「密輸をします」「だから気に入った」ただの人間の水中バトルに酔え!『密輸1970』

マシーナリーとも子

かなーりなんとなく『密輸1970』を見たら超おもしろかったのでみんなにオススメするぜ!

フラッとなんとなく見た映画がおもしろいのがいちばんうれしい

水曜日、それは映画が安くなるhappyな曜日……。

それは2024年7月24日のこと、安いからなんとなく映画でも見るかと思い立った私。デッドプール……はなんとなく今日の体調だとダルいし、ミニオンズは1作目しか見てないんだよな……。間を見てからにしたいよなあ。
そういえば『化け猫あんずちゃん』が周囲で評判いいけど……なんか2,3週先でも見れそうっちゃ見れそうだよなあ……なんてとりとめの無いことをと考えつつ今日はコレや! とチョイスしたのが韓国映画『密輸1970』。タイトルの身も蓋もなさに引かれた形だ。韓国映画って粒揃いのイメージあるしね。なんとなく今日の体調には洋画ほど距離がなく邦画ほど近くなくアニメほど非現実じゃないこのアジアの距離感がイイ気がするぜ……!

そんなかなりテキトーな経緯で見てみた本作なんだけれども……おいおい超傑作じゃないのよ! 今年トップ3に入るくらい好きかも。大変楽しめましたわ。

本作の主人公、チュンジャとジンスクは海に素潜りして貝や魚を獲る海女さん。
彼女らが住む魚村、クンソンは近所に化学工場ができたことで海が汚され不漁続き。経済的に行き詰まっていた。そんなあるとき、彼女らが身を置く船に密輸品引き揚げの仕事が持ちかけられ……というストーリー。税関の目を逃れるため海に投棄された密輸品を、海女さんの能力を活かして引き揚げ裏流通に載せるシノギってことだな。

しかしこういう公害の問題って韓国でもあったんだねぇ~。そりゃあるだろうけどぜんぜん気にしたことなかった。なんとなく頭のなかでヘドラのことを思い浮かべながら見てたよ。

全方面に出来がよくてビビる

海女は潜るのが得意なので密輸品を引き上げるのにもちょうどいい。なんて理論的なんだ

いやー全体的にとても高水準だし、素直にスカッとできるストーリーだしで大満足な映画だったぜ。
密輸の描写はテンポよく楽しく景気よく見せてくれるから、見てる最中に思わず「おっ、俺も密輸してみたいっス!」って思えてくるほど。

ストーリーの大筋も「軟弱だが金勘定とヤッパの扱いはうまい権力持ちのカス男たちにタフな海女が逆襲する!!!」って感じで気持ちがいいし、それを彩る脚本がまたチョーよくできてるんだよね。
メインキャラクターは魅力的にかついろんな面を絶妙なタイミングで見せてくれるし、クライマックスに向けていろんな要素が回収されていく快感もすごい。かといってそうした要素はあんまり伏線伏線してない、自然な描写やユーモア演出に溶け込んでいてわざとらしさみたいなものが皆無なのがきれいなワザって感じで感心したね。

水中の映像はきれいな海で撮ってて実に美しいし、アクションシーンも見事なもんだ。

地上・マフィアバトルもかなり迫力あるし…
水中戦はもっとすごい。さすがに公式予告も匂わせしかしてなかったので劇場で見てください

マフィアがナイフやアイスピックを振り回して繰り広げる地上戦も相当見応えがあるが、今作最大の魅力はやっぱり水中戦だ。海での密輸、海女! というのを存分に活かした水中暴力は鮮やかに美しく、また水中という制約と、そのフィールドでの勝ち方というのを楽しく描いていて見応えがすごい。そうか、水中って人間が立体的に戦えるフィールドなんだ! と今更ながら再認識したね。

例えば……『アクアマン』も水中戦はおもしろいよね? でも彼はスーパーヒーローだし、魚だのでかいカニだのが味方してくれている。そういうミラクルな要素でなく、ただの人間にすぎない海女が海で地に足のついた(水にに浮いてるけど)アクションで見事に立ち回る姿がチョー最高。一見の価値ありだぜ。

あと劇中出てくるファッションとか店内の内装もすばらしい。1970年代が舞台ということもあってちょっと出てくる服や家屋の内装がレトロなんだけどそれがオシャレなんだよね〜〜。

こういう感じのファッションが出てくる。良くない??

チョ・インソンとかいうセクシーすぎる男

でも個人的にいちばん響いたのはタバコ描写!
この映画、時代性もあってか喫煙シーンがすごく多い。そのどれもが感情の余白を感じさせてくれてとってもかっこいいんだよね〜。タバコもマッチもめちゃめちゃポイ捨てするんだけど、その気を使ってなさも現代とは隔世の感があって逆になんかいい。

タバコは一切吸わないし副流煙も好きじゃあないが「タバコを吸っている人間という画」は大好きだぜ。

また、密輸品として多数の「洋モク」が出てきて全体的に印象に残るアイテムとして機能している。っていうか昔の設定だからどのタバコもパッケージに余計なものが書かれてなくてカッコいいんだけどどうやってあんなにたくさん入手したんだろうな。新しく作ったのかな。

そして悪い密輸業者を演じるチョ・インソンの初登場喫煙シーンがウルトラセクシー! ちょっとネタバレだけど紹介させてください。

図解しようかと思ったら公式が上げてたわ。公式もここイイよねって思ったんだ

たまんねぇ〜〜。
このセクシーさ、ぜひ劇場で確かめてくれ!
このチョ・インソンとチュンジャ(タバコを吸わされてる子)の心理戦や共犯関係もとってもいい。チュンジャ、全体的に強かすぎるんだよな……。そういった意味ではジンスクとのW主人公ではありつつジンスクは真面目担当不憫担当って感じでちょっと割を食ってたかもしれないな……。でもチュンジャとジンスクの関係性もたまんなくて、本作は良質なシスターフッド映画としても評価されてるらしい。いやー 預金通帳って使えるんですね関係性の描写に……。

そんなわけで大満足だったわけなんだけど、ちょっと韓国映画、上澄みばっかり接種してる気もしてきたな。別にいいんだけどさ。まだシリーズ一個もみたことないけど『犯罪都市』シリーズも気になるし映画館で予告見た『憑依』もノーチェックだったけどホラーというよりは派手な退魔ものっぽくておもしろそうだったな……。あ、『パラサイト』はなんか……怖そうだから見てないんだ。怖いのマジで嫌なんだ。勘弁してください。でもチャパグリは食べた。
韓国もおいしいものたくさんあるし一度行ってみたいッスね。なんて映画とは全然関係ないベッタベタな締めになってしまったけど今回はこんなところで。ほんじゃ

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