2月上半期の公開映画まとめ!痛快なマネーバトル(実話)と「全感覚麻痺サスペンス・スリラー」と題された韓国のサスペンス時代劇をご紹介します!

ヤマダマイ

2/2(金)公開:『ダム・マネー ウォール街を狙え!』

最初にご紹介するのは、2020年に全米で話題となった”ゲームストップ株騒動”を映画化した『ダム・マネー ウォール街を狙え!』です。

ポール・ダノが騒動の発端となったYouTubeを演じるほか、ごく普通のアメリカ市民たちがウォール街の富豪をギャフンといわせる痛快マネー映画となっています!

あらすじ

2020年。米マサチューセッツ州。コロナ禍で世界中がロックダウンするなか、どこにでもいる平凡な会社員のキース・ギル(ポール・ダノ)は全財産の5万ドルを倒産間近とされるゲームストップ社の株につぎ込んでいた。

周囲から奇行と思われる投資であったが、キースは赤いハチマキを巻き、猫のTシャツを着たYouTuber「ローリング・キティ」として、ゲームストップ社の株が過小評価されていると訴える。ネット掲示板でも多くの個人投資家にゲームストップ株の価値を唱えていた。

やがてキースの意見に賛同した個人投資家たちによって「ボロ株」と呼ばれていたゲームストップ社の株が信じられないほど暴騰する。これにより、同社を空売りして儲けようとしていた大富豪たちは信じられないほどの巨額を失うことに。

富を占拠するウォール街の人間たちに一泡吹かせたこの出来事は全米に大きな衝撃を与える。しかし、ことの発端となったキースにはある試練が待ち受けていた。

『ソーシャル・ネットワーク』の原作者によるノンフィクションを映画化

(C)2023, BBP Antisocial, LLC. All rights reserved.

『クルエラ』や『ダム・マネー』同様、実話がベースとなった『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』を手がけたクレイグ・ギレスピー監督による新作は投資が繋ぐ人間ドラマ。

公式サイトには投資にまつわる用語解説が並んでいますが、ぶっちゃけよく分からなくてもかなり楽しめる作品です。どこにでもいる一般市民が一致団結したことで、大富豪たちにひと泡もふた泡も吹かせた、2021年の“ゲームストップ株騒動”をアップテンポで描きます。

原作は『ソーシャル・ネットワーク』の原作者でも知られるベン・メズリックのノンフィクション作品。現実とは思えない天文学的な数字が上がったり下がったりする様子は圧巻の一言。

主人公で“ゲームストップ株騒動”の発端となった人物キース・ギルを演じるのは『オクジャ』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の怪演で有名なポール・ダノ。その妻キャロラインを『アドリフト 41日間の漂流』のシャイリーン・ウッドリーが演じます。

空売りを狙っていたはずが、騒動でとんでもない目に遭う大富豪のひとり、ケイブ・プロトキンを『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でドンキーコングの声を担当したセス・ローゲンが演じました。

やはりポール・ダノはオタクっぽい役が似合う

個人的にノンフィクション作品の実写化にはアタリが多いイメージがありますが、『ダム・マネー』も例に漏れず、めちゃくちゃテンポ良く話が進んでいきます。

作品のテンポそのままに、ゲームストップ社の株を持つ人の資産はとんでもない金額まで跳ね上がり、空売りしようとしていた大富豪の資産は笑ってしまうほど爆落します(笑い事ではありませんが…)

大富豪の1人を演じたセス・ローゲンはというと、他ではあまり見ることできないくらい金も元気も無くなっていく様が必見です。株価が暴落してからずっと顔が白い…。

(C)2023, BBP Antisocial, LLC. All rights reserved.

