『ラバランチュラ〜全員出動!〜』アツさに負けるな!

どうもこんにちはえのきです。

最近とにかく暑い! 
まだ六月だというのに真夏日を超えるような日が出てきて私はかなりゲンナリしています。
ですが今回紹介するのはとにかく暑い、もとい熱い映画です。
こういう暑い日が続く時期こそ熱さで脳をバグらせて涼しくなろうという発想ですよ。

そんなわけで今回紹介する映画はそんな暑い時期にぴったり、溶岩×蜘蛛と言うコンセプトの蜘蛛映画『ラバランチュラ〜全員出動!〜』です。

あらすじ

かつて映画スターとして輝いていたコルトン。しかし今ではB級映画になんとか出演させてもらうような始末。過去の成功を忘れられず、B級映画の撮影でもスタッフと揉めて撮影現場を飛び出してしまう。息子との野球観戦の約束も遅れてしまい、プライベートもダメダメ。
そんな帰りの運転中、突然サンタモニカ火山が噴火する。中からは溶岩を吹き出す巨大な蜘蛛が大量発生。ロサンゼルスの街が大パニックに陥ってしまう。
家族を助けなければ!奔走するコルトン。道中様々な人に危機を伝えるが信じないまま蜘蛛に襲われる人々。あちこちでそんな人々を助けながらコルトンはロサンゼルスを走り回り各地で溶岩を吐き出す蜘蛛=ラバランチュラと闘っていくことになる……

ラバランチュラの魅力、それは王道と切実なまでのメッセージです。
「ラバ(溶岩)とタランチュラ(蜘蛛)でラバランチュラだ!」というもう絶対居酒屋で酒飲みながら考えただろ!みたいなコンセプトとタイトルですがそれを120%全力で押し出してくるようなまっすぐな王道B級映画っぷりが素晴らしい。
配給がアルバトロスフィルムというZ級映画間違いなしみたいな配給会社ですが、いやいやこれがしっかりしたB級モンスターパニック映画となっています。

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ラバランチュラなので当然炎を吹きます。

ラバランチュラが出現→人々がパニック→主人公であるコルトンが奔走→やがてラバランチュラとの決着をつけるための戦いへ……というB級モンスター映画の王道展開ではありますがモンスターであるラバランチュラがこれまた多彩な活躍でモブを殺していくので飽きさせない。

溶岩を吐き出す、という特性でバンバン人を燃やしてモブが焼けしんでいくようなお約束かつ期待通りの活躍をする一方で、コルトンの息子のワイアットのパートではじわじわと人々を追い詰める蜘蛛のカサカサカサカサカサカサ……!みたいな嫌な迫り方もこなしてくれる。

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逃げても逃げてもやってくる

溶岩を吹き出して焼き殺すのは基本で、人間の傷から侵入して繁殖して中から殺す、みたいな結構ショックな殺し方もあるんですが人間の死にっぷりのバリエーションと話の緩急がついていて観ていて「ラバランチュラやべえ〜」って楽しめます。蜘蛛で数が大量にいるものだから案外人間が簡単に倒せるってところも良い。人間がバンバン蜘蛛と戦ってバンバン蜘蛛に殺されていって、「一体一体だったら倒せるけど数が集まるとヤバイ」って塩梅がパニックっぷりにバリエーションを出していて良いです。

あと闘う人間が妙に強い!
主人公のコルトンの妻が自宅に蜘蛛に侵入された際、さっきまでラバランチュラに怯えていたガラスケースに入った大剣、大盾、手裏剣を拳で殴ってガラスを割って取り出し、ラバランチュラを蹴り飛ばし、果てはショットガンを駆使して闘う様は「いや、強すぎでしょ人類」って笑ってしまうパワフルっぷりで序盤のうちから「なるほど、こういう風に蜘蛛とバトっていくノリか!」と入りやすいです。

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なんでそんな急に覚悟完了しているんだ……軍人もあっさり殺されるラバランチュラとナチュラルにファイトします。

ワハハと笑いながら見るのにちょうどよいB級モンスターパニックではあるのですが、同時に溶岩に負けないような熱の入ったメッセージ性もあります。
主人公のコルトンはかつての映画スターでありながら、今ではうだつのあがらない役者として過去の栄光にすがりつきパッとしない人生を歩んでいます。
自分は有名スターだ、という自尊心と同時に仕事もプライベートもうまくいかない現状。開始五分で「あー、こいつはダメな人だな……」と寂しくなってしまう描き方です。

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作中での過去のヒット作『レッド・ロケット』も過去の栄光に……

しかし、ラバランチュラの騒動でコルトンはガムシャラに奔走することになります。
家族の下へ向かおうと走り回る道中でラバランチュラと戦い、ラバランチュラに襲われる人々を助けます。街の人々は初めは「あの映画スターのコルトンだ!」と過去のコルトンだけを見ていたのですが、徐々にコルトンを「終わってしまった映画のヒーロー」ではなく「今のロサンゼルスの危機に立ち向かう現実のヒーロー」として認識していきます。
コルトン自身が失っていたであろうかつての情熱を取り戻していくようで、その様は笑いながら見ているうちに徐々に感情が乗ってきます。
ラストバトルはかつて一緒に映画を作った仲間たちとの共同戦線です。

コルトンは仲間たちと街からラバランチュラ、さらにその親玉であるママランチュラを駆逐する作戦前の演説でこう語ります。

「映画はただの娯楽ではなく大きな力だ」
「映画が生んだ夢と希望がこの国を支えている」

主人公であるコルトンがかつて主演した映画は『レッド・ロケット』というヒーロー映画だったそうです。そのスーツはお世辞にもカッコよくはありません。
かつて一世を風靡した『レッド・ロケット』は過去の栄光でしかありません。

だが、そこの感動は忘れ去られるようなものだったのか? くだらないものだったのか?

これは映画などのコンテンツに触れている人々なら思い当たる方も割といるんじゃないでしょうか? 私はあります。
自分がかつて好きだったものが、過去の遺物になっていたり、傑作だと思ったものが世間では駄作だったり……自分が好きだったものが時代の流れで風化する、幻想が解けてしまう。

でも、その時の感動は嘘じゃない。

そんな強いメッセージがラバランチュラにはあります。
ワハハと笑いながら見れるモンスターパニック映画でありながら、ラストバトルは英雄譚というだけではない、かつて人々を熱狂させた感動は決してなくなったりしないという熱い想いを乗せた展開を見せてくれます。
決してスマートではない、でも、どこか響くものがある。
そんな物語がB級映画で、いや、B級モンスターパニック映画であるラバランチュラだからこそ、強く感じさせてくれるのではないかと思ったりします。

そんな楽しく、そして熱い蜘蛛映画『ラバランチュラ〜全員出動!〜』テンポよくシンプルに面白いB級蜘蛛映画なので暑くなってきた今見てみるのはどうでしょう?

それではまた次回!

・余談
シャークネードの主人公、フィン・シェパードがカメオ出演していたりします。

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Tシャツがチェーンソーなのもgood
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アメリカ一体どんなヤバイモンスターパニック大国になってんだよ……

ちなみに『ボルケーノ・スパイダー』というタイトルで続編も出ています。(レンタルだと『ボルケーノ・スパイダー』セル版だと『ラバランチュラ2』なんだとか。ややこしい!)

相変わらず「コルトン……やっぱりこいつは日常じゃ全然ダメなやつなんじゃ……!」と思うような感じですが続編もテンポ良く、面白いのでおすすめです。

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