サモン・ザ・ダークネス(原題:We Summon the Darkness)
怪作や問題作も含め、他ではなかなか観る機会のない一風変わった映画を特集する映画ファン恒例行事「未体験ゾーンの映画たち」。
今年2020年は「未体験ゾーンの映画たち2020 延長戦」として延長戦企画も実施され、その中の1本が本作『サモン・ザ・ダークネス』で、この度NETFLIX配信が開始された(その他UNEXT等でも配信中)。
予告やあらすじを一見すると、ヘビーメタルと悪魔崇拝を絡めたカルト殺人を描いた作品に見えるが、本作はその実、メタル要素や悪魔崇拝要素は非常に薄い。
NETFLIXオリジナル映画の『ザ・ベビーシッター』のような作品を想像すると、肩透かしを食う可能性があるが、そうしたイメージと全く異なるような作風自体がストーリーの軸になっているのが本作の魅力だ。
序盤は犯人視点で、女子3人旅が描かれ、タランティーノの『デスプルーフ』を彷彿とさせるような雰囲気で進行する。
事件の被害者となる男チームとライブ会場で出会い、徐々に雲行きが怪しくなっていく。女子3人組が最近話題の悪魔崇拝カルト殺人犯だと分かるが、実はその事件にも裏があり…といった形で物語が二転三転する面白さがある。
その女子3人組がなかなか強烈で、『パーシー・ジャクソン』シリーズでアナベスを演じたアレクサンドラ・ダダリオの怪演を筆頭に、ブロンドのヴァレリーはめちゃくちゃ頻尿で、3人の中でもっとも新参なビヴァリーは芝刈り機を振り回す。






シリアス寄りなサスペンスホラーではあるものの、キャラクターの造形や行動によってコメディスレスレのドタバタ劇になっている。






ヴァレリーの頻尿設定はストーリー上、特に意味がないものの、要所要所で尿シーンが挟まれるのは意味不明でコメディと化している。
事件の裏について(ややネタバレ注意)
ここからはややネタバレになるが、犯人の3人は悪魔崇拝者による犯行を偽装しており、ヘビメタのネガキャンを行うことで権威を高めようとする牧師が画策したマッチポンプ的事件となっている。
ちなみに黒幕の牧師役は「ジャッカス」シリーズでおなじみのジョニー・ノックスビルが演じている。






悪魔崇拝やオカルト、犯罪、麻薬と関連づけられ、キリスト教会やPTA等から弾圧の対象となったこともあるヘビメタの表層的なイメージを利用し、裏で手を引いている者がいるという点が本作の主題で、ヘビメタのみならず外見的に「恐ろしいもの」「低俗なもの」といったイメージから表層的に評されることのあるカルチャーは多く存在するだろう。
そうした、本質的な面を見られず表面的に貶されたもの達へのフォロー的な意図や、いつの時代も起こるそうした弾圧やそうした弾圧によって力を高めてるような人物に対するアンチの念が込められた作品なのではないかと思う。
メインストリームから外れたものや一風変わったものを愛好する人々は好奇の目に晒されたり、理不尽な弾圧を受けることが少なくない、加えて、そうした意識形成の根底には一見すると清廉潔白な人物が裏で手を引いてるかもしれないので、よくよく物事の本質を見極めよう。
単なるドタバタスリラーではなく、そのようなメッセージも感じる本作『サモン・ザ・ダークネス』
しかし、頻尿設定は謎だ…






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ヘビーメタルバンドのライブ会場を目指してロードトリップに出たアレクシス、バル、ビバリーの仲良し3人組。ラジオでは、悪魔崇拝者による連続殺人のニュースが流れている。やがて会場に到着した彼女たちは、そこで出会った3人の男たちとライブを満喫し、近くの別荘に彼らを誘う。お酒を飲んで意識を失った男たちが目を覚ますと、彼らは縄で縛られ恐ろしいカルトの落書きに囲まれていた。女たちは自分たちこそが事件を起こした悪魔崇拝者だと話し、彼らを生贄に捧げようとする。