ドリームワークス・アニメーション冬の時代再来か!?海外向けにばかり続々と発表される新作映画たち

ネジムラ89

 また冬が来てしまうのか……?
 季節の心配をしているのではなく、アメリカの大手アニメーション制作会社ドリームワークス・アニメーションの話。海外では現在進行形でドリームワークス・アニメーションのたくさんの新作タイトルの制作が発表されているのですが、それに反して一向に日本ではいずれの作品も公開予定のニュースがありません。
 今、ドリームワークス・アニメーションがどんなタイトルを発表しているのか追ってまいります

しっかりヒットスタート!『トロールズ』長編映画第3弾

 今まさにアメリカで興行まっただ中の映画が11月17日から公開をスタートした『Trolls Band Together』です。本作は近年ドリームワークス・アニメーションの人気キャラクターとして台頭してきた『トロールズ』シリーズの長編映画第3弾です。

 本作は“トロール”と呼ばれる歌って踊ってハグが大好きな種族の物語を、様々な音楽やカラフルなアニメーションと合わせて描いていくシリーズです。主人公は王女ポピーとその友人のブランチの二人なのですが、今作ではブランチがかつてユニットを組んでいたという兄弟やポピーの生き別れの妹といった新キャラクターが登場し、悪党に連れ去られたブランチの兄弟を救いに行くという内容になっています。

 本作は初週末で3,000万ドル以上の興行成績を収め、2023年の公開作では『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』に次ぐ好成績となっており、今後どこまで成績を伸ばせるのかが注目です。

 日本でも『トロールズ』シリーズはTVシリーズ『トロールズ:シング・ダンス・ハグ!』が2018年に放送されたり、劇場版第2作『トロールズ ミュージック★パワー』が2020年に公開されたりと展開が実施されたのですが、今回の新作映画については未だ公開の発表がありません。

Netflix向けに新作映画『オリオンと暗闇』が2024年2月に配信!

 劇場公開作品だけでなく配信作品でも新作長編映画の公開が控えています。2024年2月2日にNetflixでの配信を控えているのが、『オリオンと暗闇(原題:Orion and the Dark)』です。

 本作はエマ・ヤーレット氏の手がけた絵本「オリオンとクラヤーミ」を長編アニメーション化した作品です。暗闇を恐れる怖がりのオリオンのところへ“暗闇”が現れ、オリオンを冒険に連れていくお話です。
 監督を務めるのは、今回が長編初監督となる『トロールズ ホリデー・ハーモニー』で監督を務めたシーン・シャルメッツ氏。脚本には『エターナル・サンシャイン』や『脳内ニューヨーク』のチャーリー・カウフマン氏が名を連ねています。

 本作は日本のNetflixにも配信ページがすでに用意されていることもあり国内配信も期待できそうなタイトルとなっており、日本向けに展開が期待できる唯一のドリームワークス・アニメーション新作長編です。

さらに後日談があるの!?『カンフー・パンダ4』が2024年公開

 そして『オリオンと暗闇』に間髪を入れずに発表となる2024年の劇場公開予定の新作アニメーション映画が『カンフー・パンダ』シリーズの劇場長編第4弾です。2024年3月8日の公開を発表しており、実は公開まで3ヶ月程度しかない状況なのですが詳細やトレーラーなどは11月中旬時点でも発表されていない状況にあります。年末中には続報を期待したい一本です。

 監督にはマイク・ミッチェル氏の名前が発表されており、『カンフー・パンダ3』で製作総指揮を務めていた他、『シュレック フォーエバー』、『トロールズ』、『LEGO®️ムービー』、『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo(う〜)!』などドリームワークス内外でも数々の作品の監督を務めてきた人物なだけに仕上がりにも期待ができそうです。

 『カンフー・パンダ』の長編映画こそ2016年製作の『カンフー・パンダ3』以来となり久しぶりなのですが、その間もTVシリーズが多数制作されており、全然現役のシリーズとなっています。直近ではNetflix向けに配信している『カンフー・パンダ:龍の戦士たち』が制作されたばかりで、これは日本向けにもしっかり配信がされています。

 せっかく日本展開も続いている作品ということで、ぜひ『カンフー・パンダ4』も劇場公開して欲しいところですが、『カンフー・パンダ3』は日本では劇場公開が発表されていたにも関わらず、途中でNetflix独占配信が発表され公開中止となるといった因縁もあるシリーズです。映画第2弾まで主人公のポーの日本語吹替を担当していたのがかつてTOKIOのメンバーだった山口達也氏であり、現在はほぼ芸能界引退状態にあることなど、どうも日本展開では不遇な状態なのも『カンフー・パンダ』シリーズの特徴です。世界的なヒットタイトルなのだから、日本でもそろそろ報われて欲しいです。

『ヒックとドラゴン』の監督たちも新たな試みに挑戦!

