『ラブバード』レビュー/噛み合わないようで噛み合う2人のコメディサスペンス【NETFLIXオリジナル】

新型コロナウイルス感染症パンデミックへの対応の一環で劇場が閉鎖されている現状を鑑み、4月3日に公開予定だったものの劇場での公開を中止しNETFLIXでの配信公開となったマイケル・ショールター監督の新作『ラブバード(原題:The Lovebirds)』が5月22日より配信スタートしました。

あらすじ

ジブランとレイラニは破局寸前のカップルだった。そんなある日、2人が自動車に乗っていると、警官を名乗る男から犯人逮捕への協力を求められた。2人は快くそれに応じたが、男は容疑者とされる男性をひき殺した後、平然とその場から去って行った。ここに至り、2人は男が警察官ではない可能性を疑い始めたが、運の悪いことに、通行人に殺人犯と勘違いされてしまった。レイラニは必死で弁明しようとしたが、パニックになったジブランは彼女を連れてその場から逃走した。その結果、2人は殺人犯として警察から追われる身となった。
ジブランが落ち着きを取り戻した後、2人は近くのダイナーに立ち寄った。話し合いの末、2人は真犯人を捕まえることで自分たちの無実を証明することにした。

主演はクメイル・ナンジアニで、大ヒットしたショールター監督の前作『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』と同じタッグで描かれる本作は、ひょんなことから殺人事件に巻き込まれる冷え切ったカップルが事件の解決に臨む物語です。
このカップルの非常にしょうもない理由での言い争いなどの様子をコミカルに描く、クライムサスペンス展開をベースとしたライトなラブコメ作品となっています。

©2020 Paramount Pictures, Netflix
「乱交」と「輪姦」の違いで言い争う2人

基本のストーリーはやや単調で、事件の被害者のスマホから手がかりになりそうな場所や人物に当たっていくという流れに終始しますが、その過程での主役2人の掛け合いが魅力的な映画で、『ビッグ・シック』他多数の作品で名演技を見せ、MCU新作「『エターナルズ(The Eternals)』への出演も決定しているクメイル・ナンジアニと『インセキュア』で俳優としてのみならず作家としての実力も発揮したイッサレイが演じる「長年連れ添った、互いに限界を感じつつもそれなりに息の合うカップル」感が楽しい。

事件の核心に迫るぞ!というシーンで状況にビビりながらもテンションを上げるためにKaty PerryFireworkをタクシー内で熱唱するシーンがお気に入りです。

©2020 Paramount Pictures, Netflix
その場のノリで一緒に歌っちゃうタクシードライバーがかわいい

ちなみに、タイトルの「ラブバード」はボタンインコやコザクラインコ等、仲間と非常に強固な絆を結ぶ性質を持つ鳥のことで、そこからLovebirds=仲の良いカップルや夫婦を指すようになったそうで、タイトルもストレートですね。

不測の事態の結果として配信スルーになったものの、非常にシンプルなストーリーで上映時間も86分とコンパクトな作品のため、自宅で気軽に観るのに最適な作品です。
映画配給・鑑賞の形態として、今後も状況次第でこうした配信スルー作品は増えるかもしれませんが、作品によっては自宅鑑賞向きのものもあると思います。本作『ラブバード』も本来想定されていた公開形態とは違った形になりましたがその分鑑賞に当たっての敷居は低くなっているので、ぜひこの機会にご自宅でお楽しみいただければ幸いです!

最新情報をチェックしよう!