俺たちは音楽を更新できない
「最近聴いた音楽はなんですか?」
この問いに、Z世代の読者からは多種多様な回答が返ってくるだろう。
一方でアラサーおじさんの自分が同世代と飲んだ際などに周囲に問いかけると返ってくる回答は概ねBUMP、アジカン、エルレガーデン、ナンバーガール…
そう、俺たちは聴く音楽を更新できていないのである。
実際、10代の頃聞いていた音楽を延々聴き続けることや、30歳前後を境に新たなアーティストの音楽を聴く機会が減少することが様々な調査で明らかとなっている。
参照:「10代で聴いていた音楽が生涯にわたって影響を与える」「新しい音楽の発見は24歳でピークを迎える」など音楽と年齢に関する調査結果が報告される
かく言う私も普段好んで聴くのは中高生の頃ハマっていた当時の邦ロックが多い。それらと同様に10代の頃から好んで聞いている音楽の一つがレッチリことRed Hot Chili Peppersだ。


中学生の頃、実写版デスノートの主題歌として初めてレッチリの『Dani California』を聴いた際に「こんなにかっこいい歌があるのか…!」と感銘を受けた。
それ以降、月並みではあるが『Give It Away』や『Can’t Stop』等にどハマりして今でもテンションを上げたい時に聴いている。
ジョンフルシアンテのファンキーなカッティングやフリーの激しいスラップ、そしてフロントマン、アンソニーの高速ラップや、時にはメロディアスなボーカルが絡み合い、唯一無二の世界観を構築している、今更語るまでもない伝説的なバンドだ。
そして、10代の頃に通過した「昔よく聴いたバンド」であると同時に、現代においても話題が絶えないのがレッチリを今でも聴き続けている所以の一つかもしれない。
今年3月には、ベーシストとして知られるフリーが63歳にして初のソロアルバムをリリースし、大きな話題となった。
昨年末に公開されたリードシングル「A Plea」を筆頭に、レッチリのファンキーな音楽性とは毛色の異なるアプローチで制作されており、フリーはベースの他トランペットも担当し、ジャズを基調とした、レッチリからは離れた新鮮さを感じる内容となっている。
また、こちらも今年3月より、レッチリ初代ギタリストであるヒレル・スロヴァクをフィーチャーしたドキュメンタリー映画『ライズ・オブ・レッド・ホット・チリ・ペッパーズ: 俺たちのヒレル』がNETFLIXにて配信された。
同じくNETFLIXから、デヴィッド・フィンチャー監督の短編アニメシリーズ『ラブ、デス&ロボット』シーズン4の第1話「Can’t Stop」にてレッチリの名曲「Can’t Stop」のライブシーンが、メンバーをマリオネットに見立てたアニメーションとして表現されたことも記憶に新しい。
偉業を多く残すレジェンドであると同時に、現代においても現役で活躍するレッチリだが、
音楽性のみならず、パフォーマーとして破天荒な面も話題に上がることが多い。
10代の頃の私の脳を焼き、今でもレッチリを聴き続けるもう一つの所以として彼らの衝撃的なパフォーマンスの存在が大きいと思う。
以下ではそんなレッチリの代名詞的なパフォーマンス「チンコソックス」について解説すると同時にその歴史についてまとめていこう。
チンコソックス
レッチリのステージ衣装兼パフォーマンスの一つとして有名な、靴下で局部を隠した以外は全裸でライブを行うスタイル。通称、チンコソックス(ペニスソックス、ペニソックス)。
英語圏ではSox on Coxと韻を踏んだカッコいい名称で呼ばれることもあるこのスタイルは主にライブでのアンコール時の衣装として使用されることが多かったが、そうしたパフォーマンス以外では、1988年にリリースされた「The Abbey Road E.P.」においてビートルズのAbbey Roadのジャケットのパロディとして、局部に靴下を装備しただけのメンバーがアビイ・ロードを横切る横断歩道を歩く姿がジャケットとして採用されている。


また、2024年に行われた東京ドームでの公演が記憶に新しいが、1990年、ジョン・フルシアンテが加入して間もない時期の「Mother’s Milk Tour」にてレッチリは初来日を果たしている。
その際もチンコソックスパフォーマンスが行われており、日本国内でのライブにおいてチンコソックスを生で見ることが出来た貴重な機会だった。
その際のライブの記録は「RED HOT CHILI PEPPERS / FREAKS OUT – LIVE AT THE CLUB : FIRST JAPAN TOUR 1990」としてリリースされており、貴重な日本でのチンコソックスが気になる方は要チェックだ。


チンコソックス:その起源と危険性
チンコソックスについては度々メンバーからそのルーツやエピソードが語られるが、どうやらフロントマンのアンソニー・キーディスが冗談で始めたことが由来となっているようだ。


学生時代からチンコソックスを持ちネタとして度々仲間内で披露していたというアンソニー。
それがライブパフォーマンスとして昇華されたのは80年代前半のこと。前述の『The Abby Road EP』の頃レッチリのドラマーだったクリフ・マルティネスがレッチリ以前に結成していたバンド「Roid Rogers And The Whirling Buff Cherries」のライブにてオープニングアクトとしてレッチリが共演することとなった。
そのアンコール時にチンコソックスを用いたのがライブパフォーマンスとして初めての試みだとされている。
チンコソックスの歴史を紐解いたところで最後に、このパフォーマンスの注意点についても触れておこう。
チンコソックスを実際にやってみると明確なのだが、ソックスを安定させるのがなかなかどうして容易ではない。
そのため、実際にこのパフォーマンスを人前で行う際にはソックスが外れぬよう細心の注意を払わなければならない。
今年4月に公開されたNPR(米国公共ラジオ放送)によるインタビューにて、フリーはソックスが外れ単なる全裸になってしまった過去について語っている。
ウィスコンシン州グリーンベイでのライブの際、パフォーマンス中ソックスが外れてしまい、ライブ終了後に警察官に詰められたフリーとアンソニーは真冬の凍えるような寒さの中走って森に逃げた。
その瞬間を振り返り、当時の心境についてフリーは以下のように語っている。
“ああ、神様、なんて最高の瞬間なんだ”
出典
BARKS(2001) レッド・ホット・チリ・ペッパーズの元ドラマーが有名な“靴下姿”の起源を明かす
NPR(2026) Flea on his wild path from childhood to the Chili Peppers: ‘Thank God I’ve changed’






