私がネトフリビブリオバトルするならコレ!『私立探偵ダーク・ジェントリー』

NETFLIXをおすすめしあう回

こんにちは。マシーナリーとも子です。
みんなNETFLIX見てる? 私は……まあ出たり入ったりかな。昔はずーっと入りっぱなしだったけど、最近「流石に2ヶ月くらい使わんかったな」みたいなのが増えてちょくちょく抜けるようになっちゃった。物価高騰の昨今、サブスク代もバカにならんからね……。

そういった意味だと今は久々に加入中の状態なんですよ。先月『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』見たさで入ったからさ。

先月の記事

マシーナリーとも子 海外向けガンダムだって! 大丈夫かな(不安) 見たぜ! NETFLIXの『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』。ガンダム好きだから……。 本作はNETFLIX発のガンダム[…]

なのでせっかくだからと『地面師たち』も見ました。おもしろかった。今年は1月から『カラオケ行こ!』見て『ラストマイル』も見たしなんだか綾野剛ばっかり見てるな。
ラストバトルが仮面ライダーみたいで良かったよ。「地面師」という言葉にそのまま「仮面ライダー」を代入してもいけるし、いつどっちから「(カチャッと変身バックルを眼前に出しながら)……変身」って言い出すのかとハラハラしてしまったよ。まだ綾野剛からスパイダーオルフェノクのイメージが抜けないんです! 何に出ててどんな演技してても!

かなりこれがあってうれしくなった

で、まわりにもそういう『ガンダム』と『地面師』で久々にネトフリに戻ってきたって連中がけっこういてさ。自然と「抜ける前にこれを見ておいたほうがいい!」っていうレコメンド大会になったのね。いろいろみんなのオススメ作品を見ていくなかで「私だったら何を推すかなあ」と考えて思いついたのが今回紹介する『私立探偵ダーク・ジェントリー』なのね。

本作は2016年にBBCアメリカでテレビドラマとして製作され、その後NETFLIXで全世界展開。その後2018年にシーズン2が公開されたんだけども残念ながらそこでシリーズ打ち切りとなっております。

この作品、原作者は『銀河ヒッチハイクガイド』のダグラス・アダムズ。

私この SF小説が大好きでさー! 珍しく何遍も読み直したんだよ。独特のユーモアというかナンセンスさというか、ちょっとステレオタイプっぽい言い方になってしまうけどいイギリスらしい皮肉ジョークに満ちていてとってもおもしろいんだよ!

例えば冒頭でいきなり地球が破壊されることになり超破壊兵器を持った宇宙人が現れ地球人たちはパニックに陥る。くだんの宇宙人はそれを見てこう言い放つ。

まあ終始、こんなノリです。これが永久に続く。

そんなわけで「彼原作のドラマがあったのか!」と存在を知った途端すぐに食いついて一気に見たわけ。いや夢中になりましたね……最高。期待通りにめちゃくちゃで、意味がわからないけど、気持ちよくて、ちょっと人間のことが好きになる。そんなドラマです。

変すぎる、奇妙すぎるけど怖くはなくて愉快なストーリーテリング

いつもオドオドしているトッド

タイトルにあるダーク・ジェントリーと並ぶ、もうひとりの主人公というか相棒、助手というか語り部というか的に活躍するのが、イライジャ・ウッド演じるトッド。彼は出てきて30秒くらいで「いかにもうだつがあがらなそう!!」という圧倒的な空気を纏っているのだが、見れば見るほど本当にうだつが上がらなくてすごい。

金は常に無く、しかも大家はどうもクスリをやってるらしく常に発狂しており起き抜けにトッドの車を破壊するなどやべー環境で生きている。

ベルボーイを務めている彼は、家賃を払うために上司に給料の前借りを頼み込むがなしのつぶてで「いいから金持ちが泊まってるペントハウスの様子を見にいけ」と命じられる。そこではめちゃめちゃ人が死んでいて……。

しかもそれらの死体はなぜかサメに食い殺されていたらしい。なんでホテルにサメ? 不可能犯罪? 仮面ライダーアギト?
第一発見者として警察からは死ぬほど疑われ、ただでさえ金が無いのにホテルもクビになってしまうトッド。そんな絶望的状況の彼のアパートに、やたら黄色いジャケットのイギリス人が乱入してくるのだった……。

