こんにちは!映画好きVtuberのミラナ・ラヴィーナです!
本日も観る機会を逃していた名作映画の感想を書いてまいります。
今回のタイトルは『フィリップ、きみを愛してる!(09)』です!
今作もジム・キャリー節が大爆発!
イントロでいつも通り「観る機会を逃していた名作映画」と書いたものの、『フィリップ、きみを愛してる!(09)』はこのシリーズで今まで挙げてきた”名作”に名を連ねる作品かと言うと……正直そうではないというのは……重々承知の上なんですけども……。
ゲイロマンスコメディということでタイトルを見かけることが時折あり、長いこと気になっていた作品なのでこの機に観ることにしました!私欲!
前回記事にした『トゥルーマン・ショー(98)』でとんでもない存在感を放っていたジム・キャリーが今作でも主演を務めており、正直笑っていいのかちょっと不安になるような展開でもしっかりとコミカルな雰囲気になっていたのは(脚本や演出がコメディ全開だったのは前提として)ジム・キャリーの演技力によるところも大きかったと思います。
というか、ここに来ての気付きですが彼の突き抜けた面白演技の魅力ってシンプルなコメディよりはちょっと不穏だったりもはやホラーじゃね?と思ってしまうような作品でこそ際立つところありますよね!?(にわかの感想です)
ジム・キャリーの代表作の1本である『マスク(94)』も正直ちょっと不気味なイメージが強いしなあ……。
IQ140の天才の活躍と悲哀
本作はIQ140の天才詐欺師スティーブン(ジム・キャリー)が刑務所で一目惚れしたフィリップ(ユアン・マクレガー)と楽しく暮らすために何度も脱獄したり弁護士のフリをしたり経歴を詐称して大企業の役員になったりと嘘をつきまくる!ただ愛のために!というお話です。
タイトルが作品のすべてを表していて潔い。
ジェットコースターのようにお話が展開していくので非常にパワフルで楽しい作品でした!
しかもこれ実話!スティーブンもフィリップも実在の人物で、スティーブンが脱獄王なのも事実!
作中で何度も脱獄シーンがありますが、「ペンのインクで服を染めて医者の振りをする」とか「女性ものの服しか手に入らなかったから異性装の一般人の振りをする」とか、さすがに脚色だよな?と思った脱獄方法も調べてみたらほとんどガチらしいという……。あとこの作品フィリップ本人がカメオ出演してる。アメリカってすごい国だ。
IQ140の人間って当然周りにはいないのでどれだけすごいか分かっていなかったのですが、作中でスティーブンがただ名乗っているだけの弁護士や会計役員として仕事をすることになってしまっても難なく切り抜けていくのを見せられたら、こちらとしてはもうIQ140ってすごいんだあ……と感嘆するばかりでした。
このあたりのさすがにムリよな?いや行けるんか~い!みたいな展開めちゃくちゃ楽しかったです。
一方で、スティーブンが会社でちょっと小粋なジョークを言ったら会社中に尾ひれ付きまくりで広まってしまい、最終的にそのジョークが自分のところに戻ってきて「バカばっかり」と落胆するシーンも印象的でした。
演出的にちゃんと笑えるものにはなっているんですが、それはそれとしてこんなに頭が良かったら周りとレベルが合わな過ぎて人生って逆にめっちゃつまらないのかもしれない……みたいな悲哀も描かれていたのが良かったです。
脱獄を繰り返したり詐欺で派手にお金を稼いだりするのは暇つぶしや力試し的なところもあったのかも?とか思ったり。
とはいえ、というかそんな人間だからこそ、嘘をつかないでほしいというフィリップのたったひとつの願いだけは叶えられないんだよな……それもまた哀れで良い……。
ユアンのかわいさ、魅力的な脇役たち
これは本作を語るうえで絶対に外せない感想なのですが、本作のユアン・マクレガー、マジでかわいいんですよ……。
フィリップが一番最初に出てくるシーン、画面に一瞬映っただけでなんかどう見ても明らかにレベルの違う激マブいブロンドがいる!?と思ったら案の定それがユアンでウケました。
こんなの誰でも絶対恋に落ちるだろと思わせる説得力がありすぎる。
中盤までのふたりの蜜月な展開はあまりにキュートでかなり良いのですが、特にふたりが夜に居室で静かにダンスをするシーンが好きでした。全体的にスピーディーな展開が続く映画ですが、ここだけはゆったりと時間が流れているんですよね。
加えてふたりのダンスの裏で「音楽止めろ!」「絶対止めねえ!」と、看守と雰囲気づくりのために音楽をかけてくれていた便利屋が延々言い争いをしていた事でロマンチックさに笑いが上乗せされて、より魅力的でこの作品らしいシーンになっていたと思います。
ていうかそれでなくてもまずダンスシーンが大好きで……ロマンチックだから……ラブコメ作品には絶対にあってほしい……。
そしてこの音楽をかけてくれていた便利屋的な受刑者のキャラ、この人がすごく良かった!
ガラも口も悪いけど対価を受け取って引き受けたらどんな仕事も必ずやり通すというプロ意識!こういう筋の通った名脇役がオタクはみんな好き。
スティーブンの元妻のデビーも、敬虔なクリスチャンでありながらもスティーブンに信仰を茶化されても流したり、詐欺がバレそうだから電話番号を変えると言われても「また~?ほどほどにね」みたいな感じだったりとだいぶ豪胆な性格で好きでした。
毎回スティーブンのパートナーのことも気にかけてくれるのも人の良さが見える。
メイン2人以外の登場人物も良いキャラな上にしっかり笑わせてくれるシーンがあるのもこの作品の好きなところです。
とはいえ思うところもある
褒めまくった最後にちょっとだけ気になったところを。
マジで下品なジョークの数々やスティーブンがフィリップに会う為にエイズで死を偽装するところなど、倫理的にそれは…どうなの!?笑っていいところ!?みたいな感覚になるシーンがままあり、まあ2000年代のコメディってこんなもんか……?という感想が時折胸に浮かんでいたのは事実……。
そして原語でトップ、ボトムと言っていたセリフをS、Mと訳していたのはさすがにちゃんとしてほしかった!
公開当時のゲイ文化への一般的な理解度の低さから、伝わりづらさを考慮しての意訳ではないかと思われるのですが……まったく意味が変わっちゃうのでやっぱりガッカリはしました。
あとはまあジム・キャリーの存在感とユアン・マクレガーの可憐さも魅力の一つであるという感想を抱いたうえで、それでもやっぱりせっかくのゲイラブロマンスなので当事者の俳優に演じてほしかったな~という気持ちはあるんですよね。
まあ2009年じゃまだ……無理だったかな……。
とはいえ社交の場でパートナーを異性だと決めつけられる同性愛者特有のつらさをしっかりと描いているところや、悲恋がちな同性愛作品をポジティブかつキュートなコメディにしたところは評価されるべきだと思っています。
最後に色々言いましたが、(一部で倫理観スイッチをオフにすれば)そんなことある!?とツッコミながら笑える楽しい作品でした。
次回は『ノー・カントリー(07)』を観る予定です!
フィリップ、きみを愛してる!作品情報
原題:i love you phillip morris
製作年:2009年
上映時間:97分
監督:グレン・フィカーラ, ジョン・レクア
キャスト:ジム・キャリー, ユアン・マクレガー, レスリー・マン
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