東京学生映画祭 特別上映『時をかける少女』イベントレポ!細田監督がなぜ『インターネットの世界』を描くかにも触れた充実のトーク!

8月21日(日)渋谷ユーロライブで実施された「第33回東京学生映画祭」の特別上映にて『時をかける少女』が劇場のスクリーンで上映。
細田守監督も登壇し、トークセッションが行われるという一幕がありました。

東京学生映画祭についての話も交えつつ、映画について語る細田監督。来場者からの質問コーナー等もあり充実の時間となりました。

時をかける少女

2006年に公開。小規模での劇場公開となるも口コミから連日満席となる大ヒット。最終的に100館以上かつ10ヶ月のロングラン上映を記録した細田守監督独立後の初監督作品。
多くの賞を受賞するなど高い評価を得ました。

主人公の女子高生、紺野真琴がある時タイムリープ能力に目覚めたことがきっかけで身近な人間関係の変化や恋を経験、成長を遂げていく青春映画です。

細田監督登壇、16年前と今改めて劇場で上映することについてコメント


登壇した細田守監督

上映後は細田守監督が登壇、「僕も美術大学出身なので一種のOBのような気持ちでいます」と東京学生映画祭について語りながら司会の方の質問に答える形で当時のことを振り返りました。

「劇場公開から16年経ちますが、また劇場で公開されたことについて」の感想として「タイトル通り、時をかける物語の映画なんですが、映画そのものもこうして時間を経ても見ていただけて嬉しいです」と語った。

学生時代の映画の向き合い方についても触れ、映画『ミツバチのささやき』を見たことをきっかけに映画を作りたいという気持ちになったことを話し、「すごい映画だな。こういうものを作れるなら映画作りっていいものだな、と思った」など監督のルーツに関わる話もされました。

観客からの質問。なぜ細田監督がインターネット世界を描くのか

トークセッションはそのまま観客からのQ&Aのコーナーへ。

「最新作『竜とそばかすの姫』も含め、細田監督がインターネット世界を描いていることについてどういう視点で描いているのですか?」という質問が。

『ぼくらのウォーゲーム!』『サマーウォーズ』などから続く細田監督作品で気になる要素です。

細田監督は「『デジモン』からインターネット内を描いているんですが、メタバースを描いたつもりはないんですよ。最近、メタバースのコツを教えてくださいと言われるが知りませんよ勝手にしてください(笑)という気持ちがある」と触れた上で、「(現実世界以外にも)公共性のある、若い人がもっと活躍出来る別の場があるのではないかという気持ちでインターネット世界を描いている」と監督の世界観についての貴重な話も出ました。

質問コーナーは更に盛り上がり、『おおかみこどもの雨と雪』の映画の中での狼の成長過程や特徴についてどのように研究をしたのか、といったテーマ面だけでなく作品作りのアプローチについての質問も出るなど、ファンの熱い思いの乗った質問が続きました。

細田監督はそれについて書籍で動物園の飼育員が育てる過程を試行錯誤した研究を参考にしたことや、当時、群馬サファリパークにおおかみの群れを飼育しており、見学に行ったり飼育員の方に話を聞いたりすることで成長過程や特徴を捉えたということを語りました。

そして話題は再び『時をかける少女』へ。

「原作小説の主人公と真琴の性格の違い。自由で破天荒な性格にした理由はなんですか?」という質問が。

それに対し「映画を見ている人からすると1983年の実写の『時をかける少女』があり、それの続編と思われているのですが、そういうことでもないんですよ」とファンとしては少し驚く言及から始まり「筒井康隆先生の原作が、もし現代(2006年)にあったら、というところから作った」「原作のストーリーから時間を飛び越える話。そこからメタ的にも時間の飛び越えた作品を作るにあたって主人公の在り方、世の中に対しての向き合い方が全然違うんじゃないかと思った」「60年代の女性を捉えた原作という色もあるんですが、原作もまたコモンセンスの中で描かれている部分がある。それが(現代に)変わったらどうなるか、というのを考えて主人公の物事との向き合い方にも現れている」とアニメ『時をかける少女』の紺野真琴という主人公が作られた背景が語られました。

他にもスタジオ名『地図』の由来などについても質問があったのですが「なんで地図にしたんだっけな? 忘れちゃった(笑)」と、コミカルな場面も。作品に関しての深い話から、場を和ませるトークまで劇場アニメ『時をかける少女』が公開されてから現在までの様々な時間経過を感じるトークセッションでした。

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