【再見再考】バック・トゥ・ザ・フューチャー【ウルトラスーパーマスターピース】

ムービーナーズ読者の皆さん、こんにちは!始条 明(しじょう・あきら)と申します。
ムービーのナードをやっています。やっていたところお声がけいただき、今回から記事を連載させていただくことになりました。

僕と同じくムービーのナードな皆様におかれましては、日々映画を中心にさまざまなコンテンツを楽しみつつ、その感想を読んだり書いたり、色々されてるんじゃあないでしょうか。そんな中で、まあ……「この映画を観てないなんて人生損してる!」みたいなね。「絶対に観ておくべき映画50本!」みたいな。それはそうかもしれんがうるせ〜〜〜〜ってなる文言、見かけることありますよね。

まあ実際、無数にある映画の中でもタイトルだけは誰でも知っている……実際に観てるかどうかはともかくタイトルだけはマジで全員知ってんじゃあねーのという映画、あると思うんです。
特にまだ生まれてない・小さかった頃に上映されてた映画とかって、わざわざ観るぞ!と思わないと……観ないじゃないですか?最近はテレビで映画もあんまりやんないし……特に、テレビを観なさすぎて今夜の金曜ロードショーの内容をタイムラインで知るような皆様におかれましては……なんとなく「いつか観ないとな〜」と思いながらサブスクのマイリストに登録!……したまま数年が経過してる作品も、山ほどあることでしょう。私には見えています。

 と いうワケで本連載では、マジの中のマジの超名作、ウルトラスーパーマスターピースたちを……久しぶりに観て思い出を語ってみたり、恥を捨てて初見で観てみたり……しながら、その魅力を紹介していこうと思います。
第一回は……『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)!!!!

……そう このレベルです!!!!このレベルの超名作を、あらためて観てみましょう。「さすがに観たことあるでしょ!?」とお思いのそこのアナタ……確かにテレビでも何回も放映されてますけども。とはいえ 言うても40年近く前の映画、いざ観るぞ!って機会がないと本当に観ないモンですから。こういうのは。ね。

逆に……「実は観たことなくて」な そこのアナタ!!!!アナタ、な〜〜んにも悪くないですからね。そういうのね、みんな絶ッッ対あるんだから。今から紹介するから、サブスクでサクッと観ちゃいなって。ね!

のどかな町、ヒルバレーの高校に通うマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)は、近所に住む科学者”ドク”ことエメット・ブラウン博士(クリストファー・ロイド)が開発したタイムマシンの実験に巻き込まれ、30年前・1955年のヒルバレーへ。
自分の時代へ帰るため、過去のドクに助けを求めようとするマーティ。しかし、ひょんなことから若い頃の両親に出会ってしまい、未来で生まれるはずの彼の存在は消滅の危機に……

言わずと知れた名作、と言いましょうか。僕が「一番好きな映画は?」って聞かれた時は、何周も回って結局コレです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』……この長いタイトルが、またイイ響きなんですよね。ていうか、上手いこと略せなくないですか?『BTTF』って書く時もあるけど、カタカナで読むと「ビーティーティーエフ」、コレならそのまま言っちゃう方が伝わりやすいし。

実は観たことない(かもしれない)超名作を紹介するぞ!っていう、この連載を始めるにあたって……やっぱり現代でもタイトルが残ってる映画って「いま観ても全然面白い!」みたいな感じの紹介になるかなあ、と 思ってたんですけども。この映画に関しては普通にメチャメチャ面白いからな……どうしよう……

別にそんなことのために観なくてもいいけど、あえて注目すべきポイントを挙げておくと……やっぱりタイムトラベルと、それに伴って生じるタイムパラドックスを応用したSFエンターテインメントとしてメチャメチャ完成度が高い点、になるのかしら。未来から来た子供が両親の仲を取り持って……っていう展開だけで見れば、それこそ『ドラえもん』の序盤でも同じような話があったりとかするんだけども。「え!?あそこがこう繋がってくんの!?」とか、今でいう伏線回収みたいな展開を随所に散りばめつつ……時空を超えた大冒険を描きつつ……やってることはスゲ~小規模な高校生の小競り合いっていう。基本的にコメディタッチな学園青春モノなんですよ。

あとはなんたって、タイムマシンの代名詞・デロリアン。これも……名前が!イイ響きなんですよね。デロリアン。この車自体は別にこの映画オリジナルじゃなくて、実際にあった車種を映画に登場させてるだけなんですが……それがまた、結構ハチャメチャな経緯を辿った会社から出てた車で……映画公開当時にはとっくに生産終了、というか社長がコカイン所持で逮捕されたりで会社自体が倒産してて。それで逆に希少価値が出ちゃって……とか、そういう逸話も色々あるんですけども。

