとかなる。

    • 9時の回に入場がおすすめ。ディズニーランドのスタンバイパスやユニバの限定エリアと同じと言えばわかりやすいでしょうか。

早く入場するほど当日のポチポチ合戦の枠が広がり、有利なのです。一見満員でも何度もリロードすれば空きが出たりします。

次のパビリオン予約は前のパビリオンに入場スキャンされてから10分で解放されるので、パビリオンを観つつ次のパビリオンを予約するのがおすすめ。

お連れ様がいる場合も一人枠で予約がお勧めです。そして後からリロードしまくり、お連れ様と時間をじりじりあわせる。慣れない方には少しあわただしいかもですが……がんばれ。

    • アプリは結局購入系は公式サイトに飛ばされるのですが、地図は見れるのでおすすめです。
    • トイレは私が入った限りはとても綺麗でしたし、椅子が無限にあるので近隣の方はお弁当を持ち込むのも良いかも。
    • 自由入場パビリオンやお散歩だけでも1日楽しめると思うので、アプリ予約が難しい方も、あまり気にしなくて良いと思います。紙のチケットだけで回っている老夫婦の方なども沢山見ましたよ。

私は遠方なので予定をギチギチに詰め込みましたが何度も行ける方はお散歩だけの日を設けるのも有意義かも……羨ましいです!

最終的にミャクミャクを見つけるたびにきゃっきゃと駆け寄る無邪気な筆者

最後に:

未来は”ちょっと辛い”。”ちょっと辛い”を多用しましたが、万博に対するネガティブな意味ではありません。それは万博のせいではなく、筆者が今の世界に日々感じている事です。心のどこかでわかっている未来への怖さ、未来への辛さを認識させてくれる、誠実な展示の在り方だと感じました。

憧れの50年前の万博みたいに、好景気で皆が希望を持ち、力強いモニュメントと共にSF的な夢に思いを馳せる……とは今はいきませんよね。空飛ぶ車もかなりヘリコプターっぽいフォルムだし、万博自体を良く思ってない方も多いと思います。

「人類は進歩なんかしていない。なにが進歩だ。縄文土器の凄さを見ろ。皆で妥協する調和なんて卑しい」という50年前の岡本太郎さんの言葉の伏線が回収されている気がする……。

でも、今やれる事、示せる事を正直に見せてくれて大変感謝、という気持ちです。

未来への希望は中々持てないけれど、楽しい事や見たことない国の文化がまだまだ沢山あるこの世界で生きていきたいなと思わせてくれるパワーは存分に貰えました。

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