『映画 ふたりはプリキュア Max Heart 2 雪空のともだち』/俺たちを狂わせた1分35秒

15年以上続く人気シリーズ『プリキュア』
現在公開が延期されている最新作『映画 プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』はなんと劇場版28作品目に当たる。
そこで今回は特に、この長寿人気シリーズの原点、いわゆる「初代」と呼ばれるふたりの活躍を描いた映画2作目『映画 ふたりはプリキュア Max Heart 2 雪空のともだち』の見所について非常に局所的に説明していこうと思う。

映画紹介の前に、初代プリキュアを説明するにあたって欠かせないふたりの存在がある。
久保田 志穂と高清水 莉奈だ。

(C)2004 ABC・東映アニメーション
左:志穂・右:莉奈

主役のプリキュアふたりと同じベローネ学院女子中等部に通い、キュアブラックこと美墨なぎさと同じラクロス部に所属しているふたり。
クラスで最も身長の低い志穂に対して最も身長の高い莉奈という凸凹コンビとして描かれだいたいセットで登場する。
ベローネ学院ラクロス部背番号55&23の名コンビ。
当然、みんなもよく知っているよな?

めちゃくちゃ運動神経が良いなぎさ、めちゃくちゃ賢くて美人なほのか、主役のふたりはどちらかといえば憧れの遠い存在のため、我々女児と同じ目線でプリキュアワールドに存在してくれる志穂&莉奈は等身大の存在として共感しやすいキャラクターだと思う。ふたりからしたら「友達の友達」にあたるキュアホワイトこと雪城ほのかとは最後まで苗字にさん付けで呼び合うあたりもリアルだ。だって別に仲良くないし。

そんなふたりの中でも特に莉奈がTVシリーズでは見ることのできない姿を我々高清水 莉奈愛好家(通称リナスキー)に見せてくれたのが、『雪空のともだち』だ。

『映画 ふたりはプリキュア Max Heart 2 雪空のともだち』=高清水 莉奈 THE MOVIE

本作は、些細なことがきっかけで仲違いしたところを敵につけ込まれ心に氷を植え付けられた(≒洗脳)プリキュア同士の戦闘がある珍しい作品だ。
その際の洗脳感のガチっぷりやキュアホワイトの攻撃のいなし方のプロ感が話題になり、他のプリキュア映画と比べても異彩を放っている。

(C)2005 ABC・東映アニメーション

レビューなどでもその辺りが言及されることが多いが、そうした仲違いからの友情の回復、「本当の友達ってなんだろう?」というのが本作のメインテーマである。
TVシリーズ、マックスハートの前作『ふたりはプリキュア』8話『プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!?』も同様に仲違いしたふたりが仲直りする内容で、なぎさがほのかに向けて発した「あなたなんてプリキュアってだけで、友達でもなんでもないんだから!」という言葉が衝撃的な回だったが、この回を経てお互いを名前で呼び始め、真の友情を築いていったふたりが、その友情について改めて見つめ直すことになるのが劇場版の本作なのである。ケンカの理由も藤村(なぎさが憧れている先輩)絡みで同様だ。

ほのかと仲違いしたことを気に病むなぎさに対して、「喧嘩したくらいで別れるのは偽物だ」と自らの友達観を語りつつなぎさを諭すのが本作での莉奈の役どころだ。
その言葉を反芻し、お互いの友情を確かめ合うことで一層深い関係になったプリキュア。

本作における、恐怖を感じさせるほどのふたりの闘いは物議を醸したが、そうした展開を踏まえてのふたりの友情の深化は非常にエモい。

そうした関係にプリキュアがたどり着けた背景には、莉奈の助言があったことを忘れてはいけない
そういった点でも『雪空のともだち』は高清水 莉奈 THE MOVIEと言っても過言ではないのだが、もう一点とんでもない爆弾がこの映画には仕込まれている。

我々を狂わせた1分35秒

本作はスキー場に泊まり込みで遊びに来たなぎさ達一行の姿を描く。
開始から23分50秒、旅館での宿泊シーンでとんでもない映像が我々を襲った。

(C)2005 ABC・東映アニメーション

髪を下ろした高清水 莉奈である。

(C)2005 ABC・東映アニメーション

髪を結っているのが基本で、TVシリーズでも髪を降ろさなかった莉奈が髪を下ろしているのである…恐ろしい映像だ!!
「髪を下ろした莉奈」の登場から退場までは1分35秒である。
2005年当時、その1分35秒を体験するためだけに本作をリピート鑑賞する者達がいた。筆者の知人の高清水 莉奈愛好家は「6回観たよ」と言っていた。
プリキュア15年の歴史の中でこの貴重な姿を楽しめるのは『雪空のともだち』だけだ!
余談だが、『ふたりはプリキュア』第4話「ミラクル!?生きている美術館」では石化した莉奈を見ることができるので、状態異常オタクはこちらも要チェック!

(C)2004 ABC・東映アニメーション

そんな我々の2005年の熱い冬を思い出させてくれる本作は現在Amazonプライムビデオで無料視聴可能(TVシリーズも視聴可)なのでぜひ、高清水 莉奈に注目して最低6回は観て欲しい。

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