以前SNSで「クラシックをかけながら筋トレをすると(漫画や映画などの)殺し屋気分を味わえる」というライフハックを見かけました。
現在、筆者は在宅勤務の関係で体重は在宅前より5kg増加。お腹周りが出てきてお気に入りのパンツのウエストがキツい…。
自宅で簡単にできる運動はないかと考えたとき、真っ先に思い浮かんだのが筋トレでした。
でもやっぱ筋トレって(めんどい)しんどいじゃないですか?
ちょっと筋肉をいじめるだけのことが3日ともたない。腹筋をやったところで誰も褒めてくれないし、腕立てをやったところで急に池谷直樹になれるわけでもありません。
そこで最初に紹介したライフハックです。
自分が好きな映画のサントラと筋トレを掛け合わせることで、モチベーションの維持だけでなく、作品の世界観や登場人物の気分を味わえるのではないかと考えました。
【検証内容】
今回は筋トレに向いてそうで、かつ自分が好きな映画のサントラを5つ(+おまけ1つ)抜粋しました。
それぞれのサントラから筋肉向けな楽曲を抜粋し、プレイリストを作成。それを聴きつつ、自宅でお手軽にトレができる「リングフィット・アドベンチャー」をプレイします。
ただし、やるからには徹底的にやりたいので、メニューは気になるお腹周りとスタミナupが期待されるものを独自にチョイス。回数は面倒くさいので全部上限いっぱいに設定しています。
筆者の筋肉とモチベーションも有限なので、1日1回を目安に実施。そして、実際に筋トレをやりぬいたあと、映画のサントラがどれほどの効果をもたらしてくれたのか、以下の観点でバロメーターを作成します。
・トレーニングの達成感
・映画のキャラや世界観に入り込めたか
実際にサントラを聴きながら筋トレをした感想とバロメーターを合わせて、どの映画のサントラが筋肉向けかを検証していきます!
『ボーダーライン』のサントラ
筋トレは始めようとするまでのモチベーション維持が一番大変なので、自分が好きな映画のサントラで実践してみます。
『ボーダーライン』は麻薬取締官とカルテルによる壮絶な麻薬戦争を描いたハードなアクションサスペンス映画。
主人公を演じるエミリー・ブラントが直面する過酷な現実、巨大なカルテルを滅ぼそうとするベニチオ・デル・トロたちの活躍が見どころの作品です。
筋トレは気持ちを前向きにすると聞きますが、なぜこんなにも闇が深く、後ろ向きな気持ちになる映画のサントラをチョイスしたのか…。
2018年にこの世を去ったヨハン・ヨハンソンによるサントラは重低音が凄まじく、いかにも闇の深い本作の世界観を体現した楽曲となっています。
これを聴きながら筋トレをすれば、俺もベニチオ・デル・トロが演じるアレハンドロのようになれるかもしれない……。仕上がった肉体で”アディオス撃ち”(続編の『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』参照)を目標に実践開始です
筋トレのメニューには「モモアゲアゲ」「ステップアップ」など、リズム感を重視するものがあるのですが、どうしても楽曲のリズムはゆっくりなため、動きと曲のリズムがちぐはぐになってしまいました。
一方で「プランク」「ウシロプッシュ」はポーズを維持する筋トレなので、リズムは関係なし。ひたすら耐える系の筋トレに『ボーダーライン』のヘヴィーなサントラが非常に合いました。
プランクみたいな(若干恥ずかしい)姿勢を維持しながら、作中のベニチオ・デル・トロよろしく「絶対に○してやる…」と強い意志を持って行なうと一周回って楽しいです。
一応毎回運動結果をスクショしてみたのですが、毎回同じメニューだから多分変化はないよなあ……(実際、すべての検証で53~54kcalの消費でした)
ちなみに54kcalは食べ物に換算するとハム1.4枚分になるようです(1枚(20g)40kcalの場合)あんなに殺意マシマシでプランクとかやったのにハム1枚とは…。筆者のモチベーションがアディオスしそう。
【バロメーター】
- モチベーション:★
- 世界観没入度:★★★
- 達成感:★
曲の良さと筋トレの充実度は必ずしも比例しませんでした。
『ボーン』シリーズの主題歌「Extreme Ways」
『ボーン・アイデンティティ』から始まったマット・デイモン主演のアクション映画『ボーン』シリーズ。記憶を失ったジェイソン・ボーンが自分の出自を探りながら、激しい戦いを繰り広げる人気シリーズです。
そして『ボーン』シリーズの代名詞といえば、すべてのシリーズで起用されたMobyによる主題歌「Extreme Ways」でしょう。一度聴いたらなかなか耳から離れないイントロ「ウィーン!」というサイレン音(?)が印象的です。
『ボーン』シリーズはスピンオフの『ボーン・レガシー』を含めると計5作あり、今回は特定のサントラではなく、各作品で使用された「Extreme Ways」のみで筋トレプレイリストを作成しました。
