『ザ・コール』
NETFLIXでの配信となった映画『#生きている』など、話題作の出演で注目を集めるパク・シネと、『バーニング 劇場版』で新人ながら圧巻の演技で話題となったチョン・ジョンソの共演作ということで、公開(配信)前から話題になっていた本作『ザ・コール』。
過去改変系SFとサイコスリラーを融合したようなストーリーで、韓国エンタメのレベルの高さを再確認できるような傑作サスペンスに仕上がっていた!
携帯電話を紛失してしまったことが原因で、固定電話を使わざるを得ない主人公「ソヨン(パク・シネ)」が物置から電話を引っ張り出し回線に繋ぐと、間違い電話が多数掛かってくるが、よくよく話を聞くと、その固定電話は過去(1999年)と繋がっていることが判明する。


幼い頃に火事で父親を失ってしまったソヨンの話を聞き、火事を防ぐことで父の死をなかったことにする電話相手のヨンスク(チョン・ジョンソ)。
事故による悲劇を回避した先に待ち受けるものは…といった流れで序盤は展開する。
時を超えた連絡で直接会わずとも親しくなる様子は「君の名は」を彷彿とさせ、人の死を電話(無線機)による過去改変でなかったことにする流れは「オーロラの彼方へ」を彷彿とさせる。
序盤の展開は、過去改変・タイムパラドックス系作品でよく目にするような流れで目新しさはないが、その分以降の展開とのギャップに衝撃を受ける。
父親を救ってもらった恩があるため、本来早くに亡くなるはずだったヨンスクに死因を伝え命を救ったソヨンだったが、残念!!
ヨンスクは邪悪だった!!!!


邪悪だった!!!!


「君の名は」や「オーロラの彼方へ」のようなハッピーな方向に行くことはなく、ヨンスクの本性が表れてからはひたすら悪い方向に転がり続ける。
保身のために殺人を繰り返すヨンスクと、彼女の凶行を止めるべく未来(現在)からできる方法で戦いを仕掛けるソヨンとのタイムパラドックス電話バトルは必見で、自分の凶行を唯一知っているソヨンから直接の介入は受けることのないヨンスクと、ヨンスクが知り得ない未来の情報を使って戦うソヨンとのバランスが面白い。
過去改変はダイレクトに現在を変えてしまうため、家族や幼い自分自身全てを人質に取られているような状態でのソヨンの駆け引きは非常にアツい。
そこから過去と現在が重なる終盤の展開は手に汗握るものとなっているのでぜひ本編を観ていただきたい。
これまでの作品では、ロマンスやハートフルな方向で描かれがちだった「過去との繋がり」を相手が異常者だったために残酷で陰惨になってしまった物語として描いたのが見事で、監督を務めたイ・チュンヒョンは現在31歳で、本作が長編映画デビュー作となっている。
また、異常な連続殺人犯「ヨンスク」の不気味で恐ろしい姿を熱演したのは2018年デビューの新人、チョン・ジョンソであり、今後も要注目の俳優だ。
主人公ソヨンをはじめ、脇を固める俳優陣の演技も鬼気迫るものがあり、ヨンスクの義母役を演じたイエルの無機質で恐ろしい怪演も必見。
普遍的な題材を用いて新しい見せ方に挑んだ傑作『ザ・コール』。オススメです。
『ザ・コール』作品情報
『ザ・コール』
監督:イ・チュンヒョン
キャスト:パク・シネ、チョン・ジョンソ、キム・ソンリョン、イエル、パク・ホサ
上映時間:112分
製作国:韓国(2020年)
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古い電話の向こうから聞こえてくるのは、運命を変えようとする連続殺人犯の声。20年という時間をこえ、同じ家に暮らす2人の女の人生がいま大きくゆがみ始める。