第33回東京学生映画祭レポート。非常に濃密なラインナップ、内容の二日間。

去る8月20、21日(土日)の第33回東京学生映画祭が渋谷ユーロライブにて開催されました。

東京学生映画祭は「東学祭」の名で知られる、日本で最も長い歴史を持つ国内最大規模の学生映画祭。企画、運営の全てが学生の手で行われるのが特徴です。

第33回のスローガンは「宇宙でいちばん純粋。」
実写長編、短編映画、アニメーション映画合わせて学生映画12本の上映が二日間かけて行われました。

初日A〜Cプログラムでは実写長編映画『カンパニュラの少女』『ただいま』『えんまさん』『明ける夜に』。
二日目には特別上映で細田守監督作品『時をかける少女』が上映されました。
アニメーション部門『HA・NA・KU・SO』『蟹眼』『サカナ島胃袋三腸目』『川凪ぐ火葬場』実写短編映画『COMPASS』『C地点旅行記』『私はたぶん絶対にかわいい』『Episodic memory』が上映。

各プログラム後の上映後には各作品監督とゲスト審査員でのトークセッションが行われました。

実写長編・短編部門のゲスト審査員は杉野希紀監督、瀬々敬久監督、三宅隆太監督、アニメーション部門には岩井澤健治監督、細田守監督、という豪華なゲストが参加。(杉野希紀監督は体調不良により現地不参加。審査を実施し、授与式などではメールでのコメントを寄せた)

トークセッションではゲスト審査員の各作品のコメント、評価だけでなく各監督の映画撮影のルーツに迫るような質問も飛び交い、非常に濃密な時間が過ぎ、学生監督の制作における独自の拘りがそれぞれのコメントや質問への回答から浮き彫りになっていく場面も。
拘りはそれぞれ独自のものがあり、撮影手法であったり、作品に込めたテーマであったりと様々でした。

それらの拘りは作品の魅力を引き立たせる場合もあれば、ともすれば一見するとわかりにくいポイントにもなりえますが、それらをゲスト審査員が補助線として質問を投げかけ、それぞれの作品の『核』と言えるものを鮮明となっていきました。
まさしく映画というものが『作る側』と『見る側』の双方向のコミュニケーションで成立する瞬間を、現地で取材をしていて体験するようでした。

全プログラム終了後には授賞式が実施。

応募総数204作品の中から三次選考まで行い選りすぐられた12作品が部門ごとに賞を争いました。

授賞式ではグランプリ実写長編部門、実写短編部門、アニメーション部門、審査員特別賞が三作品、観客賞、NANLITE賞がそれぞれ発表されました。

グランプリ実写長編部門は堀内友貴監督『明ける夜に』実写短編部門は鈴木理利子監督『Epsodic memory』アニメーション部門は若林萌監督『サカナ島胃袋三腸目』がそれぞれ受賞。

グランプリ実写長編部門
左から三宅監督、『明ける夜に』の堀内監督、瀬々監督

『明ける夜に』はグランプリだけでなく観客賞も合わせて受賞するという快挙。
堀内監督は「昨年の東京学生映画祭で『また春が来やがって』という作品で入選したことがきっかけで色々な方と出会い、昨年ゲストで来られていた今泉監督(今泉力哉監督)がクラウドファンディングにコメントしていただいたことで目標金額も達成出来て『明ける夜に』を作ることが出来たと思っています。自分だけでなくスタッフ、キャストの方々にも恩返しが出来るようにステップアップしていきます。ありがとうございました」とコメント。

グランプリ実写短編部門
左から三宅監督、『Episodic memory』の堀内監督、瀬々監督

『Episodic memory』鈴木理利子監督は「作り手が思う映画、観客が思う映画、私個人が思っている映画の認識はバラバラ。この作品を自分の中の映画、自身の集大成として作ったが、この作品を三宅さんに『これは映画だ』と言っていただけたのが嬉しかったです。ありがとうございました」とコメント。

グランプリアニメーション部門
左から『サカナ島胃袋三腸目』若林萌監督、岩井澤監督

『サカナ島胃袋三腸目』若林萌監督は「アニメーションを学び直して、ずっと作りたいと考え続けていた作品でこうして賞をいただけたのはとても嬉しいです。ありがとうございました」とコメント。

その他、協賛会社のNANLITE賞には鈴木智貴監督『えんまさん』が選出。

審査員特別賞には三作品が選出。それぞれ三宅&杉野賞に安本未玖監督『カンパニュラの少女』、瀬々&杉野賞に劉波監督『ただいま』、岩井澤賞にオダアマネ監督『HA・NA・KU・SO』が受賞しました。

審査員の方々からは「非常に楽しい二日間」「こういう劇場で映画を見る場も少なくなってきているが、こういう場が大切なので続けていけるようにお願い出来たらと思います」と映画祭の感想だけでなく今後の映画界、東京学生映画祭への希望を伝える場面もありました。

ゲスト審査員の方々と上映作品の監督のみなさんでの記念撮影も

二日間という短い期間でしたが非常に濃密なラインナップ、内容の映画祭となりました。
東京学生映画祭では公式サイトから引き続き学生の新規委員を募集中。興味のある学生の方はチェックしてみるのはいかがでしょうか。

受賞結果:https://tougakusai.jp/2022/08/21/awards33/
公式サイト:https://tougakusai.jp/

【スタッフインタビュー記事】
企画・運営全てが学生によって行われる映画祭。『第33回東京学生映画祭』開催直前インタビュー

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