企画・運営全てが学生によって行われる映画祭。『第33回東京学生映画祭』開催直前インタビュー

8月20、21日に第33回東京学生映画祭が渋谷ユーロライブにて開催されます。

東学祭の名で知られる東京学生映画祭は、学生の製作した映像作品を全国から募集し、コンペティション形式でグランプリを決定する日本最大規模の学生映画祭です。
今回のスローガンは「宇宙でいちばん純粋。」

開催直前!ということで今回ムービーナーズにて、代表の上野桃歌さん、進行部長の北野隼さんにインタビューを実施。

学生スタッフであるお二人に映画祭がどのようなものか、見どころ、運営にかける思いについて聞いてみました。

左:北野隼さん
右:上野桃歌さん

学生による企画、運営の全てが行われる映画祭

――東京学生映画祭はどのような映画祭なのでしょうか?

上野さん:東京学生映画祭は日本で一番長い歴史を持つ学生祭の祭典です。映像作品を全国から募集し、コンペティション形式でグランプリを決めています。
一番の特徴は学生によって企画・運営の全てを行っているという点ですね。

北野さん:日本のインディーズ映画界を時折賑わせる監督や作品が毎年世に出ている映画祭となっています。『溺れるナイフ』の山戸結希監督や『14歳の栞』の竹林亮監督もこちらの映画祭に参加しています。

――映画祭をきっかけに世に出た監督を教えてください

上野さん:先ほど触れた山戸結希監督がこちらの映画祭をきっかけにプロデューサーと出会い世に出たという経緯があります。青山真治監督、中村義洋監督等が挙げられます。
この映画祭をきっかけに劇場公開される映画監督が毎年数名は世に出ていますね。

コロナ禍での運営や、応募される作品の変化

――学生が運営する映画祭ということですが、ここ二年のコロナ禍なので運営について変化はありましたか?

上野さん:映画祭自体はリアル開催を目標にしているので現地開催の方針で進めていたのですが、委員での会議にはリモートでの通話も活用しました。

北野さん:一昨年の第31回は6月開催を予定していたのですがコロナの影響で延期になってしまったんです。そういったコロナ禍での苦難もありましたね。

上野さん:運営をする委員としては大学のサークル活動が無い分、自由にやれているという良い影響もありましたね。そういった事情もあって委員の人数はコロナ禍前より増えている印象です。
とはいえ、悪影響もあって映画祭の集客は過去よりも苦労しています。立地として渋谷という都内の人流が多い場所というのもあり、そこが昨今の情勢柄ネックになるのを感じていますね。

――学生が運営する映画祭ということですが応募者も学生でしょうか?

上野さん:全て学生です。学生であれば誰でも良いというのを押し出しています。
主な応募者は大学生や専門学生なんですが、今年は中学生からもあったんですよ。中学生、高校生といった層からも応募をいただいている状態です。

北野さん:監督のプロフィールで2009年生まれなどもあってビックリしましたね。

――エントリーされる作品で時流の影響などはあったのでしょうか?リモートでの映像制作など、クリエィティブな方面でもさまざまな作り方が模索されている印象ですが。

北野さん:コロナ禍一年目はリモートでの作品も多かったのですが、今年は少し減ってきた印象です。対面でのフィジカルな作品が増えてきている気がします。
当初コロナ禍の中で応募いただいた作品としては時流を反映したのもあってか、暗めの作品も見受けられましたね。

上野さん:印象としては昨年の方が暗い話が多かったです。今年はそういった暗い現実を踏まえて「それを乗り越えよう!」というテーマの方が多くなった印象があります。
変化という意味だと、昨年、今年と受賞されたオダアマネ監督(アニメーション部門)の作品が印象的でした。
昨年は『あまねにっき』という幼少期の日記を元にした作品で、全体的に赤が基調としたビビットな作品で「自分!」という作品だったんですが、今年受賞の『HA・NA・KU・SO』はパステルな色合いの柔らかいテイストへの変化があり、時流を捉えた上での作風への影響なのかなと。

第32回東京学生映画祭『あまねにっき』
第33回東京学生映画祭『HA・NA・KU・SO』

学生が運営する映画祭とのことですが応募する学生も芸術系の方が多いのでしょうか?

――応募する学生も芸術系の方が多いのでしょうか?

上野さん:応募される方は美大や映像系、専門学校の学生が多い。今年は更にその傾向が強まっている気がします。

北野さん:一般的な大学ももちろん応募されているのですが、やはり全体としては芸術系が多いですね。

上野さん:今年は一般大学のサークル活動などの応募がやや落ち込みがありました。
芸術系の方々からの応募が増えていて、映像系を目指していると美大や映像系の専門学校に進学されているのかな、という印象もありますね。

――今回はどのぐらいの作品が集まったのですか?

上野さん:今年は204作品、応募をいただきました。
去年は230作品ほどでした。
やや減少ではあるんですが、コロナ禍の影響ではなくてその年での応募数のブレの範囲かなと思っています。

――作品の上映時間の傾向はどうでしょうか?

上野さん:20〜30分が多いですね。
1時間ほどの長編は卒業制作やクラウドファウンディングで作られた映画が主になっています。 

多数決ではない、議論を重ねて選んだ『劇場で流したい』作品

――上映する作品はどのように選んだのでしょうか?

