『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』の面白さを知ってくれ!!

2010年に公開され、今年で公開10周年となる『スコット・ピルグリム』が米国で劇場再上映が決定しました!

日本国内では当時、劇場公開が危ぶまれたものの熱心なファンによる署名活動の成果で劇場公開に漕ぎ着けたという経緯がある本作について改めて紹介します!

『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』

あらすじ

カナダ・トロント。売れないバンド”セックス・ボブオム”のベーシストである22歳のスコット・ピルグリムは、中国系の女子高校生ナイブスと付き合いはじめた。しかし、ある日ニューヨークから引っ越してきたラモーナという女の子にひと目ぼれし、彼女とも付き合うことになる。その後、地元のバンド大会に出場したスコットは、空から降りてきたラモーナの邪悪な元カレ、マシュー・パテルと突然戦うことになる。パテルを倒したスコットはラモーナから、「自分と付き合うためには7人の邪悪な元カレ軍団と戦わなければならない」と告げられる。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ベイビー・ドライバー』で知られるエドガー・ライト監督による本作。
主人公は売れないバンド「セックス・ボブオム」のメンバーでほぼニートのスコット。
ちなみにボブオム(Bob-omb)はマリオの敵キャラ「ボム兵」の英語名で、つまり「セックスボム兵」というやんちゃなバンド名です。
序盤はこのスコットを中心とした日常系のゆるい雰囲気で進行しますが、このスコットが一目惚れし、付き合うことになった「ラモーナ」の元彼が現れると物語は急展開し、激しいバトルものに変化します。
端的にいうと「元カレ殺す」そんな物語。
間違いなくクズなのだが、憎めない主人公を中心とするカナダを舞台にした一風変わった青春劇それが『スコット・ピルグリム』です。

原作はコミック『Scott Pilgrim

カナダの作家である「ブライアン・リー・オマリー」氏によるコミックが原作となっており、こちらはOni Pressというアメリカの小規模な出版社から2004年8月から2010年7月にかけて単行本全6巻が刊行されました。日本では二冊分を一冊にまとめた全3巻の邦訳本がヴィレッジブックスから出版されました。原作第1巻刊行あたりの時期から映画化の話が持ち上がり、完結前に映画版脚本が完成したため、終盤の展開が原作と映画では異なります。
しかし、映画序盤の原作再現度は異常でほぼ完コピです。ぜひ比較して鑑賞してみてください!

日常系青春劇を基本としつつも、「敵(人間)を倒したら消滅してコインが手に入る」「1upアイテムを取っていたから1回死んでも大丈夫」などゲームのような設定が脈絡無く現れる独特な世界観が、日本の漫画・ゲーム等の作品に強く影響を受けたブライアン・リー・オマリーの独特でポップな絵柄で描かれる原作。

ヴィレッジブックス『スコット・ピルグリム VS ザ・ワールド』より

ブライアン・リー・オマリーは、物語の骨子は相原コージと竹熊健太郎による漫画『サルでも描けるまんが教室』(サルまん)を参考にしたと語っており

2017年11月、ブライアン・リー・オマリーが初来日した際に明治大学大学院で実施された特別講義において、三者が初対面したのは非常に感慨深かったです。

当日、私もこの現場に居合わせており、サインをいただきました。

独特な空気感、会話のテンポがあるものの、このように日本のカルチャーに非常に強く影響を受けているため、比較的読みやすい作品だと思います。非ヒーローもののアメコミ入門にも強くおすすめします!

音楽はRADIOHEADのプロデュースなどで知られるナイジェル・ゴッドリッチが担当

本作はバンドをテーマにした作品でもあるため、音楽周りも非常に豪華になっています。
監督からの熱望でCornelius1が楽曲を制作したほか、BECKが主人公のバンド「セックス・ボブオム」が劇中で演奏する楽曲を書き下ろしており、またQUEENやTHE ROLLING STONESの楽曲、「ゼルダの伝説」や「ファイナルファンタジーII」の音楽などが使用されています。
特に、ゼルダの大妖精の泉のBGMが使用されているシーンは印象的で、エドガー・ライト監督は、音楽の使用許可を得るために任天堂に映画のクリップを送り 、「彼の世代の童謡」と評した手紙を書いたとのこと。
このあたりの話はBlu-rayの特典映像に収録されている監督と有野課長の対談でも触れられているのでぜひ本編と併せて見ていただければ幸いです。

ゲーム版『スコット・ピルグリム』

公開当時、ゲーム化もされていた「スコット・ピルグリム」
日本では劇場公開が遅れたため映画より先にこちらのゲーム版がリリースされました。
ダウンロード専売でPS3,Xbox360で配信された本作
くにおくんライクなベルトスクロールアクションゲーム(というかほぼダウンタウン熱血物語です)で、後にDLCでドッヂボールモードも追加されました。

キャラクターデザインは原作準拠で、グラフィックは「メタルスラッグ」や「ボボボーボ・ボーボボ」など日本の作品から影響を受けたピクセルアーティスト(ドット絵師)「ポール・ロバートソン」氏が担当しており、非常にキャッチーかつカオスなビジュアルに加え、音楽はアメリカのチップチューンバンド「ANAMANAGUCHI」が担当しており、それらが相まってレトロでポップなゲームに仕上がっています。
タイアップゲームで、かつキワモノ感も強いゲームでしたが、実際結構普通に面白いゲームでした。
本編での主人公スコット以外にも、バンドメンバーやヒロインのラモーナもプレイヤーキャラクターとして使用できたのも原作ファンには嬉しい仕様でした。

残念ながら既に配信は終了しており、現在入手不可ではありますが、BGMに使用されたANAMANAGUCHIの楽曲はspotify等で配信しているのでぜひ聴いてみてください!

まとめ

日本の作品に強く影響を受けた原作を基に、同様に日本の作品に思い入れのある監督が撮り、

(C) 2010 Universal Studios.

ゲーム的な演出や日本作品へのオマージュが随所に見受けられ、親近感を覚えてしまうような本作『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』ぜひこの機会にお楽しみください!
配信では2020年5月22日現在、NETFLIXにて見放題視聴可能です。

  1. 小山田 圭吾、フリッパーズ・ギターのメンバーとして1989年にデビューし、フリッパーズ・ギター解散後は主にソロユニットCornelius(コーネリアス)として活動。

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