さすが『ボーン』シリーズを体現する楽曲だけあって、イントロが流れた瞬間気合が入ります。
作品の世界観に入れるというより、ジェイソン・ボーンみたいなフィジカルを目指して筋トレをするぞ!というモチベーションが湧いてきます。リングコンを握ってるだけでこうなれたら苦労しないのですが・・・。
あと「Extreme Way」のイメージが強すぎて、サントラの楽曲で印象に残っているものがほとんどないという・・・汗 どのシリーズのバージョンもイントロはほぼ同じなので、ゲシュタルト崩壊しそうでした。筋トレ終了後も、頭の中であの音が鳴り続けること必須です。
とはいえ、この曲のリズム感はトレーニングにちょうどいいリズムだと思ったので、筋トレに限らず、ランニングなどワークアウト全般に向いている気がします。
全然関係ないですが、筆者が一番好きな『ボーン』シリーズのファイトシーンは『ボーン・アルティメイタム』の窓ガラスを突き破ってからの肉弾戦です。筋肉と分厚い本は戦いに必須。
【バロメーター】
- モチベーション:★★★
- 世界観没入度:★★
- 達成感:★★★
同じ曲だけの構成なので、お手軽にジェイソン・ボーン気分を味わえます。
『TENET』のサントラ
「リングフィット」の仕様上、どうしてもリズム・テンポ感を意識したトレーニング内容が多いので、サントラの曲調もよりそれに合わせたものはないかと思案した結果、出てきたのが『TENETテネット』です。
導入部にあたるオペラハウスのシーンで聴ける楽曲はスピード感も申し分なし。緩急もあるし、作中の作戦シーンの格好良さも相まってモチベーションも上がります。
曲を聴いて明確なシーンを連想できるのは、筋トレに限らず、何かしらのトレーニングに最適かもしれません。
基本的にエレクトロ寄りな楽曲で揃えてみました。「TRUCKS IN PLACE」はトラヴィス・スコットが歌うED曲「THE PLAN」のフレーズと同じ部分があって、本編の中でも特に印象に残っています。
テンポもゆっくりなので、ポーズを維持する系のトレーニングにおすすめ。
1曲目に「FREEPORT」を持ってきたのはダイナミックストレッチ用(ウォーミングアップ)です。最後の曲とスタティックストレッチ(クールダウン)に入るタイミングがハマると最高に気持ちいいです。
【バロメーター】
- モチベーション:★★★★
- 世界観没入度:★★★
- 達成感:★★★★
特殊部隊もの(?)のなかでも、かなりトレーニングにマッチしていると感じました!
観たことない有名な映画のサントラでも効果はあるか?
「曲を聴いて明確なシーンを連想できる」サントラが筋トレに向いているのであれば、その映画の代名詞となるサントラや楽曲の場合、筋トレへのモチベーションも変わってくるのでしょうか。
例えば『ミッションインポッシブル』シリーズをよく知らなくても、あのテーマソングを聴けば「(毎回トム・クルーズが無茶なことする)スパイアクションのやつ!」と紐づいてきます。
今回はあえて「有名な作品だけど、自分はよく知らない映画」を選んでみました。筆者の場合、パッと浮かんだのが『ゴッドファーザー』です。
どれくらい知らないかというと、ストーリーはもちろん、主人公が誰なのかもさっぱりわからない。そのくせネットショップとかで映画のロゴTとか見つけると、必ずお気に入りに登録するくらいには無知です。
映画本編は見たことが無くても、このテーマソングは聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
マフィア映画なのにどこか哀愁漂う曲調。ファミリーのボスが背負う悲しみや切なさを感じ取れます(想像)これしか『ゴッドファーザー』のサントラを知らないので、この1曲をひたすらリピートしながら筋トレします。
・・・なんか、コレジャナイ感があるなあ。「クラシックを聴くと殺し屋気分」という理屈なら「優雅で哀愁を帯びた曲を聴けばファミリーのボス」感が味わえると思ったのですが・・・。
曲が全然生き急いでないし、なによりイタリア人って、すごい生活にゆとりとか余裕がありそう(偏見)なので、自分の体を痛めつける筋トレと相性が悪すぎる気がしてきました。
没入感でいえば、ファミリーのみんなが海とか眺めてゆったりしている横で、自分は「フッ…!フッ…!」とひたすら筋トレしている感じです。温度差がすごい。これは失敗です…。
【バロメーター】
- モチベーション:★
- 世界観没入度:★
- 達成感:★
知らない映画はせめてジャンルだけでも「筋トレ」よりなものにするのが吉
『亜人』のサントラ
いろいろ試行錯誤するも、なかなか「これだ!」と思える筋トラ(筋トレ用サントラ)に巡り合えない…。
そんな筋肉葛藤を抱えるなか、佐藤健の大ファンである妻から「いかに佐藤健が格好いいか」というプレゼンを受けていると、ふと思い出しました。
日本には筋肉見せ散らかし映画の代名詞(褒めてます)実写版『亜人』があるじゃないか!