本作では奇抜な猫Tシャツに赤バンダナという出立で、個人投資家たちを一致団結させる主人公を演じたポール・ダノですが、こういうオタクっぽい役が本当によく似合うなあと再確認させられました。

彼がバンダナを巻いて登場するシーンなんて、さながらウォール街の不平等を一掃するスーパーヒーローのようです。

作品はコロナ禍真っ只中の話であり、コロナによる規制が緩和された今だからこそ、改めて当時の”人と繋がることの強さ”を痛感させられる作品でした。

…余談ですが、ゲームストップの店舗で働く管理職を演じている俳優ですが、意外な人物がカメオ出演しています。マスクしてると本当に誰かわからないなあ…。コロナ禍が落ち着いて良かった…。

映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』公式サイト

https://dumbmoney.jp/

2/9(金)公開:『梟ーフクロウー』

次に紹介する作品は、韓国の映画賞にて25冠という最多受賞を叩き出した歴史サスペンス『梟ーフクロウー』

日本では「イサン」「王になった男」など、韓国の時代劇も人気ですが、そんな作品が好きな人にはどストライクな作風かと思います。

あらすじ

盲目の天才鍼師・ギョンス(リュ・ジュンヨル)は病に苦しむ弟のために、宮廷内の医師として働けるよう勉強を続けていた。

ある日、その実力を認められたギョンスは宮廷で働けるようになったが、暫くして事件が起きる。清の人質となっていた仁祖の息子・昭顕世子が宮廷に戻ってくるも、夜中に突如死んでしまったのだ。ギョンスは偶然にもその死の真相を知ってしまい、宮廷内で追われる身となってしまう。

宮廷内に得体の知れない陰謀や恐怖が渦巻く中、ギョンスは王の子の死を暴くために奔走する。しかしギョンスもまた、誰にも言えない秘密を抱えるゆえに、逃げ場のない状況に追い込まれていく…。

史実に残された謎を独自の目線で映画化

(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

17世紀の朝鮮王朝時代による記録物「仁祖実録」任祖23年(1645)年6月27日に記されていた「怪奇の死」にまつわる謎をテーマにした歴史サスペンスです。「怪奇の死」とは…

朝鮮に戻った王の子は、ほどなくして病にかかり、命を落とした。彼の前身は黒く変色し、目や耳、鼻や口など七つの穴から鮮血を流し、さながら薬物中毒死のようであった。(朝鮮王朝実録:公式サイトより引用)

史実に残された謎のひとつであるこの題材を、「盲目の目撃者」の目線で描いた作品です。

盲目の鍼師ギョンスを演じるのは『毒戦 BELIEVER』や韓国版『リトル・フォレスト 春夏秋冬』に出演するリュ・ジュンヨル。宮廷の王・仁祖を演じるのは『LUCK-KEY/ラッキー』や『マルモイ ことばあつめ』などで一癖も二癖もある役が定評のユ・ヘジン。今作ではややダークな役を演じました。

意外とカジュアルに観れる歴史サスペンス

(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

作品のビジュアルからかなりシリアスかつハードな作風を想像しそうですが、実際は王道な歴史サスペンス映画といった感じでした。

目撃者が盲目というと、日本でも『見えない目撃者』としてリメイクされた2011年の韓国映画『ブラインド』が思い出されますが、それよりもずっとカジュアルな場面も多数。

主人公で盲目の鍼師であるギョンスが宮廷で働くまでの様子や、彼の師匠となる男のひょうきんなキャラなども相まって、ハードな韓国映画が苦手な人でも見やすいと思いました。(笑えるシーンもいくつかあります)

ビジュアル的なハードさは控えめな一方、歴史映画ならではの策略や陰謀・裏切りのハードさはなかなかでした。(ただ時代背景を知らないと「?」となるシーンもあり)

(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

作中ではギョンスが盲目であることに対して「ときに目を閉じて生きている方が、体にいいこともあります」と語るシーンがあります。情報過多な現代社会にも刺さるセリフがあり、今の時代にこのテーマを映画化した意味が読み取れる場面もありました。

さらに宮廷に蔓延する「見ざる・言わざる・聞かざる」な空気感と合わせて、「卑しいものは見て見ぬふりをせねば消されてしまう…」とこぼすシーンもありました。この閉塞感も現代でも通用してしまうテーマであり、ギョンスが目の前の理不尽にどう立ち向かうのかが見どころのひとつとなっていました。

『梟ーフクロウー』公式サイト

https://fukurou-movie.com/

まとめ

個人的にノンフィクションの映画化が好きなのですが『ダム・マネー』は予想以上に見応えのある作品でした。最近、つみたてNISAの限度額でウジウジ悩んでいる筆者が砂粒に感じるくらいカネのスケールがバカデカいのでおすすめです。

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