『内なる獣性』(原題:La belva 英題:The Beast)
妻子と別れて暮らす元特殊部隊所属の男が誘拐された娘を救うべく大暴れする…という『96時間』を彷彿とさせる内容の本作。
本作の主人公レオニダは戦場での経験からPTSDに苦しんでおり、日々の生活の中で辛い過去がフラッシュバックしてしまうため薬を大量に服用しており、心身ともにボロボロという状態で娘を救出しに行くことが『96時間』との差異として挙げられるが、この辺りは『ランボー ラスト・ブラッド』を彷彿とさせる設定だ。
そんなどこかで見たことのある感じのアクション映画だが、元特殊部隊、元CIAのような元○○系アクション映画は悪役が主人公をナメていたら思いの外強く返り討ちにあうという、主人公の無双状態が気持ち良い映画の場合が多いだろう。
しかし、本作の主人公レオニダは「ビースト」と呼ばれ強いには強いが、先述の通りボロボロの状態もあって鬼神の如く敵を倒すキャラではない。


末端のチンピラにも不意を突かれれば刺されてしまう…
毎回ボロボロになりながらも娘を救うべく奔走するレオニダの姿は、鬼神の如く強いキャラともまた違う魅力があって愛らしい。
ボロボロになりながらも戦い続ける彼の姿には思わずエールを送りたくなるが、主人公以外にも脇を固めるキャラクターもどこかコミカルで愛らしいキャラクターが多い。


悪党なのは確かなのだが、妙に愛嬌のある造形でボンクラな悪役「モーツァルト」をはじめ、主人公とは別に捜査を進める警察官のシモネティ刑事などの「映画っぽい」キャラクターが非常に愛らしい。


娘が誘拐されたことを知り、犯人と思われる車を単独追跡しようとする主人公を制止するシモネティ刑事。




思いっきり轢かれる!!


娘を救うためなら人を轢いても構わないという主人公の強い意志と、死ぬくらいの勢いで轢かれても「チクショウ!」で済ます刑事の器の大きさが分かるとても素敵なシーンだ。
イタリア発の96時間ライクな映画ということで、派手な無双アクションを期待すると肩透かしを食うかもしれないが、コミカルなキャラ造形や色々とガバガバな展開などゆるーく楽しめるアクション映画に仕上がっている。
『内なる獣性』はNETFLIXにて配信中。
『内なる獣性』作品概要
『内なる獣性』(原題La belva)
監督:ルドヴィコ・ディ・マルティノー
キャスト:ファブリツィオ・ジフーニ、リノ・ムゼーラ、モニカ・ピゼッドゥ、アンドレア・ペンナッキ
上映時間:99分
製作国:イタリア(2020年)
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トラウマに苦しむ元特殊部隊員の愛娘が誘拐される。父親は自ら誘拐団を追い始めるが、内なる獣を解き放したことで、いつしか容疑者として追われることに。