『劇場版 ほんとうにあった怖い話 2019 冬の特別篇』/長寿オムニバスホラーシリーズの劇場公開作品を振り返る①

一般投稿により寄せられた数々の恐怖体験の再現ドラマをオムニバス形式で収録するオリジナルビデオ「ほんとうにあった怖い話」
2016年からは劇場版と銘打ち、劇場公開も行っている人気シリーズだが、最新作劇場版「ほんとうにあった怖い話 事故物件芸人」が遂に公開となる。

元々、家・部屋をテーマにしたホラー作品は鉄板ジャンルの一つだが、松原 タニシの『事故物件怪談 恐い間取り』以降さらにその人気を高めている。
その理由の一つに、自分にも関係するかもしれない日常に潜む「身近な恐怖」があるだろう。
そこで、一般投稿による身近で、日常と隣り合わせな内容が多い「ほんとうにあった怖い話」シリーズの過去作を振り返り最新作に備えよう。

『劇場版 ほんとうにあった怖い話 2019 冬の特別篇』

2019年11月16日より渋谷・ユーロスペースにて1週間限定公開された本作は、舞台版『幽☆遊☆白書』の飛影役を演じた、2.5次元ミュージカルで人気の橋本祥平。モーニング娘。10期メンバー飯窪春菜。映画『金沢シャッターガール』『初恋』など話題作に出演する新進気鋭の女優・小牧那凪が各話の主演を務める3本の短編で構成される。

第一怖「Trick or Treat」投稿者:宇川雄都(仮名)
(C)2019 NSW/コピーライツファクトリー

出演:橋本祥平、塩顕治、吉田大輝、佐倉星
これは僕が大学の夏休みに体験した話です。夏休みのある夜、僕と龍、航一の3人は、ある廃墟に肝試しをしに来ていました。都市伝説好きの龍が、とあるオカルトサイトでみつけた“悪魔のトリック・オア・トリート”という儀式をやろうと言うのです。その儀式は現代の一般的な“トリック・オア・トリート”とは違い、“悪魔に捧げたご馳走を皆で食べる”ことで力を持つ悪魔と契約するというものでした…

第ニ怖「Phantasm」投稿者:田岡美優(仮名)
(C)2019 NSW/コピーライツファクトリー

出演:飯窪春菜、市原朋彦、布施愛織
これは、私がある年のハロウィンの時期に実際に体験した話です。夫の守は、私のことをいつもサプライズで驚かせようとしてくれる楽しい人です。ある日、私がパートから帰宅すると部屋中にトイレットペーパーが散乱していました。それは、ハロウィンでお菓子を貰う事を拒絶された子供たちがおこなうイタズラの代名詞でした。また夫の仕業だと思い、渋々それを片付けたのですが…

第三怖「The Door」投稿者:小畑亜矢子(仮名)
(C)2019 NSW/コピーライツファクトリー

出演:小牧那凪、イルディ、内山愛、蒼波純ほか
これは、私が短大を卒業して、都内で就職し一人暮らしを始めたころの話です。当時、近くの公園でお弁当を食べるそのひと時が唯一の癒しの場となっていました。ある日、いつものようにお弁当を食べていると、少し離れた場所から、年配の外国人女性が、なぜか私の方をジーっと見つめていることに気が付きました。その女性を見た日から、私の身の周りで奇妙な事が起こり始めました…

公開時期に合わせたハロウィンをテーマにした作品が3本中2本を占めるが、注目すべきは3本目の「The Door」

(C)2019 NSW/コピーライツファクトリー

最近流行りの事故物件系ホラーに連なる、引っ越して来た部屋がヤバい場所だったパターンの話だが、そこに公園で出会う怪しい人物の存在が加わり不気味さが加速する。

職場で上手くいかず、唯一の癒しの時間は昼休みに近くの公園で弁当を食べている時だけだという会社員の主人公の姿は悲痛で、そのうえ公園で怪しいババァに凝視され家に帰れば奇妙なことが起こるという、踏んだり蹴ったりの主人公の姿に思わず同情してしまう。

引っ越しの金銭的・体力的負担の大きさは容易に想像できるため、引っ越し系ホラーの逃げづらさへの共感に加え、仕事でストレスを抱える主人公の姿にも多くの人が共感できるのではないだろうか…

全3本中、ラストの「The Door」が特に恐怖を感じると同時に、昨今流行りの「事故物件」のようなテーマにおけるリアリティや恐ろしさとも共通するホラー性を感じ、「自宅」という日常生活に密接に関わる場所を舞台とするホラー作品の強みを再確認できる内容だった。

最新作『劇場版 ほんとうにあった怖い話〜事故物件芸人〜』は池袋シネマ・ロサにて2週間限定で2021.1.22(金)から上映開始。

『劇場版 ほんとうにあった怖い話〜事故物件芸人〜』

STORY

「今から話す話は、駆け出し芸人であった僕に実際に起こった出来事です…」売れないお笑い芸人、綾野晃司は、テレビ番組のプロデューサーからきた、「“事故物件”に住む」仕事を引き受けることとなった。幼い頃から自分の持っている霊感について気付いてはいたものの、中途半端なレベルのもので、胸を張って霊感があります、とは言えなかったのだがこのままチャンスを逃すまいと、決心したのである。翌日、約束の場所に現れた不動産屋・岡田はアパートに向かって合掌した上、立ち止まる。 「これが物件の鍵です…。私、ここでお待ちしております…」 恐る恐る玄関からキッチン、部屋の中を見て回る晃司…。何も感じるところもなく、決心したように何度かうなづくと、そのまま一礼して出口へ、ドアから外に出て、鍵閉めようとすると、カチャリと内側から鍵が閉まる……。

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