ヘアライン(研磨跡)が残るカクカクしたステンレス製のボディに上方向に開くガルウィングドア、タイムマシンのベース車両としてこれほど説得力のあるビジュアルもなかなかないぜ。2016年までは大阪のUSJにアトラクションがあったんですけどね〜。今は怪盗グルーが過去の世界を侵略したせいでミニオンたちに支配されています(と解釈することで正気を保っています)。

この映画に限った話じゃないんですが、名作映画ってだいたい日本語吹替版が何パターンか存在していて……というか、実はそもそも劇場で流す用の吹き替えが大々的に製作されるようになったのは2001年の『ハリー・ポッター』以降なんですが……要はテレビで流れる版とソフトに入ってる版(デジタル配信されてるのもこっち)で、吹き替えてる声優さんが違うんですね。テレビ版の吹替……も また色々あるっちゃあるんですけど、主にマーティを三ツ矢雄二さん、ドクを穂積隆信さんが演じてるテレビ朝日版が有名でしょうか。ソフト版はマーティが山寺宏一さん、ドクが青野武さん。どっちもイイんですけどね~~~~。個人的に耳馴染みがあるのはソフト版かなあ。なんたってUSJのアトラクション……というかキューライン(待ち列)で一生聴いてましたから。よりテンションが高くてコメディ色が強いように感じます。最近のブルーレイには色んなバージョンが収録されてたりもするので(宮川一朗太さんのBSジャパン版とかも。こっちはドクが山寺宏一さん!)聴き比べてみるのも楽しいんじゃあないでしょうか。ほしい物リストに入れといてセールの時に買いましょう。

今回、改めて観てみたんですけども。やっぱりマーティとドクの対等な関係がイイな~と。ドクって設定的には65歳(演じるクリストファー・ロイドは当時46歳!白髪のせいかすげえ老けて見えるけど その後もずっとあのままですね)(ていうか過去のドクも35歳には見えねえよ!)なんですが、高校生のマーティとほぼ完全にフラットな立ち位置の親友として描かれていて。もちろん年上のメンター、人生の先輩としてマーティを導くような場面もあるんですが、マーティから若者ならではの視点をいろいろ教わったりもして……なんか映画におけるこういう関係って疑似親子みたいな風に描かれがちだったりして、それはそれで別にいいんですけども。別に父親像・息子像みたいなものに重ね合わせなくても、純粋な友情として成立するってのがね。イイと思います。

まあ~~~~でも、いくらウルトラスーパーマスターピースといえども 過去の作品にはつきものなのが、いま観るとココちょっとどうよ!?な 問題点の数々。もちろん面白いものは面白いんだけど、時代によって価値観ってのはどんどん変わるもので、かつ名作ってのは往々にしてその時代ごとの価値観を反映するものでもあるので。振り返って再見する、ってなると、そういった視点で観ることもまた、避けては通れないんじゃあないかなと。ね。めんどくさいトコかもしれませんけども。大事ですから。

劇中でも名前が登場するロナルド・レーガン大統領政権下での文化的な影響……とかって言うと、またカタい話になっちゃいますけども。そもそも、いじめっ子にパンチで大逆転!ガールフレンドもゲット!腰抜けにはアメリカン・ドリームはつかめねえぜ!ってのが だいぶオイオイオイって話ではあったりとか。人種的な問題で言うと、冒頭に登場する”リビアの過激派”がそれっぽい服を着た俳優だったり……黒人ロックスターであるチャック・ベリーの名曲は、過去のマーティの演奏に着想を得たものだったのだ!みたいなギャグだったりも。いいシーンなんだけどね!興奮しながらチャックに電話するいとこ(マービン)の顔、スゲ~いいんだけど。それはそれとして、構図としてちょっとどうよ!?っていう話で。
あと、これも名作にありがちなのが……ジェンダー観ですね。つってもこの作品では(シリーズを通して)まだマシな方ではあるんですけど。たまに、いくら昔の映画っつったってなんぼなんでもバグり倒しとるやろコレみたいなのもありますし。実質的なヒロインである若い頃のお母さん・ロレインがけっこう自由……というか奔放というか……で 主体的なキャラクターなのはいいとして、お父さんジョージが(精神的マッチョとして)成長するためにロレインが襲われかける……っていう展開は けっこ~オゲゲって感じがしちゃうのも正直なところ。

こんなところでしょうか。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんてもう、おそらく全フレームに至るまで世界中で語りに語り尽くされてる映画ですし、別にわざわざ語らなくてもね。不動不滅のウルトラスーパーマスターピースであることは、揺らがないとは思うんですけれども。それはそれとしてマジで観たことない人だって全~~然いるワケで。そういった皆さんが……ちょっとでもね。観てみるキッカケになってくれたらウレシーですし。久しぶりに観てみて、こういった過去の名作たちの どこをホメて楽しんで、どこをツッコんで改めていくか、を考えていくこともね。読者の皆さんと一緒にやっていけたらな~ と思います。

だって、未来は自分で切り開くものなんだから……(言いたいだけ)

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