どうしても我慢できねえからルパパト劇場版の話をさせてくれ。

「一瞬も飽きない最高のシーンしかない映画」といえば何を思い浮かべるだろうか。マッドマックス怒りのデスロード……ガールズ&パンツァー劇場版……バーフバリ……今回はそんな映画を一つ紹介したい。

『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film』だ。

 タイトルからおわかりだろうがスーパー戦隊第42作目「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」通称「ルパパト」の劇場版作品だ。
 テレビシリーズ本編もおもちゃの売り上げ以外の全てが最高だったが、この劇場作品は輪をかけて最高だ。30分しかない上映時間ギッチギチに最高のシーンだけが詰まっている。

「まあ、そうは言ってもテレビシリーズ本編見てねえしな」と思われる方もいるだろう。もっともだ。しかしこの際テレビシリーズ見てなくても良いから見てくれ。なあ、プライムビデオで見れる(2020年6月現在)し30分しかないからさあ!

 見る上で最低限知っておくと良い事前知識をザックリ説明しておく。「ルパパト」は快盗戦隊ルパンレンジャー警察戦隊パトレンジャー、そして異世界の犯罪者組織ギャングラーの三つ巴の戦いを描いているかなり変わり種なスーパー戦隊だ。

(C)2018 劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会
ルパ
(C)2018 劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 
パト

 ギャングラーが街にきて暴れるのをパトレンジャーは早くやっつけたい。しかしギャングラーをやっつけるとギャングラーが所持しているお宝ごと爆発してしまうので、ルパンレンジャーとしてはパトレンジャーを邪魔してでもまずギャングラーからお宝を奪いたい。パトレンジャーはいつもギャングラー退治の邪魔しにくるルパンレンジャーを逮捕したい。

 だいたいこのような構造の対立関係になっている。さらにここに快盗でもあり警察でもある追加戦士が一人いる。

「は? ルパンレンジャーはなんなの、悪いやつなの?」と思われるかもしれないが、彼らはギャングラーに大切な人を奪われており、取り戻すためにはギャングラーが所持するお宝を全部集める必要があるのだ。

 もう設定だけで死ぬほど面白い。最高。そしてこの劇場版の最高なシーン詰まり具合をかいつまんで紹介したい。最高なシーンしかないのでかいつまむ必要があるのだ。

 劇場版冒頭、英国からココリコ田中さん演ずる名探偵が来日する。

(C)2018 劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 
ココリコ田中氏。どう見ても名探偵だ。

 名探偵は名探偵なので報道陣に紛れ込んでいたギャングラーを一瞬で見抜くのだ。一瞬というのは上映開始から2分くらいだ。マジすごい。ギャングラーと探偵の護衛に来ていたパトレンジャー、そしてギャングラーのお宝を奪いに来たルパンレンジャーを交えた戦闘がはじまる。開始2分でだぞ。何しろ尺が30分しかないのでギッチギチだ。

 オープニングテーマ曲をBGMに三つ巴の乱戦が繰り広げられるがこのシーンのカメラワークが泣くほどカッコいい。殺陣のカメラワークがカッコ良すぎるという理由で泣いた初めての映画だ。変身しつつ一人一人の見せ場を作りつつ戦隊同士戦わせつつ魚敵倒しつつ死ぬほどカッコいい銃撃戦とやることがギッチギチなシーンなので一瞬も無駄がない。パトレン2号の構えがジョン・ウィックでお馴染みのC.A.R.システムなのが地味に注目して欲しいポイントだ。カッコいいので。

 オープニングテーマ曲が終わる頃、なんか急にもう一人敵が出てきて隙が生まれた各戦隊のレッドがギャングラー側の世界に連れ去られてしまう。ここまで6分もない。とんでもない展開の速さと情報量だ。

 ここから始まる「普段は敵対しているチームの立場も性格も正反対なリーダー同士の一時的な共闘」という全員が大好きな展開。素晴らしいですね。部屋で見ているのなら立ち上がり拍手を送るのもいいでしょう。良すぎて思わず敬語になってしまう。

 元の世界に残されたメンバーの奮闘を挟みながら、これでもかというほどWレッドの共闘を見せてくれる。敵の本拠地へ忍び込むのに不法侵入に当たるのではないかと気にするパトレン1号と不法侵入は慣れたもののルパンレッド。かわいい。関係性がかわいいとはこういうことだ。

(C)2018 劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 
Wレッド。かわいい。

 そしてこれは一応ネタバレなのだが、皆さんの予想通りココリコ田中氏演ずる探偵は実は敵でしたという展開なのだ。このココリコ田中氏が怪人に変身するシーンのCGがメッチャメチャカッコいい。なんか禍々しく光りながら一瞬ホネなんか見せつつ変身するココリコ田中氏はここでしか見ることができない。

 なんやかんやで元の世界に戻ることに成功するWレッド。彼らを迎えるそれぞれの仲間との口数少ないながらも死ぬほど良いやりとりを挟み、再び大乱戦が始まる。冒頭と違うのはルパンレンジャー&パトレンジャーVSギャングラーという構図になっている点だ。本編でも何度か二つの戦隊が共闘する機会はあれど、このシーンの共闘は笑っちゃうほど息が合っていて最高。

(C)2018 劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会

クライマックスは戦隊お馴染みの巨大ロボ戦。普段は合体ロボのパーツを共有しているためどちらか片方の戦隊のロボしか出撃できないという制限があったが、戦隊の「劇場版限定ロボ」という文化のおかげで2戦隊のロボの共闘まで見せてくれる。なんなんだよ、至れり尽せりかよ。

 ルパパト本編を見ていて生じる「こういうのあったら熱いよね、見たいよね」という妄想のほとんど全てが詰まっている最高の劇場版。

 あえて難点をあげるとすれば30分しかない点だ。2時間見せてくれよ。4回見るか。

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film
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