アヌシー国際アニメーション映画祭2023開催!今年一番を獲ったアニメーション映画はこれだ!

ネジムラ89

今年もアニメーション映画の大きな祭典、アヌシー国際アニメーション映画祭が開催されました。

アヌシー国際アニメーション映画祭とは、毎年初夏にフランスのアヌシーにて開催されるアニメーション作品を対象とした映画祭です。アニメーション業界においても世界的にも特に大きなイベントとなっており、新作のアニメーション作品のお披露目の場となっていたり、新たな企画の発表の場としても機能している、アニメーション映画祭の最高峰と称しても過言ではないほどのスケールのイベントとなっています。

アヌシー国際アニメーション映画祭でも、注目の一つがコンペティションです。長編・短編それぞれがこの映画祭に多数応募され、その中からノミネート作品、そして受賞作品が選ばれます。そんなコンペティション部門の結果がついに発表されたので、今年の受賞作を追っていきましょう。

今年の頂点はこの作品!最高賞『Chicken for Linda!』&『27』

今年は11作品が選出された長編アニメーション部門。そんな11作品の中から見事、最高賞であるクリスタル賞を受賞した作品は、『Chicken for Linda!』というフランス・イタリアの合作作品でした。

本作を監督したのは、過去にも『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』(2016)で、アヌシーで審査員特別賞を受賞したこともあるセバスチャン・ローデンバック監督と、そんな同監督の妻であり実写作品なども手がけてきていたキアラ・マルタ監督の二人。
本作では、母のポートレットが娘のリンダに誤解から罰してしまったことから、娘のために大好物の鶏肉とピーマンの料理を作ってあげようとするのですが、国家的なストライキが勃発してしまい料理のための鶏が手に入らなくなる──という物語です。コメディ要素を取り入れつつ、亡き父とのエピソードにも踏み込み、その悲しみを乗り越えていくというドラマも盛り込まれた作品となっています。

一方で短編部門の大賞を受賞したのは、フランス、ハンガリー合作の『27』という作品。ハンガリー出身のフローラ・アナ・ブダ監督の作品です。
両親との同居にストレスを感じていたアリスは、退屈な日常から逃れるべく空想に吹けがちな女性。そんな彼女が自転車で事故を起こしてしまうという10分程度の作品です。本作は第76回カンヌ国際映画祭の短編部門でもグランプリを受賞しているということで、カンヌに続く快挙となりました。

受賞作は他にも!日本作品では“あの”映画も受賞!

アヌシーのコンペティションではそれ以外にも多数の賞が用意されているわけですが、注目しておきたいのがコントルシャン部門。この部門では、観客に課題を生み出してくれる挑戦的で個性的な長編作品を対象にしており、昨年は日本から山村浩二監督の『幾多の北』(2021)がグランプリを獲得したことでも知られる部門です。

今年のコントルシャン部門のグランプリを受賞したのは、パブロ・ベルヘル監督のスペインとフランスの合作作品『Robot Dreams』。サラ・ヴァロンさんのコミック作品をアニメーション化した犬とロボットのキャラクターの儚い友情を描いた作品です。

https://twitter.com/KlockworxInfo/status/1670156425254010880

実はこの作品はすでに日本でもクロックワークスが配給を発表している作品ということで、意外と早く日本でも観ることができるかもしれません。

そして長編部門では今年から監督賞にあたるポール・グリモー賞が新設されました(ポール・グリモーは『王と鳥』(1980)などで知られるフランスのアニメーション監督)。その記念すべきポール・グリモー賞の最初の受賞作品が、2022年に日本で公開された『夏へのトンネル、さよならの出口』でした

『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』(2020)の田口智久監督が、『映画大好きポンポさん』(2021)で知られるアニメーション制作会社CLAPと共に制作したSF青春アニメーション。なんでも欲しいものが手に入る代わりにあるものを失ってしまう“ウラシマトンネル”を見つけたカオルとあんずの二人の高校生の物語が描かれています。日本作品のアヌシーでの受賞は、今年は本作が唯一となりました。

受賞こそ逃すもこんな日本作品もピックアップされていた!

