てやんでい。マシーナリーとも子です。今日は1949年の時代劇映画『天狗飛脚』を見ます。
なんでかっていうとツイッタ……Xのフォロワーがおもしろい! って言ってたのがきっかけという大変受動的なもので、正直それまでまったく存在を知らなかった映画。
だけども私がインターネットに期待しているものは「俺がまったく知らないことを教えてくれ!」なのでこういう出会いはありがたいぜ。
しかし1949年ってすごいな。2045年からしたら100年近く前じゃん。『ゴジラ』ですら1954年だぞ! 多分私が見た映画で3番目に古い映画だな……。思い出してみたら一番古いのが1922年の『吸血鬼ノスフェラトゥ』でその次が1928年の『蒸気船ウィリー』でした。え、ミッキーってあと5年で100歳!?
あと、私はそもそも時代劇をあまり見たことないんだよな。テレビでやってた時代劇ドラマの数々は「眺める」程度だったし……。マンガとかは結構好きなんだけどな『子連れ狼』とか。
うーん『暴れん坊将軍』が出てきた『劇場版仮面ライダーオーズ』は見たけども……。あと『刀剣乱舞』……。あっ『るろうに剣心』は時代劇に入ります? 入るならそれもカウントしてください。それと『超高速! 参勤交代』は面白かったです。そんな時代劇視聴歴・知識共に弱々な私だけど面白かったのでよろしくお願いします。
江戸にすげえ足が速い男あり!
時は江戸時代。江戸には俊足の怪盗が現れ奉行所は手を焼いていた。なにせ岡っ引きより足が速いので捕まえることができねえ! そこで同心は
「飛脚なら足が速ぇんだから怪盗を捕まえられるんじゃねえか?」
と思いつき、飛脚屋に目付のスカウトに向かう。
いっぽう、江戸の飛脚屋の老舗「てんぐ屋」は新進気鋭の「亀屋」に飛脚を引き抜かれまくり廃業の危機に陥っていた。残ったスタッフはノロマの3人組のみ! 足が遅くちゃ飛脚は商売あがったりだ!(なんでこいつら飛脚やってんの?)
さらに江戸では子供のみ罹る熱病が大流行。多くの幼い命が失われようとしていた。治療の鍵となる解熱剤はオランダ製で、大阪でしか手に入らない……どうする、医者!
と、江戸ではさまざまな事件が起こっており、別に動乱というほどではないがワチャワチャしていた! 穏やかじゃないわね。そんな江戸をなんとかするのが……。
異常に足の速い男、通称「天狗の長太」である。
フラフラしてたところをすったもんだの末、天狗屋の世話になることになるこの兄ちゃん、天狗を名乗るだけあってマジで足が速い。引くほど速い。なにせ東海道を突っ走り、江戸と大阪間の往復を6日で終わらせるのである。瞬足。
東京大阪往復6日。これがどのくらい凄まじいスピードなのかと言うと、例えば『東海道中膝栗毛』の弥次喜多は大阪と言わず、その中途である三重は四日市にたどり着くまで12日をかけている。片道でだぞ! 長太がいかに超人かを嫌でもわからせる凄まじいスピードである。妖怪だよ、お前……。まさに天狗…天狗の仕業じゃ!
美しく収束していく物語
と、軽く映画の内容について紹介したけどこの映画、見ていくと「案外要素多いな」と思えてくる。
大きく分けるだけでも
「怪盗」
「同業他社との対決」
「江戸に蔓延る奇病」
と物語にまたがる事件が3つも発生する。
さらにそこに主人公・長太の恋模様、超人であるからこそ発生する周囲からの賞賛、そして葛藤劇なども絡み、正直
「こ、この話ちゃんとまとまる……!? なんか話が散らばりまくってない!?」
と不安になることもあった。
でも終盤の構成が本当に見事でこれがキレェーに収束していくんだわ。それもなんか「剛腕!」とか「勢いで無理やり!」って感じではなくて実に鮮やかにまとまっていく感じがうめぇー。これは気持ちいいのでぜひ味わってほしい。そしてもちろん万物を解決するのは天狗の脚力ってわけだ! たまらんね。
そしてものすごくテンポがいい! いや物語自体も結構いいテンポなんだけどそれ以上にシーンごとの、登場人物の会話が聞いていて音として気持ちいいんだよね。
何せ昔の映画なので音質は悪いし江戸時代の言葉なので時代がかっていて「何言ってるか全然わかんねえな」ってシーンも正直ある!
が、それを含めても音の具合だけで笑えるみたいなシーンがたくさんあって非常に楽しい。特に天狗屋のノロマ3人組の会話はいつも3人であることを活かしてポンポンポン、と実にいいリズムで謳ってくれるので実に楽しい。
中盤、とある事情からしばらく寝食を共にした同心に長太が激烈早口を浴びせるシーンは「よく息が続くな!!!」と感心するほどで手を叩くほど面白かったぜ。
チャンバラが作れない時代があったんですね
あとこの映画、ここまで読んでもわかるように殺伐とした要素がほとんど無い。ちょっと悪いやつがヤッパを振り回したりはするけどそれだけだし血も出ない。全体的にすごくユーモラスな映画で楽しく見られる。
見てる時は単純に「そういうジャンルの時代劇なんやろな」としか思ってなかったんだけど、本稿を書くにあたって軽く調べてみて驚いた。この頃、GHQから「チャンバラ映画の禁止」がされてたんだね。いや恥ずかしながらまったく知らんかった。
正しくは「十三カ条の映画製作禁止条項」と言うもので、軍国主義的、愛国主義的、封建社会の肯定や仇討ちもの、切腹を禁止するといった内容だったようだ。ふーん。
ちょっと流石に「そうなんだ! ちゃんとしたソースをあたるために図書館に行こう!」とまで動けてなくて、正直申し上げて今ちょっとググった程度のにわか知識で語ってしまって申し訳ないんだけど(私はこういう予防線はしっかり張っていきます)、たとえば東映でも『チャンバラが消えた日』なんてドラマが作られていたりするのね。このへん、私が本当に時代劇全然見ないから知らないだけで、界隈的には超常識だったりするんだろうけどちょっと素直に「へぇ〜〜」と思ってしまった。やっぱいろんなジャンルに手を出すのはいいわね。知らんことに出会えるから。
とはいえ怪我の功名というか、あまり「検閲のおかげで結果的に面白い映画ができたぜーっ」という言い方はしたくないんだけどこういうユーモア時代劇が生まれてくれたことには不思議な因果を感じるぜ。人間の営みってオモシロー。
あと東海道を爆走するシーンとか素直に「いま絶対撮れないよなこの光景」って感じでおもしろい。無いじゃん。こんな景色。でも昔は確かにこういう景色があり、そこでロケをしていて、だから今もこうして見直すことができるって、なんかまあそういうふうにやってるから当たり前じゃんって話ではあるんだけどなんかスゲーしおもしろいなあって思った。
これが倉庫の奥に眠っていたフィルムとかでも、昔のVHSを出してきたでもなくAmazon Primeで見られるってのも不思議な感じがするぜ。天狗の仕業か? そんなこんなで、なんだか色々昔に思いを馳せてしまいました。
何はともあれ『天狗飛脚』、1時間ちょいで楽しめる痛快なお話なのでオススメです。ほんじゃ
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