ジャームッシュ愛が炸裂?映画『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督が観客からの質問に答える

『ちょっと思い出しただけ』Q&Aイベントが角川シネマ有楽町にて実施

11月8日16時45分、第34回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されている松居大悟監督作『ちょっと思い出しただけ』のQ&Aイベントが角川シネマ有楽町にて行われた。

本作は怪我でダンサーの道を諦めた照生とタクシードライバー・葉の関係を過去に遡って描いていく、ちょっぴり切ないラブストーリー。照生を池松壮亮、葉を伊藤沙莉が演じるほか、 成田凌、永瀬正敏といった個性的なキャストが脇を固めている。松居監督としては初の恋愛映画であり、ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得た作風は大きな注目を集めている。

映画を鑑賞した観客からは時間に関する演出の質問が投げかけられた。作中では7月26日という1日を中心に過去へと遡り続ける構成となっており、作中で登場する時間が“7分”になっていることに対して、松居監督は改めてジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』から着想を得たこと明かす。「『ナイト・オン・ザ・プラネット』でも同じ時間が表示される演出があり、その分数に何か意味があると感じました」と語る。

主演の池松壮亮と伊藤沙莉の掛け合いに心を打たれた観客からは、2人の演技がどこまで台本通りだったのかとの質問も。松居監督はあえて最初はガチガチに設定を固めた状態で進めていたと明かす。「ただ、作中で経過した1年を感じてもらえるように、徐々に(設定を)崩してもよい手法を取りました」と時間経過のためにアドリブも取り入れていた。また、作中では照生と葉のセリフが重なる場面があるが「あれは偶然で、台本を越えた瞬間でした」と手ごたえを感じた様子を振り返った。

キャスティングに関する質問も飛び出し、特に気になるのがかなり特殊なポジションを演じる永瀬正敏の存在だ。永瀬正敏といえば『ミステリー・トレイン』や『パターソン』とジム・ジャームッシュ作品への出演経験もある人物。松居監督は「現場で永瀬さんとお話したときに、ジャームッシュは『ナイト・オン・ザ・プラネット』を東京で撮りたかったけど、あの作品の時間だと東京は夜じゃないから断念していた。と聞きました」と話し、「だからこそ『ちょっと思い出しただけ』がその代わりになったらいいね、という話もしました」と、撮影時の裏話も明かした。

ジム・ジャームッシュから得たインスピレーションがどのように松居監督のラブストーリーに息づいているのか。『ナイト・オン・ザ・プラネット』を鑑賞してから『ちょっと思い出しただけ』を観れば、その面白さがぐっと増すことだろう。

映画『ちょっと思い出しただけ』は2022年早春公開

映画『ちょっと思い出しただけ』

「第34回東京国際映画祭」(2021年10月30日~11月8日)コンペティション部門に選出。松居大悟監督が、主演に池松壮亮と伊藤沙莉を迎えた2022年早春全国公開のオリジナルラブストーリー。
2022年2月11日(金・祝)公開
怪我でダンサーの道を諦めた照生(てるお)とタクシードライバーの彼女・葉(よう)。めまぐるしく変わっていく東京の中心で流れる、何気ないある一日。特別な日だったり、そうではなかったり…でも決して同じ日は来ない。世界がコロナ以前に戻れないように、二度と戻れない愛しい日々を、“ちょっと思い出しただけ”。
出演: 池松壮亮 伊藤沙莉 河合優実 尾崎世界観 國村隼(友情出演)/ 永瀬正敏
監督・脚本:松居大悟
主題歌:クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」(ユニバーサル シグマ)
制作・配給:東京テアトル
宣伝:FINOR 制作プロダクション:レスパスフィルム 
製作:『ちょっと思い出しただけ』製作委員会(東京テアトル ユニバーサル ミュージック)
2021年/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/115分
(C)2022『ちょっと思いだしただけ』製作委員会
公式サイト:choiomo.com
公式Twitter・Instagram:@choiomo_movie

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