スパロボ参戦記念!『ゴジラ S.P』の怪獣やロボットの性能を妄想してみた

ツナ缶食べたい

 先日、8月28日に発売される『スーパーロボット大戦Y』の参戦作品が発表された。4年ぶりの家庭用最新作だけあってファン待望の一作ではあったものの、個人的な購入の決め手になったのは『ゴジラ S.P』の参戦である。

 『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』は2021年に放送された、ゴジラシリーズ初となる国産TVアニメ作品。当時からファンの間では話題沸騰、考察合戦が毎週のようにSNSで盛り上がった一作ではあったものの、Netflix独占配信という都合、あるいはその難解な内容が影響してかゴジラファン以外には広く届いた作品とは言い難く、今回のスパロボ参戦をきっかけに作品を知ったとか、観てみようと思い立った方も多いのではないだろうか。

 というわけで、今回は作品の紹介を絡めながら、ゲームにユニットとして登場するであろう怪獣たちやロボットについてあれこれ妄想する、映画終わりにサイゼリヤで集まってするような会話を文章にしてみたものをお届けする。ちなみに筆者のスパロボ経験は『V』一作のみであり、用語やシステムの理解が現行タイトルに追いついていない点は何卒ご容赦いただきたい。

 『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』は先述の通りTVアニメシリーズで全13話、配信フォーマットはNetflixのみとなっており、同じく『スパロボY』参戦作品の中では『ガンダムSEED DESTINY』『水星の魔女』を予習することができる(※執筆現在)。監督には映画ドラえもんシリーズの高橋敦史氏、キャラクターデザインには『青の祓魔師』の加藤和恵氏を迎えているものの、際立った特徴と言えるのはシリーズ構成/SF考証/脚本の三役をこなした芥川賞作家、円城塔氏の起用にあるだろう。

 インタビューによれば、元はSF設定の構築のみで関わっていた円城氏だったものの、ストーリーとSF要素を密接に絡めた結果として別の脚本家へ依頼することが現実的でなくなったらしく、とうとう脚本を自分で書くことになったのだとか。そんな円城氏が手掛けた『ゴジラ S.P』には、「エネルギーを増幅させる謎の物質」「“正解がわからないと解けない問い”というパラドックス」「音楽として情報を伝達する方法」などの考察と検証が飛び交い、台詞の難解さはゴジラシリーズの中でも突出したものになっている。怪獣映画のお約束に理屈をつけることで生じてしまう難しさが、ながら観を許さない多大な情報量を視聴者に叩きつけるものになっている。

 とはいえ、『ゴジラ S.P』の醍醐味としてこれらのSF要素を堪能させてくれるのと同時に、怪獣がたくさん登場して人類文明が甚大な被害を追う、怪獣映画としての純粋な喜びを味わわせてくれるのもまた事実。そんなわけで、ここからは本作に登場し、スパロボにも敵味方問わず参戦が期待される怪獣やロボットたちをご紹介させていただきたい。無論、筆者の妄想と期待も込みで。

僕らのジャガー、ジェットジャガー!!(CV:釘宮理恵)

 本作がスパロボ参戦を許された理由にして、『ゴジラ S.P』のメインロボ、いや、メインヒロインこと、我らがジェットジャガーである。元ネタは1973年公開の映画『ゴジラ対メガロ』に登場する同名のロボットなのだが、良心回路なるものを取り付けられた人間のお世話係ロボットにも関わらず顔が悪役顔で、ゴジラがピンチになった折には自身も巨大化して、敵怪獣と闘うという驚愕のデビューを果たした存在である。彼が巨大化した理由についてゴジラファンに聞いてみても「正義の心がなんかこう……アレして……」となるので、身近にゴジラ博士のおじさんがいる方は、ぜひ試してみていただきたい。

 そんなジェットジャガーが、令和の世にまさかのアニメ版でリニューアル。今作では主人公が所属する何でも屋「オオタキファクトリー」が製造した、人間が搭乗可能なロボットであり、主人公が開発したAIが搭載されることで自律動作やコミュニケーションも可能に。その声を担当したのがあの釘宮理恵女史であり、その愛くるしい声には人と機械の境目を超えてメロメロになってしまったわけだが、スパロボ参戦にて再び彼女?と会えることになり、私としても大変ウレシイ。

 スパロボでいうところの「スーパーロボット」「リアルロボット」のどちらに類するべきかは悩ましいところなれど、アンギラスの角を穂にした「アンギラスの槍」を装備しているため、近接戦闘に特化した頑丈なHPを有する機体という可能性が高い。一方、遠距離攻撃の手段を持たず、敵に攻撃するには接近する必要があると思われ、防御や回避を精神コマンドで補ってあげる局面に何度も立たされるかもしれない。AIに精神があるかなんてことは、良い子のみんなは難癖つけちゃあいけないよ?