 さらに先の話になるのですが、2010年に公開し世界的なヒットシリーズとなった『ヒックとドラゴン』が2025年6月13日に実写映画として公開されることが発表されています。当初は2025年3月公開を発表していたのですが、全米映画俳優組合のストライキの影響を受けて3ヶ月ほど公開が伸びています。
 監督を務めるのは『ヒックとドラゴン』の長編映画三部作で監督・脚本を務めていたディーン・デュボア氏。今回の実写版でも監督だけでなく脚本としても参加しています。アニメーションシリーズとは別の展開となる本作は日本公開があるのかは、ここまで紹介した作品とはまた別軸で期待ができるところ。日本でも夏休み映画として帰ってきて欲しいタイトルです。

 そしてもう一本、シリーズ第1弾『ヒックとドラゴン』でディーン・デュボア氏と共に監督・脚本を務めたクリス・サンダース氏の新作も別で発表されています。クリス・サンダース氏が新たに制作をするのはピーター・ブラウン氏が手がけた児童書『野生のロボット(The Wild Robot)』のアニメーション映画化です。
 無人島に流れ着いたロボットが野生動物たちと共に生活するようになり、自然を破壊しようとする人間と戦っていくという物語です。今作の公開時期はまだ未発表。続報に期待です。

沈黙が続く日本向け展開……!果たして今後のドリワはどうなる?

 こうして新作が目白押しとなっている状況に反して、やはり悲しいのは素直に日本向けの展開を安心して待てない状況です。コンスタントに新作映画が日本上映されるディズニーやイルミネーションといったスタジオの作品に対して、どうしても爆発的なヒット作が近年出てきておらず興行的には一歩劣るドリームワークス・アニメーションの映画は、日本の興行が難しいのかもしれません。

 直近で日本向けの配給を実施してくれていたギャガに関しても2019年にドリームワークス・アニメーションと日本配給におけるパートナーシップを結んだことを発表し、当時は2019年以降のドリームワークス・アニメーション制作の全作品を劇場配給するという発表もしていました。しかし、早々に2019年公開の『スノーベイビー』がビデオスルー作品として2020年に日本向けに公開されていたりと劇場公開には苦戦していた様子が見られます。

 以降、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』、『トロールズ ミュージック★パワー』、『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』、『バッド・ガイズ』、そして『長ぐつをはいたネコと9つの命』と数々のドリームワークス・アニメーション作品が日本で劇場公開されていったのですが、口コミでこそ評価は高かった一方で残念ながら日本での“爆発的な大ヒット作”が生まれていません。

 その末に日本でドリームワークス・アニメーションの情報を発信していた当時はまだTwitterの名称だった公式Xアカウントは、2023年4月1日の新年度の始まりを最後に更新を停止。6月にリリースされた『長ぐつをはいたネコと9つの命』のソフトについてすら言及されない状態に陥っています。

 この公式アカウントの沈黙はドリームワークス・アニメーションの日本展開が停滞していく予兆だったのかもしれません。かつて2010年代にはドリームワークス・アニメーションの新作映画が一切国内上映されない期間が5年近く続いた時期がありましたが、まさにこのドリームワークス・アニメーションの“冬の時代”が再来しているのかもしれません。
 一鑑賞者が出来ることは限られているとは思いますが、日本のファンとして出来ることはこうしてドリームワークス・アニメーションが新作を作り続けていることを知って、「日本でも観てみたい」と声をあげていくしかないでしょう。

 まずは今年の初夏には海外で公開されている『Ruby Gillman, Teenage Kraken』を観られる環境が日本にも訪れてほしいですね。
 果たして日本人はいつ観られるんだ?先が思いやられます。

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