『夏へのトンネル、さよならの出口』の受賞が嬉しいニュースではありましたが、実はそのほかの日本作品もコンペティションにノミネートまではしていました。

例えば長編コンペティションでは、『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)や『河童のクゥと夏休み』(2007)で知られる原恵一監督が、辻村深月さんの原作をアニメーション映画化した『かがみの孤城』もノミネート作品に選ばれていました

原恵一監督は過去にも『カラフル』(2010)や『百日紅〜Miss Hokusai〜』(2015)でノミネートや受賞経歴があっただけに、アヌシーとの相性は良いかと思ったのですが、残念ながら今回は無冠で終わってしまいました。

またコントルシャン部門には、まだ日本では未公開となっている『駒田蒸留所へようこそ』もノミネートを果たしていました

『花咲くいろは』(2011)や『SHIROBAKO』(2014)などのお仕事シリーズを手がけてきたP.A.WORKSが、TVシリーズなどを経ていない新たなお仕事シリーズの劇場長編作を制作。崖っぷち蒸留所の再起に挑む2代目女社長が幻のウイスキーの復活を目指す物語が描かれます。

日本作品ではありつつも、日本より先行してアヌシーにて登場するという意味でもアヌシーという場の影響力の大きさを感じさせる点や、実験的な手法を用いた作品も多い“コントルシャン部門”の方に選出されている点でも、その存在が気になる映画でした。日本では2023年11月に公開予定です。

そのほかにもコンペティションへの選出以外では『名探偵コナン 黒鉄の魚影』『BLUE GIANT』といった立川譲監督の作品や、日本だけでなくアジア圏でも大ヒットを果たした『THE FIRST SLAM DUNK』、また古典作では今年原作者の松本零士さんが亡くなられている映画『銀河鉄道999』(1979)といった作品が上映されるなど、数多くの日本作品が今年もアヌシーでピックアップされていました。

大賞受賞作品以外でも注目の海外作品もあり?

また大賞作品や日本作品以外でも注目しておきたいアニメーション映画も、多数今回のアヌシーではスポットライトを浴びています。

例えば長編部門で観客賞を受賞しているのは、ベルギーとフランス合作の映画『Sirocco and the Kingdom of Air Streams』

二人の姉妹が本の世界に迷い込んでしまうというファンタジー作品で、日本人にも親しみやすそうなカラフルでポップなキャラクターと、温かみのある手描きのアニメーションが特徴の映画です。

制作布陣の豪華さでは、『レミーのおいしいレストラン』(2007)で原案を務めたジム・カポビアンコ監督が脚本を担当した『The Inventor』にも注目しておきたいところ。レオナルド・ダ・ヴィンチを題材にしたストップモーションアニメーションなのですが、本作には2Dアニメーションのパートもあり、そこではアカデミー賞ノミネートでも話題になった『ウルフウォーカー』(2020)のトム・ムーア監督も製作陣に名を連ねています。

アヌシー国際アニメーション映画祭に今後も注目!

受賞こそ逃しながらも思わぬビッグネームが並ぶ映画が多く、無冠の作品の中にも今後話題となりそうな作品はたくさんあります。
日本の作品が海外で広く知られるきっかけとなる場でもあり、先行して海外で評価の高い作品や今後賞レースでも活躍していく作品を知れる場でもあるアヌシー国際アニメーション映画祭。気になった作品がある人はぜひその作品の情報などを追ってみたり、その他の受賞作品やノミネート作品を公式サイトでチェックしてみてはいかがでしょうか。

アヌシー国際アニメーション映画祭公式サイト:https://www.annecyfestival.com/home

気になった作品があれば「観たい」という声を上げることで日本上陸へのきっかけを生んでいけるのではないでしょうか。

そして、実はそんなアヌシー国際アニメーション映画祭で、昨年大賞のクリスタル賞を受賞した『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』は2023年6月9日より日本公開をスタートしたばかり。「アヌシーが評価する映画ってどんなもんなんだよ」と気になった人はまさに今映画館で体験することができるので、アヌシー国際アニメーション映画祭の審美眼が確かなものなのかを、自身で見極めに行ってみてはどうでしょう。

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