BGMが独特な話題作『真・事故物件』劇伴作家にインタビュー!制作秘話を語る

SNSでも話題!ホラーファンが湧いた『真・事故物件』をもう観たか!?

今年2月に公開されたホラー映画『真・事故物件 本当に怖い住民たち』

映画倫理機構(映倫)から、過激なスプラッター描写を理由に提出した脚本のままでは国内での上映は認められないと通告を受けたとされることも話題を呼んだ作品だ。

【あらすじ】
YouTuberとアイドルの卵が、「事故物件に住み込み、幽霊をカメラに収めるまで帰れない」という企画の番組に無理やり参加させられ、日本の犯罪史上最も凄惨と言われたバラバラ殺人事件の現場だったアパートに住み込むことになる。しかし、そこに待ち受けていたのは、おぞましい悪霊だけではなく、彼女たちは想像を絶する恐怖と苦痛の数々に直面する。

本作はオカルトメディア「TOCANA(トカナ)」が制作した初の映画作品としても注目され、公開後はその作品性や衝撃のラストからSNSやレビューサイトでも話題となり、ホラー映画ファンから高評価を得ている作品である。

私(ガトリングチワワ)もこうした映画は好物なので鑑賞したところ…ホラー映画を初めとした名作のオマージュが散りばめられ、ラストの展開は2020年公開の『事故物件怪談 恐い間取り』以降増えた「事故物件」系の作品とも一線を画すような衝撃的な内容に驚いた。

ラスト以外にも、本作はBGMが印象的な作品で、特に終盤「人を解体する」シーンでまるで青春映画のようなBGMが使用されており、ゴアシーンなのにも関わらずキラキラした爽やかさが感じられ「音楽のパワーはデカいな…!」と強く感じさせられた。

衝撃的なラストを経て、笑いや爽快感、少しの恐怖など様々な感情がない交ぜになりつつエンドクレジットをぼんやり眺めていた。

(C)TOCANA映画制作プロジェクト

ん?????

(C)TOCANA映画制作プロジェクト

知り合いだ〜!!!!!

たまたま、私(ガトチワ)の音楽知り合いが劇伴を提供しており、映画サントラCDが先日(6月14日)発売されたばかりなのでここぞとばかりにインタビュー的な企画を記事にしちゃおう!というわけです。

劇中では複数の作家が劇伴として参加しているが、その中でも4曲の楽曲を提供している「シン・オカダ」に制作の背景や楽曲に関するアレコレをお聞きすることとした。

インタビュアー:ガトリングチワワ(@GatChihua)
インタビュイー:シン・オカダ(@UoAxU)
公式HP : https://oyanokane.com/okada5714/

「怖いっぽい曲」を作ってしばらく眠れなくなりました(笑)

――今回、真事故物件の劇伴についてはどのような経緯で依頼され、どのように進行したのでしょうか?

真・事故物件の音楽班代表である中村修人さんからこういうシーンで使う楽曲を、という形でお話を頂きました。最終的には元々あった私のオリジナル曲2曲と新たに1曲書き下ろしたものを映画で使って頂いた形ですね。

ちなみに佐々木監督の別のとあるアプリのショートドラマ作品の楽曲で歌唱参加をさせて頂いたこともあります。
中村修人 氏

――劇伴を制作する上で意識した点は何でしょうか?

佐々木監督の作品、『映画』というものありきなので自我が出過ぎないように気をつけました。
特に私の楽曲はシン・オカダワールドというか私自身の癖を出してしまうことが多いのでそれをセーブする形ですね。

当然ながら「こういうBGMにして欲しい」という要望に対して忠実に、そのシーンに最適な楽曲を制作することを意識しました。

――通常の楽曲制作と比べて難しかった点についてお聞かせください

難しかったのは作家性と求められるイメージのバランスですね。もちろん「このシーンに使う予定なので」ということが前提にあるのですが、これだったら他の素材で良かったなと映画関係の方や鑑賞した方に思われないようにしようと考えていました。

極端にいえば誰かにシン・オカダのファンになってもらうためではなく映画を良くするために制作するという作業がやはり新鮮でした!
普段のシン・オカダの楽曲制作では「思いつき」「使いたいサウンド」先行であることが多いのですが言ってしまえばその真逆、「こういうイメージで、」という注文が前提なので良い意味で結構プレッシャーを感じましたね。

私は元々ホラーやオカルトが大好きで、学生時代はやたら周りに自分で作った怖い話を撒き散らしては自分でした話が怖くて眠れなくなる、みたいなのをやっていたのですが今回も「怖いっぽい曲」を作ってしばらく眠れなくなりました(笑)本当です。

ここは西武線じゃなくてゾーンに向かうアレなんじゃないかって感じます。

――参考にした作品(楽曲)等はありますか?

とにかく「怖い音、そう感じる音」のイメージを固める為に思い浮かべたのが『X-Files』のテーマ曲だったので真っ先に聴き込みました。
超常現象・UFO的な怖さよりももう少し「怖い話」なイメージを求められていたはずなので、ひたすらホラー系BGM集を探して聴き込みました。

あとは直近で見た怖い映画などのイメージを思い出したりしていました。映画『仄暗い水の底から』、Netflix『呪怨:呪いの家』など。
怖いものを聴くと本当に怖くなってしまうので、サントラとか映画を観たりせず必死に思い出しました。

――映画以外も含めて好きな劇伴は何ですか?

タルコフスキー 監督 映画『ストーカー』の劇伴ですね。
音楽を担当しているのがエドゥアルド・アルテミエフ という電子音楽の作曲家の方です。

モスフィルムの公式YouTubeでストーカーを観れることを知り、初っ端で流れた曲で惹き込まれて本編見る前にググりました(笑)

映画の世界観に一気に引きこむサウンドが魅力ですね。本当に『ストーカー』のサントラ聴いてると西武線乗っててもまるでそこが「ゾーン」なんじゃないか、ここは西武線じゃなくてゾーンに向かうアレなんじゃないかって感じます。

そう考えると私が好きな劇伴音楽に共通するのは音を聴いてそのシーンを即座に思い出せる音、ということですかね。『イノセンス』の傀儡謡だったり、『新世紀エヴァンゲリオン』のDecisive Battleなども好きです。

次ページからは以上も踏まえて、『真・事故物件 本当に怖い住民たち』のおもしろポイントについて話すぜ!

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