『トイストーリー3』にもその名残が!PIXAR映画で制作中止になった幻の映画『newt(ニュート)』とは?

どんなプロクリエイター集団でも、完成に行き着かせることができないケースってあるんですよね。

なんの話かといえば『トイ・ストーリー』、『モンスターズ・インク』、『ファインディング・ニモ』など数々の傑作を生み出してきたPIXAR(ピクサー)スタジオの話。CGアニメーション映画といえばPIXARという印象も未だ根強い、アニメーション制作スタジオです。

有力スタジオのPIXARですが、実はプロジェクトこそ進んでいて公開時期を発表までしていたものの、完成にまで漕ぎ着けなかった作品が存在することはご存知でしょうか。今回はそんな幻の作品となってしまった、アニメーション映画『newt(ニュート)』を紹介します。

幻のPIXAR作品『newt(ニュート)』とは?

『newt(ニュート)』とは当初2011年に発表された長編CGアニメーション映画です。
当初は2011年に公開される作品として発表されたものの、2012年への延期を発表したのを最後に、オフィシャルサイドからそのタイトルが報じられることはありませんでした。結局2012年に実際に上映されたのは『メリダとおそろしの森』でした。
『newt』の監督を務める予定だったのは、『トイ・ストーリー』の短編作品『ハワイアン・バケーション』で監督を務めたゲイリー・ライドストロムさん。予定通り『newt』が公開されれば、『newt』が初監督作品となったのですが、残念ながらその日はきませんでした。

ハワイアンバケーション冒頭映像

『newt』はどんな物語だったのか?

『newt』がどんな話を予定していたのか、2008年にそのプロットが発表されているので紹介します。

主人公は、惑星の最後の生き残りとなったオスとメスの青足のイモリ、“ニュート”と“ブルック”。種の保存の為にも、交配を強制されるものの、二人は互いに対して興味が湧きません。二匹は仲間を見つけるために、危険で予測不能な冒険に乗り出すのですが、それが思った通りにはいかないことを知ります。

『newt』のアートワークは現在PIXARのFacebookページでいくつかが公開されています。ニュートのデザインの他、双頭のヘビやオオサンショウウオらしきキャラクター、さらには人間のキャラクターの登場も予定されていたようです。
参照:https://www.facebook.com/pg/Pixar/photos/?tab=album&album_id=435927804077

なぜ制作は中止になってしまったのか?

『newt』の制作が中止になってしまった理由に関してはオフィシャルな発表はされていませんが、2014年3月にPIXARの社長であるエド・キャットムルさんがその内情を語っています。『newt』はどうやら、制作が中止となる前に『カールじいさんの空飛ぶ家』のピート・ドクター監督に企画が移っていたそうです。そしてピート・ドクター監督は、やっても良いけど、もっと良いアイディアがあると語り、『インサイド・ヘッド』のアイディアを提示したそうです。結局、PIXARは『インサイド・ヘッド』の制作を始めることになり、『newt』の制作はそこで終わってしまいました。
参照:https://www.fastcompany.com/3027549/pixars-ed-catmull-on-how-to-balance-art-and-commerce

実は『トイ・ストーリー3』にもカメオ出演していた?

そんな『newt』ですが、実は制作の名残とも言える、カメオ出演を果たしています。そのカメオ出演している映画というのが『トイ・ストーリー3』です。アンディの部屋のドアにダーツがかかっているのですが、その隣に黄色いステッカーが貼ってあります。その黄色いステッカーには、“NEWT”の文字とイモリのシルエットが描かれています。
PIXAR作品といえば、前後の作品に登場するキャラクターを、作中に隠して登場させるのが定番となっていますが、この頃はまだ『newt』が進行中であったことを思わせます。数少ない『newt』の出演シーンですので、『トイ・ストーリー3』を観るときはぜひ気にして見てみて下さい。

そんな訳でPIXARが発表をしておきながら、完成まで持っていけなかった例、『newt』の紹介でした。ただ、PIXARがさすがなのは、転んでもただでは起きないところ。まさかあの秀逸作、『インサイド・ヘッド』に繋がっていくとは驚きです。
ネバーギブアップ。うまくいかないことがあっても、PIXARみたいに次の打開策につなげていきましょう。

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