地元の名産品を生かした怪獣映画!
NETFLIXでノルウェー産怪獣映画、『トロール』を見たぜ!
岩壁のような巨大トロールの顔面をクライミングしていく、すげえ状況なキービジュアル!残念ながら別にこういう話ではありませんが……。
ノルウェーの豊かな自然が工事で破壊される! 環境保護団体からのクレームをものともせずに洞窟が爆破されたそのとき、ファンタジーの存在でしか無いと思われていた妖精・トロールが復活! ノルウェーは大混乱に陥ってしまう! やはりほんとうに愚かなのは人間……環境破壊……地球を大事にしよう……という、あらすじだけ読めば特に驚くことがない、いつもの怪獣映画です。
とはいえノルウェー産の怪獣映画というのはなかなか珍しいし、トロールって せいぜい数メートルの巨漢くらいのイメージあるから(ありませんか?)ビルを破壊するくらいバカデカいトロールってのも新鮮に聞こえた。ノルウェー地産地消って感じでおもしろいよね。でもまあ『トロールハンター』とかもあったか。
本作で意外に思ったのはものすごく「ギャレゴジ」っぽいこと。もちろん、いろんな映画のエッセンスを抽出してると思うし、なんとなく『シン・ゴジラ』っぽいところもある。
怪獣なんて知らない人類たちが、未知の驚異に対してオタクを集めるぜ! みたいな冒頭は『シン・ゴジラ』っぽさある。この政府高官の男も引きちぎった頭を投げて戦う僧侶の小説を書いているオタクだったりする。なんだそれは。
主人公の女の子、ノラも恐竜発掘に精を出す考古学者で、現場の頭の固い連中相手に「怪獣の仕業に決まってんだろうが」と獅子奮迅の活躍をします。
でも「なかなか怪獣が姿を見せずに被害状況だけが伝えられる序盤」とか「陰謀論的な考察に耽る父親に愛想をつかした子供」みたいな主人公まわりの関係はいかにも「ギャレゴジ」っぽい。レファレンス元、そこなんだ~とおもしろく感じられたよ。
暴れる怪獣とそれに対抗する人類の戦いも当初想像していたよりかなり迫力があって見どころがあるし、ピンチに際して主人公がたどり着く対抗策もちゃんとノルウェーという土地の歴史と、トロールというモチーフを活かしていておもしろい。若干ノリがユルすぎるところはあるけど、総じて怪獣映画好きならふんわりとなんとなく満足感を得ることができる、ちょうどいい温度感の映画だと思ったよ。永遠に記憶に残り続ける超名作では決してないけど、真摯に作られとる。
結局のりたまが一番ウマいんだから
と、まあこれだけなら「うーんいい怪獣映画でした。オススメです」って感じで終わりではあるんだけど、さらに推しておきたい点として対策本部のオペレーターであるシグリットちゃんを紹介しておきたい。
え!? かわいくない!?
急に「まるでマンガ」みたいな造形の金髪メガネ女の子が出てきて興奮。しかも冒頭からスマホをハッキングしたりして大活躍のスーパーハッカー。そのうえ『スター・トレック』好きのオタクと言うんだからたまらない。
極めつけにはなぜかテーブルのうえに「手のりたま」を常備していて、ノルウェーが驚異に晒されるとビビって抱きしめるなど「なんで????」と「かわいいからいいか……」の2種類の感情が同時に襲いかかるという妙味を味わえます。ノルウェーにのりたま、売ってんの???
そのほかのキャラクターも総じてなかなか魅力的で、主人公もアクティブながらトラブルメーカーというわけでもなく、キチンと考古学者というキャリアを生かした活躍をしてくれるし、父親は先述通りちょっと頭のネジが外れてるんだけどそれだけに物語の牽引力がすごいし、オタクエージェントの小説話に耳を傾けるなどチャーミングなところもある。フィジカル担当の兵隊の気さくさも気持ちがいいし、見ていてストレスを感じにくい作りになっているんだよなー。これがさっきも書いた「ちょうどいい」感につながっているのかもしれない。ムカつくキャラはちゃんと報いを受けるしね。
そんなこんなで小粒ながらかなり楽しめたいい映画でした。結構視聴数的にも良かったようで、配信開始直後には世界93カ国で映画ランキング1位を獲得、さらに非英語の映画としては史上最大のヒット作となっているようだ。
「トロール」Netflix最大の非英語映画ヒット作に(映画.com)
正直、そこまで言われると「いや、そこまで見られる映画かな!?!?」ってちょっと困惑しないことも無いんだけど、まあウケるのはいいことだよな。実際おもしろいのでこの記事見て気になったみんなは見てみてね。ほんじゃ。
同監督による作品
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