上野さん:委員が手分けをして、全て見た上でじっくりと話し合いをしました!最終的に12作品まで絞って今回の映画祭を迎えます。

――作品選定で意見の分かれたところありましたか?

上野さん:めちゃくちゃありましたね!
選考は三次選考まであったのですが、三次選考時点で36作品あったんです。その時点で全部上映したい作品ばかりで頭を悩ませました。
最終的に上映する12作品に至るまで議論を徹底して重ねていきました。

北野さん:選考に当たって委員の中で多数決は採用しないようにしたんです。議論を重ね、委員の皆で納得した上で作品を選ぶようにしていきました。

上野さん:1作品につき、2時間ほど議論をしてしっかり決めていきました。

――作品選定の方針を教えていただけますでしょうか?

上野さん:「この作品が好き!」「ぜひこの作品を応援したい!」「この作品を劇場で流したい!」という気持ちを大切にして選定していきましたね。
私たちは学生でプロフェッショナルではないんです。だからこそ、自分達の素直な気持ちを大切にして作品を選んでいきました。

北野さん:たとえ委員の中で一人だけが推していても、その気持ちを大切にして、議論を重ねていきました。

上野さん:「この作品を劇場で流したい!」というのは大切なポイントで「良い作品だけど、Youtubeとかの動画サイトで流しても作品として変化がない」と判断して選考から外れた作品もありました。

映画祭のルーツ、歴史、継続にあたって

――33回ともなると一つの歴史が出来ている映画祭だと思うのですが、どのようなきっかけで始まったのでしょうか?

上野さん:ふわっとした話なのですが、元々早稲田大学の映像系サークルが合同で上映会をしていたのがきっかけと語られています。
それが第六回目くらいから、他の大学が合流し、徐々に規模が広がっていったようです。

北野さん:『早稲田映画まつり』というイベントと分岐したと言われていますね

上野さん:ただ、早稲田大学の委員の方は今回はいないんですけどね(笑)
ルーツとしてはそのように語られているんですが、現在は全く別のものとなっています。

――継続していくにあたり、励みになる点、ご苦労されている点などがあれば教えてください。

上野さん:正直なところ今まで綱渡り状態でやってきていて、私たち自身なぜ続けられているか不思議なところがありますね。協力や応援をしてくれている方々がいるから何とか成り立っているところが大きいです。
ただ今年は「入選した作品が好き!」という気持ちがあったからこそ継続を出来たところがありましたね。
他の励みになっている点だと委員同士で協力して支え合えているというところがありますね。

北野さん:委員同士、運営以外のプライベートな部分でも支え合えている関係性が出来ているんです。馬の合う人同士でやれているというか。サークル活動的な側面もあるんですよ。

上野さん:ミニシアターに通って映画を観る大学生ってそんなに多くないじゃないですか。
そんな学生が委員になるので同好の士ということで意気投合しているからこそ運営もやっていけているところがあるんだと思います。

映画祭の見どころ、特別上映

――コンペティション作品の中で、個人的に注目している作品を教えてください。

上野さん:それぞれ入念に選定を重ねた作品なのでどれがグランプリになってもおかしくない個性溢れる作品たちばかりです!可能ならば全部見てほしいです!

――学生が撮った映画以外の上映もあるのでしょうか?

上野さん:今年は細田守監督の『時をかける少女』を特別上映します。細田監督には審査員をやっていただく縁ということもあり、委員の皆で話し合い、皆が好きな『時をかける少女』を上映することにしました。

映画祭へ関わろうとしたきっかけ。

――映画祭を知ったきっかけ、運営に携わろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

上野さん:知ったきっかけは、元々映画系のサークルに入りたかったんですが、「自分は撮影する側ではないな」と思っていまして。
「どうしようかな」と色々調べていたタイミングで映画祭を知って観に行ってみたんですね。そこで実際に体験した映画祭の雰囲気に「素敵だな!」と思ったのがきっかけで運営に携わろうとなりました。
私みたいに委員になる前に映画祭を見た人は結構レアでしたね。

北野さん:私は元々大学の映画サークルに入っていたんですが、コロナ禍が直撃してしまって主だった活動が無くなってしまったんです。
一年間ほど動きがないまま経ってしまって、「これはまずいな……」と思っていた時に、サークルのLINEグループで委員募集の告知があったんです。
「これしかない!」と思い、参加することにしたのがきっかけですね。
今となってもその選択を後悔していないです。

――この記事の読者へメッセージをお願いします

上野さん:学生の映画をみる機会が少ないと思うのでこれを機会に見にきてください!
東京学生映画祭はみんなでつくる映画祭です。観に来ていただける方々も映画祭の一員です!
学生は500円で映画とトークを見れるので是非お願いします!

北野さん:映画は観客があってこそ完成するものだと思うので是非観ていただきたいです。
コンパクトな学生祭ということもあって、作り手と観客で距離が近いんです。上映される映画を作った監督と話が出来る場合もあるのでぜひ現地に足を運んでいただければと思います。監督の方々もみなさんの感想を聞きたいと思いますので!

上野さん:委員の皆も感想聞きたいよね。
学生ならではのフランクさがあるのでぜひ!アットホームな雰囲気も楽しんでください!

33回 東京学生映画祭

開催日:8月20、21日
会場:ユーロライブ渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F
公式HP:https://tougakusai.jp/
チケットはこちらから:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02k863gtqaf21.html

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