1994年にアメリカでドリームワークス・アニメーションSKGとして、また、2000年に長編アニメ映画を制作するためにドリーム・ワークスアニメーションが誕生してから、ドリームワークスはアニメーションで「チキンラン」、「シュレック」シリーズなどのヒット作品を生み出してきました。
私もシュレックシリーズが大好きで小さい頃から何回も繰り返し観ている訳ですが…何回か繰り返して観ていくうちに一つの考えが頭をよぎるようになりました。
「なんかシュレックシリーズ、ちょくちょくディズニーへ対抗意識強くない…???」
ドリームワークスのアニメーションの歴史
調べてみるとディズニーへの対抗意識が強いのはそれもそのはず.
そもそもドリームワークスSKG社の立役者である三人のうちのジェフェリー・カッツェンバーグがもともとディズニー出身で、ディズニーで働いていた頃の不満から立ち上げたという会社だったからです。
そもそも社風からしてディズニーへの対抗心マシマシだったのです。
歴代ドリームワークス作品を観ていくとアンチディズニーらしき演出が見られるようになるのはシュレックあたりの作品からです。
シュレック作品に見られるディズニーパロディ
シュレックは、他者から怖がられる怪物であるオーガ。沼地で普段は一人で穏やかに暮らしています。見た目は怖いし悪ぶっていることが多いんですが、意外と心優しい一面もあり、なかなか憎めないキャラです。
ある日、シュレックは森の中で捕らえられそうになっているおしゃべりなドンキーと出会い、一緒に行動するようになります。しかし、これは王になることを目論むファークアード卿がおとぎ話のキャラクターを追放するという命令を出したがために、ドンキーも追われる立場になっていたからでした。シュレックが自分の沼地に帰ってみるとドンキー以外にもたくさんのおとぎ話のキャラクターが集結して難民キャンプのように…
平和な生活を取り戻すためにファークアード卿に直談判しにいくことになり、言い渡されたのが、ファークアード卿が王になるために、ドラゴンのいる城に幽閉されているフィオナ姫を救い出せば沼地を返すということ。
シュレックはフィオナ姫を救うためにドンキーとともに旅をし、フィオナ姫を救い出します。しかし、フィオナ姫には重大な秘密が…
こういったあらすじのシュレックですが、これを見た時点で設定が、ディズニーが今までに作品にし続けたおとぎ話を模しているということにお気づきになると思います。
作品中にジンジャーブレッドマン、ピノキオ、魔法の鏡、赤ずきんのオオカミなど多数のおなじみのキャラクターが登場します。
これだけではパロディとは言いづらいと思いますが、ここだけでは終わらないのがドリームワークス。
まず大きなパロディ要素として印象的なのが、シュレックとドンキーがファークアード卿に直談判をするために、城にいくシーン。
ファークアード卿の土地の中にあるオモチャの箱をドンキーが開けるとまるでディズニーランドのイッツ・ア・スモールワールドのような小さな人形たちが歌いながらファークアード卿がいかに素晴らしいかのプロパガンダを行ってきます。
ドンキーは喜んでもう一回その歌を聴こうと箱を起動させようとするのですが、シュレックが「もういい」とドンキーは止められてしまいます笑
また、「シュレック2」ではシュレックたちがフィオナを幸せにするために何をすべきかを模索し、魔法工場に解決策を求めにいくのですが、その過程で魔法工場で働く人たちが薬品で色々なものに変身させられてしまいます。
それは鳩だったり、「美女の野獣」で見覚えのある時計だったり、ロウソクだったり…
かなりのデジャブを感じる要素があって私もいつもこのシーンでゲラゲラ笑ってしまいます。
このようにちょこちょこ作品の中にディズニーをかるーーくオマージュしたパロディが含まれているのです。
子供の頃に観てもこの辺はなかなか気づけませんが、大人になったからこそ気づける点だなと感じます。
もともと子供から大人まで楽しんで観られるように作られた作品なのだとヒシヒシと感じました。
シュレックに見られるアンチルッキズムやフェミニズム
先ほどシーンごとのパロディを説明しましたが、シュレックはイデオロギーからして当時のディズニーとは異質な要素を持っていました。
現在は「メリダとおそろしの森」や「アナと雪の女王」などでディズニーも打破してきているのですが、昔のディズニーはDamsel in distress(映画や小説などで多用される「危機に陥る女性」)という風潮から抜け出せていませんでした。
危機に陥った美しい女性が、イケメンの王子様が助けてくれるのを待ち続ける。
こういう設定を皆さんもよくおとぎ話で読んだ覚えがないでしょうか?
シュレックはこれを打破するために、シュレックは見た目が良いとは言えない設定でしたし、フィオナ姫はシュレックよりも強く、カンフーを取得している「強い女性」というキャラクターでした。
シュレックはフェミニズムやルッキズムを強く意識した作品だったのです。
また、シュレック3で印象的なシーンとして、白雪姫、シンデレラ、眠り姫、シンデレラの義理の姉、フィオナ姫とフィオナ姫のお母さんが王国を乗っ取ろうとしているチャーミング王子に牢屋に閉じ込められてしまうというシーンがありました。
フィオナ姫が「なんとかしなくちゃ」と牢屋の中で言うと、他のキャラクターたちが言うのです。「ポジションについて。王子様の助けを待つわよ」と。
それに対してフィオナ姫とフィオナ姫のお母さんは態度を諌め、みんなの得意な点を生かして脱獄し、敵をボコボコにしていきます。
シュレックには男女関係なく危機に陥れば戦うべきだと示し、Damsel in distressのアイディアを壊そうとした動きがあります。
このようにシュレックシリーズは見返せば見返すほど面白いイデオロギーが隠れている作品で、未だに私も見飽きない作品です。
是非、この点に着目しながらシュレックシリーズをビール片手に見返してみてはいかがでしょう?
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