実写版『亜人』とは、人気漫画「亜人」の設定をそのままに、主演の佐藤健と敵役・佐藤の綾野剛が己の肉体美を披露しあう、正真正銘のエンドレス筋肉映画です。
「亜人」の設定(例えば爆死したあと肉体は蘇るが、衣類は蘇らないので裸になってしまう)をいかして、自然に筋肉を披露する高度な演出も必見の作品です。
佐藤健演じる主人公は研修医という設定ですが、研修医とは思えない肉体が予告編からも見られます。映画のラストシーンはあまりのビジュアルの強烈さに、鑑賞後は筋肉痛になった記憶があります。
何よりこの映画のサントラの数曲が滅茶苦茶ダンスチューンっぽくて、筋トレおよびワークアウトに最適なんです。
予告でもチラッと聞けますが、すんごいアゲアゲであり、これがバトルシーンなんかで流れるので視聴者の筋肉も大喜び。
映画『亜人』のサントラを聴きながらリングフィット(筋トレ)をすれば、さながら暗闇で派手な音楽と照明を浴びつつトレーニングするウェイ系ジムみたいな雰囲気に浸れます。
「まるでパーティに来たみたいな気分ですね」
没入感はもちろん、モチベーション維持、達成感すべて申し分なし。
特に達成感が凄くて、映画『亜人』を観ていなくても、かなり筋トレ的には効果があると感じました。映画のためというより、筋肉のために作られたサントラなんじゃないかと錯覚するくらいハマっていました。
【バロメーター】
- モチベーション:★★★★★
- 世界観没入度:★★★★★
- 達成感:★★★★★
実写版『亜人』の筋肉要素は映像だけではありませんでした!
おまけ
今回は映画のサントラに限定していましたが、ちょうど検証時期と『劇場版 PSYCHO-PASS PROVIDENCE』の公開が重なった関係で、1期のサントラを聴きながら筋トレをしてみました。
1期は槙島聖護のカリスマ性から、彼にまつわる楽曲は壮大なオーケストラ調や、ピアノの旋律が印象的です。
この企画の発端である「クラシックを聴きながら筋トレをしたら殺し屋気分」にかなり近い…。サイコパスのサントラを聴きながら筋肉免罪体質者を目指します。
特に「槙島聖護」「神託」はメロディが共通なので、この2曲を聴きながら筋トレするといい感じに世界観に没入できます。筋トレをしながら、久しぶりに退屈を忘れられること必須。
ちなみに「PSYCHO-PASS」のサントラは映画『亜人』と同じ菅野祐悟が作曲しています。
あと個人的にサイコパスのもうひとつのテーマ曲だと思っている「PSYCHO-PASS Symphony」も、意外と筋トレに合います。
シビュラの正体を知ったうえでこの楽曲を聴くと「歪んだ平和」感をビンビンに感じられますが、筋トレという自分を虐げる行為をしながら聴くことで、歪んだハイテンションを覚えました。アハハ!
こうして振り返ってみると、クラシックとかオーケストラ楽曲はやはり筋トレに合います。なんというか、筋肉に関する価値観がおかしくなって楽しいです。
【まとめ】
今回の検証では、途中で間隔が空いたりもしましたが、結果としてすべてのサントラで筋トレメニューを完遂。現在も筋トレを継続しています。
サントラを聴きながらの筋トレは、何も聴かずに筋トレするよりも継続効果があると感じました。
実際、上記ウェイ系ジムの動画でインストラクターを務めている女性は「音楽に没入して動くことで、いつも以上の実力を出してほしい」と話していました。
映画のサントラをはじめ、自分が好きなものと上手くかけ合わせることで、かなり継続率も変わると思います。
映画のサントラはボーカルのない曲がほとんどなので、作業用BGMにも向いているかもしれません。
個人的にはやっぱり実写版『亜人』のサントラが一番筋トレ向きだと思ったので、筋トレが続かない方はぜひ試してみてください!
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