こいつがダーク・ジェントリーだ!
マジでダークの演技の胡散臭さとチャーミングさが素晴らしく、すべての視聴者は「なんだこいつ!?」と「こいついいな!」を同時に味わうことができるでしょう。

いつもニコニコしているダーク

自身を「すべては繋がっている」ことを信条とする「全体論的探偵」と称するダークに振り回される形で、トッドは上記の殺人事件解決に挑むことになるのだが……。
でもここからがこのドラマのすごいところでとにかく支離滅裂な展開が目白押しなんだよな。

先に言った「ホテルで殺人事件を起こしたサメ」もさることながら、クロスボウで武装した謎のカルト集団やダークたちを監視する謎の軍隊らしき二人組、幻覚が現実めいて自らを傷つける「パラリビュライタス」なる病気に疾患したトッドの妹アマンダ、世紀末めいた風貌の「荒くれ3人組(4人いる!)」、そして「全体論的殺し屋」のバート……。

「全体論的殺し屋」のバート。躊躇なく人を殺し、身なりは汚く、知性も感じられないすごい女だがどこか赤ちゃんめいていてカワイイので好き。めちゃめちゃ人殺すけど

とにかく訳のわからない設定の登場人物が次々に出てきて「これ本筋と関係ある!?」というエピソードを好き勝手に撒き散らしていき、そしてそれが……だんだん……収束していく!!
これはすごい話です。よくこんなもん書けたな。全体的には荒唐無稽な SFなので、タイトルみて「探偵ものミステリか!」と思ってみると「全然違うやんけ〜〜!」ってなると思うんだけど、この「よくもまあ辻褄合わせたな!!!」ってなる感じは本当にお見事。

それでいて主人公のダークとトッドの関係性も非常に惹かれるものがあって、とにかく意味のわからない言動のダークと、それをウザったがるトッドがだんだんと本当の友情を育んでいくさまは胸がもうね……キュンキュンしちゃうよね。

森のシーンがね、本当にいいんだ……。これ見るとインターネットで自虐とかするのやーめよ! って思えるよ。陰キャのオタク必見です。

シーズン1のラスト、うわーっ! めちゃめちゃ円満で幸せなラスト―! って思ったらすげえ海外ドラマっぽいヒキで終わるので椅子から滑り落ちた

でもだからこそ、「今回の事件の話」とは別枠に用意された、作品全体にまたがる大きな謎、が延々匂わせで終わるのはちょっと残念だったかな……。シーズン2でも全然解決しないで終わるし、打ち切りなので。オイオイ! って感じだ。これ海外ドラマの辛いところね。

個人的にはシーズン2はあんまり好みじゃないけど、「俺は原作ファンだけどシーズン2の方が好きだぜ!」って人も見たことあるのでとりあえず見ましょう。

実は原作とぜんぜん違う話

そんなわけで超お気に入りのドラマなんですけど、原作は未読状態で見たんですね。で、せっかくなので視聴後に原作も読もうと思ったんだけど……オイ!! 全然違う話じゃねえかよ!

まずダークの外見設定が違ぇわ。原作だと小太りの中年男性なんだよ!

おそらく原作表紙のこれが原作ダーク。……違いすぎるだろ!

お話も全然違う話です。なんかこう……政府の陰謀! 的な話じゃないし。逆に言うともっとスケールがデカい話でビビったけれども! ダグラス・アダムズすぎるかもな! 一応ドラマでも原作匂わせみたいなのはあるこたあるんですけどね。

さらに調べるとマンガ版とかラジオドラマ版も存在するし、そもそもドラマ版もネトフリで公開されたやつとは別の短編が作られてて、そのどれもこれもがそれぞれ全然設定違うらしい。なんなんだよ! っていうかそんなにたくさん作られるくらい人気作品だったの!? なかには違うメディアのダーク同士が競演するなんて『スパイダーバース』のような展開もあったようだ。すげえことになってんな。

いろいろいすぎだろ!

ていうかそもそも『銀河ヒッチハイクガイド』を原作しか読んでないんだよねー。映画、評判いいらしいのでいい加減見ようかな。原作は本当に大好きで、ダグラス亡きあとの他作家の二次創作みたいなのまで読んだんだけど……。どっかで配信やってないかしら。

そんなわけで私のネトフリ一推しは『ダーク・ジェントリー』でした! 見てね。あとなんかオススメあったら教えてください。ついつい『水曜どうでしょう』ばっかり永遠に再生しちゃうので……。

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