『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』=『仮面ライダー1号』/「仮面ライダー1号」度診断

映画を観ている最中に他の作品のデジャブが強烈に引き起こされた経験ありませんか?今回はそんな話です。

まず皆さんは仮面ライダー45周年記念作品にして「スーパーヒーローイヤー2016スペシャルプロジェクト」の第1弾であり、初代仮面ライダーだった藤岡弘、演じる仮面ライダー1号が主人公の劇場用映画作品である「仮面ライダー1号」はもちろんご覧になっているかと思いますが、ひとまず観てない方のために解説させてください。

※ネタバレ要素も含まれるので、「俺はいつか仮面ライダー1号を観ようとしてたんだネタバレだなんてふざけるな!」という方は、AmazonプライムやU-NEXTを筆頭にただいま見放題に入っているので早急に是非ご覧になってください。

仮面ライダー1号あらすじ

悪の秘密結社ショッカーを壊滅した仮面ライダー1号こと本郷猛は、45年経った今もなお世界各地でショッカーの残党たちと戦い続けていた。
そんな中、本郷はかつての師、立花藤兵衛の孫娘である麻由が地獄大使を復活させるための生贄として狙われていることを知り帰国。本郷は日本で活躍中の仮面ライダーゴーストたちと出会い「命の宿題」を残す。地獄大使率いるショッカー残党、内部分裂したノバショッカーと三つ巴の戦いへ赴く本郷、だが彼の身体は限界を迎えていた……。

近年、仮面ライダーの映画は1年に数回上映するんですが、主に春・夏・冬に分類され、「春映画」はいわゆるオールスター的客演が多く、話がしっちゃかめっちゃかになりがちでライダーファンからは批判の声がある一方、逆にクセになってしまう中毒者が続出する傾向にありまして。
「仮面ライダー1号」はそんな春映画の中でも客演ライダーを仮面ライダー1号のみに絞ったにも関わらず濃いシナリオや演出を浴びせられ、かなりの賛否両論が当時起きました。
今までの春映画は例えるならば具だくさんのピザの中にパイナップルやらキムチやらゴボウが入ってるような出来だったのに対し、今作はピザ頼んだのにむせるような味噌汁が出てきた感じでしたからそりゃ当然というもの。

ただこの味噌汁、私はとても美味しく頂けたんですよね。
というのも昨今の藤岡弘、さんってバラエティでは「なに言ってんだこのおっさん」というギャグ扱いがほとんどだったと思うんですよ。そして出演するときは大抵「初代仮面ライダー/本郷猛=藤岡弘、」が付いて回っている。それを本人はいい気はしてなかったと思うけどそれでも出演してくれていた。

これ、「仮面ライダー1号」前半の本郷猛の扱いと被るんですよね。真剣に「生命」について語っていても変な空気が流れたり。後輩ライダーに批判されたり老体に鞭打って過酷な現場に連れ出されたり。

若干ネタバレになるんですが、中盤で本郷猛は戦いに破れ一回死亡し、キャンプファイヤーレベルの火葬のなか復活するんですよ。

©2016「仮面ライダー1号」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

この劇中での死はまさにいつの間にか同一の存在として扱われていた「本郷猛=藤岡弘、」の死を表していると私は認識していて。
前半の反応に困るシーンもどこへやら、復活してからラストまではとにかくずっとカッコいい本郷猛の活躍の目白押し。まさに正真正銘ヒーローとしての「仮面ライダー1号」の復活を描いているわけです。

どこか商売っ気が先行していた春映画というくくりの中で、作り手の熱意の暴走が心にガツンときて、当時仕事とプライベートの両方で精神的に参っていた私はラストのメッセージではついに泣いてしまったほど。シナリオのメチャクチャさなんて二の次な、バツグンに好きな1作です。

さてそんな「仮面ライダー1号」ですが、仮面ライダー脚本家の中で一番「個性的」な井上敏樹と現代のサムライ藤岡弘、が5か月かけて脚本を完成させただけあり、強烈なシーンの数々がてんこ盛り。
当時「KING OF PRISM」とハシゴして観たのですがその日の夜は夢でうなされたほど。