実質3体参戦!?クモンガ

 すでにPVで参戦が確定している、敵ユニットとして立ちはだかるのがクモンガだ。名前の通り巨大なクモの怪獣で、デビューは1967年『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』とかなり古株なれど、面白いのはその生態にある。

 怪獣としては小さく、群体で登場するため、スパロボでも数十体がステージ開始時に配置されるザコ敵枠としての参戦になるだろう。しかし彼らは肉体を損傷しても身体から出た体液が元の形を生成し、強い再生能力を有することによって中々にしぶとい性能になっているのではないかと思われる。再生を防ぐためにも、1ターンで撃破しないと復活や回復をするなどの効果を持っていることが予想されるので、強力な武装で焼き切るくらいの気持ちで闘った方がよいのかもしれない。

 ところで、そんなクモンガは液体状になった際のフォルムが「ヘドラ」という別怪獣を彷彿とさせる意匠を持ち、さらにその鎌のような手がドリル状になった個体も発見されていて、これはジェットジャガーの原作となった『ゴジラ対メガロ』の敵怪獣メガロをモチーフにしたものと思われる。ということで、三体の怪獣の特性を有するアニメ版クモンガは、一人で三役をこなす働き者なのである。有翼種もいるため移動力に優れている可能性もあり、自ユニットが囲まれてしまわないよう注意したい。

不吉を呼ぶ鳥、ラドン

 『ゴジラ S.P』において最初に登場する怪獣がラドンなのだが、そのためか日常を破壊する非日常の象徴として空を覆い尽くす姿が、何とも印象的となっている。

 特撮映画シリーズでは一個体の怪獣、あるいは番としての登場が有名なラドンなのだが、『ゴジラ S.P』では小型の群体怪獣として設定されているため、クモンガ同様にラドンもステージで最も多く配置される敵ユニットになるであろう。翼竜のため飛行能力を有しており、光線といった強力な遠距離攻撃は持たないものの、大きなクチバシによる攻撃は強力無比なものとなるだろう。近づかれる前に、こちらは遠距離攻撃で応戦して、被弾を少なくしておきたい。特定の電波や電磁波に群がる習性があるため、味方ユニットのロボットの設定によっては集中砲火を受けてしまう、などのプログラムがあればユニークかもしれない。

実弾攻撃は危険!?アンギラス

 ゴジラシリーズ初の敵怪獣である大先輩、アンギラスもアニメでは大活躍を果たし、スパロボにおいてもその参戦が期待されるところである。これまでの怪獣とは異なり一個体の巨大怪獣であるため、シナリオクリア条件になるようなボス敵の扱いとなるのではないだろうか。

 四足歩行の怪獣にて、これまた光線技などを持たないフィジカル一強の怪獣ではあるものの、作中では背中のトゲを高速振動させることで銃弾を跳ね返すという能力を披露し、その異様な反応速度から「未来を直接見ている」と推測される未来予知怪獣なのである。一方、その能力はアンギラスが一度体験した(被弾した)攻撃に限るという特性もあるため、スパロボでは「一度受けた攻撃は無効」かつ「実弾系の武装は跳ね返す」などの凶悪な仕様を引っ提げたボスになる可能性が高い。ビーム系の武装を持ったユニット複数で対応しないと、アンギラスによって味方小隊が全滅、という悲惨な状況にもなりかねないのだ。

 極悪な敵怪獣へのやられ役として、投げられたり顔を切られたり、顎を割かれたりと散々な目にあってばかりのアンギラス先輩だったけれども、スパロボでは強敵として返り咲く未来が見えてきた。そんな未来予想図が的中することを、全国のアンギラスファンは私と一緒に祈ってほしい。

絶望を撒き散らす破局、ゴジラ

 前掲のPVのラストにて“絶望の未来”と称され参戦が決定したのが、怪獣王ゴジラである。スパロボ作品の地球は複数の参戦作品の設定が持ち込まれた結果、散々な状態に陥ることも多いと聞いているが、ゴジラがいるとなれば『スパロボY』の地球はそれはもう大変なことになっている。

 というのも『ゴジラ S.P』におけるゴジラとは、「終末の獣」「禍獣」と伝承されており、作中登場する怪獣たちや既存の物理法則では説明できない物質の発生源であり、成長による形態変化を重ねやがては自身が存在する宇宙すらをも崩壊させる「破局」をもたらす存在として立ちはだかる、正真正銘の最強の怪獣なのである。

 おそらく『スパロボY』でも全形態のゴジラが敵として参戦すると思われるが、PVにも登場した「ゴジラ・ウルティマ」は全長200mの巨大怪獣であり、ゴジラの代名詞でもある放射熱線はウルティマになると強力なレーザー状のものとなり、その射程と破壊力は上陸地を一瞬で壊滅させるほどの威力を有している。また、自身やその他の怪獣たちの大元となっている「紅塵」なる物質を排出しているため、ゴジラ・ウルティマが出現する地区の空は紅く染まってしまう。そのため、スパロボではこちらに何らかのデバフを付与させる可能性も考えられる。

 その強大な体力と、自身は一歩も動かずとも無慈悲な固定砲台となれるであろう熱線レーザーは、強化を施したこちらのユニットをいとも簡単に消し炭に変えてしまうだろう。そのため、こちらは総力戦で、出し惜しみなく闘うことを求められるに違いない。作品の垣根を超えたスーパーロボットたちが、ゴジラという最凶の絶望に立ち向かう。そんな胸熱の展開には、JAM Projectのシャウトがピッタリだ。

 『スーパーロボット大戦Y』の発売は8月28日。熱心なファンは戦いの火蓋が切って落とされるその日まで、参戦作品の視聴に大忙しな毎日を送っていると思われるが、ぜひとも『ゴジラ S.P』を観ることで、ジェットジャガーの可愛らしさ(カワイイんだって!!全キャラの中でも一番!!)と、プレイヤーの心を叩き折るに相応しいゴジラの、その絶望的な強さをぜひともご自身の目で確かめてほしい。アニメがお気に召した方は、脚本の円城塔氏によるノベライズ版もオススメで、こんだけ強いアニメのゴジラもまだ「前座」に過ぎない、という恐怖を味わっていただきたい。

 

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』はNetflixにて独占配信中。

https://www.netflix.com/title/80234811

 

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