どうもこんにちは、えのきです。
みなさんは映画を見る時にタイトル詐欺に出会ったことはありますか?
「何だよこの映画全然タイトルと違うじゃん!」ってアレです。
B級、Z級の映画を見ているとちらほらあります。「TOKYOってタイトルについてるのに全然TOKYOじゃねえじゃねえか!」とか結構ありますよね。ひどい!でもそこが好きなの、あの人にもいいところあるんですよ、こう、一生懸命なところとか……!的な。
サメ映画は存在自体が詐欺だよ!と言われそうですがそこからは目を逸らして意外とタイトルには堅実、というかサメ映画解釈すれば「うーん!これはタイトル通り!」と評価がガバガバになってしまいがちですが、サメ映画でもタイトル詐欺と割と語られるタイトルはあります。
それが今回の『フライング・ジョーズ』です!
怪物は、音もなく忍び寄るーー
この『フライング・ジョーズ』サメ映画ファンには結構タイトル詐欺で有名で、タイトルからして「まーたサメが飛ぶ映画か」と思わせて置きながらさっぱりサメは空を跳びません。許されないだろそんなの!
それもそのはず、本作の原題は『SWANP SHARK』沼地のサメです。この邦題付けた責任者呼べよ!
ですが、この『フライング・ジョーズ』タイトル詐欺ではあるのですが、これがなかなか堅実な地に足ついたサメ映画をやっています。それもあってゲテモノ揃いのサメ映画の中ではやや埋もれがちなサメ映画ではあるのですが、タイトル詐欺で切り捨ててしまうにはもったいないので今回紹介したいと思います。
そんなわけであらすじいってみましょう!
フライング・ジョーズの強みであり弱み、それは堅実な作りと言えるでしょう。
サメというモンスターの魅力一点突破!シナリオの整合性も常識も全部捨ててかかってこい!という作品もZ級映画の面白みと言えますがフライング・ジョーズはサメという存在のスター性だけで勝負しようとするのではなく(これは予算の都合などもあるのかもしれませんが……)丁寧にB級サメ映画を作り視聴者を適度に緊張させ、適度に人が死ぬところで楽しませ、クライマックスのサメとの決戦でテンションを上げさせる、という作りが欠点であり魅力です。
とはいえ堅実な作りは見てみた時にこそ実感できるもの。
主人公たちが良い感じにテンポ良く物語を回してくれるので、「なんでどうでも良い話を延々と……」とはならずに何かしらことを起こしてくれるのでストレスなく見ていけます。
「ワニレストランの営業再開のためにサメ見つけて殺すわよ!」と色々覚悟完了が早い主人公のレイチェル、元アメフト選手のレイチェルの兄のジェイソン、ちょいちょいヘタれるレイチェルの恋人のタイラー、レイチェルの妹のクリスタル、クリスタルのことが好きなアルバイトのマーティン、ワニレストランの常連のコーヒーしか注文しないトミー。
主人公チームだけでだいぶ人数がいるのですが、彼らがそれぞれキャラが立っていてお話が回っていきます。
特に面白いのがアルバイトのマーティンです。
アルバイトのマーティン(右)頼りなく見えて序盤の犠牲者ポジかと思わせるが……
彼一人でなぜかサメの生態を推測したり、サメの出現場所を予測して特定したり、コンピュータを駆使して作戦を立てたり……と大活躍。
サメのルーツも独自調査で特定するマーティン。
正体不明のサメの行先の予測を一人で立てる(しかもあってる)
サメ退治作戦を立てるマーティン。お前アルバイト以外に絶対向いてる仕事あるよ……モンスターハンターとか……
クリスタルを好きだけど好意を示せないへたれ具合も含めてパッとしない第一印象がどんどん変わっていく物語の展開が面白いです。
サメ映画お約束の喰われ役の人々も「あ、こいつ喰われるんな」と一瞬でわかるようになりつつも、初見時に予想できるタイミングと絶妙にズラされます。
「ここで喰われると思ったじゃん?」と言わんばかりにタイミングがズレる。でもそこが鼻につくわけでもなく、イチャつくカップルには「なんだかこいつら喰われて欲しいな……」と見ていて感情が湧いてくるが、「まだ喰われないの?」ともどかしくならない程度に愚かな御膳立てがされていく……モンスター映画定番の被害者になるための前フリが丁寧に舗装されていく……
また、いちゃついてセックスおっぱじめようとしているカップルが喰われるかと思いきや、そのカップルを覗いていた人間が喰われたり、と良い感じに王道を押さえつつも、ちょっとした変化が見ていた飽きさせません。
「やっべえ……」ってイチャつくカップルの覗きに夢中の保安官が喰われたりと緩急が面白い。
終盤のサメとの直接対決パートではそれまで控えめだったサメの露出もバッチリです。大暴れするサメと人間の戦いをガンガンに見せてくれます。
爆発物咥えさせたり
血でおびき寄せたり。
終盤はガッツリサメも出てきます。やっぱり飛んでない!
「おっ!ジョーズオマージュか?」「ディープ・ブルー?」と思わせる展開をしつつ、しっかりと独自路線を出したりと「わかってる」外しがちょくちょくあって独自色がしっかり立っていてサメ映画です。
しかし悲しいかな……その堅実さ故にゲテモノ揃いのサメ映画だとどうしても埋もれてしまう、タイトル詐欺的な側面だけが話題になってしまうのは悲しいことです。
よりによってこんな地に足ついた作品にフライングって……
とはいえ、しっかりとした作り故に「なんかジョーズとかディープ・ブルーはもう見たけど、B級サメ映画みたいなー」という要求には応えてくれるサメ映画となっているのではないでしょうか。ゲテモノ揃いすぎて友人と一緒に見たら「あの……ごめんな?」とならずに「あー結構馬鹿馬鹿しくておもしろかったな」と言えるような塩梅のサメ映画です。
タイトル詐欺といいますが、ろくにサメの出ないサメ映画も存在する中でばっちりサメが出ていてお話もしっかりしているのでむしろタイトルは誤差の範疇、これはっ全然詐欺ではないのではないでしょうか!?(錯乱)
そんな本作『フライング・ジョーズ』
ポップコーンなどを食べながら家で気楽に見るのにちょうど良い娯楽映画ではないでしょうか?
ではまた次回!
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