この「仮面ライダー1号」、あまりに濃すぎるがゆえに、他の映画を観ていてもどうしても頭にちらつくわけです。

例えば、以下の項目にあたる映画のシーンがあれば「仮面ライダー1号」度が高い映画となります。

仮面ライダー1号度 初級編
・命の尊さを感じる
・長年の敵の身体を労る
・後輩に「ナメてんのか」と言われる

©2016「仮面ライダー1号」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

中級編
・宿題を出す
・おばちゃんに美味しかった旨を伝える
・火葬されたのに復活する

©2016「仮面ライダー1号」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

上級編
・登場人物がすでに死んでいることを見抜く
・満面の笑みで太鼓の達人を叩く
・泣きながら本作のメッセージを語る

©2016「仮面ライダー1号」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

どうでしょうか?思い当たる映画はありましたか?
だいたいの映画が命の尊さを感じるので1号度がまったくない映画というのは少なくないはずですが、上記から考えるにシックス・センスはかなり仮面ライダー1号度が高いことになりますね…。

さて、私が知る限りいちばん「仮面ライダー1号」度が高い映画は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」。

節々に仮面ライダー1号しぐさが散りばめられ、奇しくも仮面ライダー1号の公開から一ヶ月後の劇場公開だったことも手伝い、鑑賞後の友人との感想会のほとんどを仮面ライダー1号の話で終わらせてしまったほど。あれは未だに反省しています……。

とはいえシビル・ウォー、ラストのキャップからのメッセージに至っては「キャプテン・アメリカは君たちとともにいる」なんてテロップがでかでかと出たんじゃなったっけと錯覚するくらいの1号度だったじゃないですか!?
まずキャプテン・アメリカ自体がどこか藤岡弘、感はあるし、前作「エイジ・オブ・ウルトロン」で薪割りするなどシリーズを跨いだ1号度を発揮してくれました。

そんななか、たったワンシーンで濃厚な仮面ライダー1号度を叩き出す快作が生まれました。
その名も「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」です。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

あらすじ

ふとしたきっかけで超人的なパワーを身につけてしまったチンピラくずれのエンツォ。
世話になっていたオヤジが殺され、その娘のアレッシアの面倒を見る羽目になる。アレッシアは超人的な能力を持つエンツォを大好きなアニメ「鋼鉄ジーグ」に重ね愛情が芽生えていく。そんな2人の前に、闇の組織のリーダー、ジンガロが立ちはだかる。

永井豪原作のアニメ「鋼鉄ジーグ」にインスパイアされ誕生したイタリア発のダークヒーロー映画です。題名のせいでイロモノに思われがちですが中身はアメコミ顔負けの正統派ヒーロー展開で、試着室でのファックからの賢者モードなど真顔になる展開もあるものの、にくめないヴィランの存在も手伝いフラットに楽しめる良い作品でした。

そんな鋼鉄ジーグを土台としたこの映画、劇中に寂れた遊園地で遊ぶシーンがあります。
そう、なにを隠そう仮面ライダー1号きっての迷シーン、「ヒロインを観覧車に一人で乗せる」を達成したんですこの映画!

©2015 Goon Films

お世話になっていた人の娘を思い出の遊園地に連れていき、動かない観覧車を超人パワーで動かすという、ATM強盗などにしか活用していなかった超人パワーの使い方についての転機にもなる重要なシーンなんですが、どうしても仮面ライダー1号度が強すぎて強すぎて!

ちなみに仮面ライダー1号の遊園地シーンは、なぜか一人で観覧車に乗せて外からニコニコ見守っていたら停電で観覧車が止まったので「飛び降りろ!まゆ!俺が受け止める!」と本郷猛が叫ぶという奇っ怪なマッチョシーンだったので鋼鉄ジーグの美しいシーンとは天と地ほどの差があります。
まず停電程度で飛び降りる必要ないし、メリーゴーラウンドは二人で並んで乗っていたのになぜ観覧車には乗らないんだ……という謎もあり見れば見るほど愉快な1号でした。

1号、鋼鉄ジーグ共に命の尊さが染み入る素敵な映画です。ぜひ合わせてご鑑賞ください。

いやだから仮面ライダー1号も良い映画なんだって!68歳の重厚感ある殺陣なんてそう見られないですから騙されたと思って観て!今は亡き大杉漣がスーツアクターまでこなしてますよ!騙されて!!

©2016「仮面ライダー1号」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

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