ゴジゲン第17回公演 「朱春」
久しぶりの観劇、たくさん笑ってとんでもなくセンチメンタルな気持ちになりました。ゴジゲンの新作演劇『朱春』を観てきたので日記にします。
◇
春ですね。暖かくなってきました。春服が一番好きなので、超インドア派の私も足取りが少々軽くなります!風が気持ちいい。やった~!
お気に入りのワンピースを着てうすピンクのマスクして、久しぶりの人混みに緊張しつつ下北沢駅へ。
スピッツの「春の歌」を聞きながら電車を降り、劇場ザ・スズナリへ向かいました。
◇
観劇したのは映画『アフロ田中』や『バイプレイヤーズ』で知られる松居大悟さんが主宰する劇団・ゴジゲンの新作『朱春』(すばる)。
4月1日(木)~11日(日)、東京・下北沢のザ・スズナリにて上演されています。
観るものをそっと抱きしめてくれる、とても優しい作品でした。同時にとんでもないセンチメンタルに襲われるのに最後には心が暖かくなる!ひきこもり生活で凝り固まった心を揉みほぐす、心の温泉に入れたような感じ。劇場で「春」に出会える、おすすめの作品です。
配信チケットもあるとのことで、気になる方はぜひ鑑賞してほしいです!
公式サイト:http://5-jigen.com/
■あらすじ
高校の文化祭で結成し15年続けてきた6人組お笑いユニット「ジュバル」は群馬の温泉旅館での営業を最後に解散を予定していた。
最終演目を終え解散発表ツイートをしようとした彼らだったが、階下から温泉宿の息子たちが騒いでいる声がする。メンバーの一人が注意しにいくも、話は脱線していき……
温泉旅館の一室で展開される「朱春」のお話――
終始わちゃわちゃと盛り上がる「ジュバル」の6人を観ている時間が最高でした。軽快な会話でたくさん笑えるし予想外な展開もあって楽しく鑑賞でき、上演時間95分ほどがあっという間にすぎた!
解散発表ツイートのボタンを誰が押すかを延々話し合ったり、メンバーの誕生日祝いをはじめたり。踏ん切りがつかないし本当は寂しいと思っている「解散できない大人たち」がちょっとダサくてものすごく愛おしい。
松居大悟さんが描く”ちょっとダサくて愛おしい大人”は最高なんです!そんな大人たちが集まって他愛のない言葉を積み上げていく中で、段々とお話が展開する様に引き込まれます。前作『ポポリンピック』ぶりのゴジゲンらしい空気を堪能しました。
ひとりで過ごしていると忘れがちな「友達との他愛無い会話」とか「なんとなく集まれる幸せ」とか、そんな大切なものをたくさん思い出させてくれた気がします。
◇
また、中盤の展開がとても気持ちよかった!「ジュバル」6人組だった舞台上の6人が、するりと「温泉旅館の息子率いる6人組」へと転換される部分は舞台演劇ならではの演出。いわゆる温泉宿の一室を忠実に再現した舞台とザ・スズナリの舞台構造を活かした仕掛けにアッと驚きました!
活動を終えようとする6人と活動を始めようとする6人が、同じ場所に同時並行で描かれることでセンチメンタルは加速します。
「朱春」とは「青春(青年期)」と「朱夏(壮年期)」の間を指す言葉だそう。同じく狭間の年齢を生きる私は彼らの葛藤を自分の事のように感じながら観劇しました。
決断をするのって、変わるのって、難しい。未練や不安で迷ったり立ち止まったりする。まだまだ「青春」気分なのに時間だけは過ぎて、気付けばいい大人になっている。だから進まなくちゃいけないってわかってるんだけど……うん……わかる……
解散ツイートなんてしないでよ。だって終わっちゃうなんて寂しいもん。こんなに愛おしいのだからずっと「青春」を感じていたい!でも、終わりがあるから愛おしいのかな。戻りたいと思うのは自分が進んでいるからなのか。そんなことをぐるぐると考えました。
◇
「曖昧なままでいいよ、全部」という台詞が心に残りました。
つい先日『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観てわんわん泣いた、エヴァを卒業したくないアダルトチルドレンな私は、『朱春』の「そのままでもいいんだよ」と肯定してくれる暖かさにちょっと泣いてしまいました。
「曖昧」の愛おしさという「曖昧なテーマ」だから、ただ言葉で伝えられるのではなく演劇という形で、その場の空気から感じさせてもらえたことが良かったと感じました。目の前の空間で作られる空気を胸に直接吸い込んでたくさん心が温まりました。
超センチメンタルなのに最後は心が暖かくなる、等身大の男たちの姿を生で観られて良かった!コロナ禍で演劇から随分と足が遠のいてしまっていたけれど、やっぱりお芝居っていいな~と思えた観劇体験でした。
◇
お話の展開を含めて濃厚なお芝居だったのに、ぽかぽかな気持ちで帰路に就きました。今日は心の温泉に浸かったな!いいお湯だった!あぁ、そろそろ本物の温泉にも入りたいな……
そんなことを思っていると、ふと、大学卒業直前にサークルの同期女子7人で温泉旅行へ行ったことを思い出しました。
小さな温泉旅館でお揃いの浴衣を着て畳の部屋にお布団を敷きつめて、深夜までお酒を飲みながらエンドレスでおしゃべりした、あのとき。超くだらないことで爆笑して、本当に楽しい時間だったな。うん、きっとあれは、青春だった。
久しぶりだし積もる話もあると思うんだ。だから、今はなかなか集まれないけれどまたいつか、あの時みたいな女子会がしたいな。
◇
出会いと別れの季節、春だから観たい作品と出会えた日の日記でした!
監督作『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』が4月9日(金)~上映開始、4月29日(木)には『くれなずめ』が公開予定と今後も活躍が見逃せない松居大悟さん!
もちろん映画も楽しみですし、これからも劇場で優しい空間を作って待っていて欲しいです。また、会いに行きます!
常世モコ
「朱春」公演情報
ストーリー
小さな暗闇で、まぶしい春を願った。
ちょっと願いすぎなぐらいに。
お前のためじゃねえよ。
お前のためじゃねえと思ってるよ。
さあ!パーティーの始まりだ!
作・演出 松居大悟
出演 奥村徹也 東迎昂史郎 松居大悟 目次立樹 本折最強さとし 善雄善雄
■公演日程
2021年4月1日(木)〜11日(日)ザ・スズナリ
4月1日 (木)19:00
4月2日 (金)19:00
4月3日 (土) 14:00/19:00
4月4日 (日) 14:00/19:00
4月5日 (月) 19:00
4月6日 (火) 休演日
4月7日 (水) 19:00
4月8日 (木) 14:00/19:00
4月9日 (金) 14:00
4月10日(土) 14:00★/19:00★
4月11日(日) 13:00/17:00
★=配信あり
※ロビー開場は45分前、客席開場は30分前
■チケット料金
全席指定
前売 3,800円/当日 4,200円
U-22 2,200円[要年齢確認証提示]
配信 2,500円
■チケット取扱い
【劇場チケット】
・チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/gojigen/
0570-02-9999(Pコード:504-488)
・ローソンチケット
http://l-tike.com/gojigen/
ローソン・ミニストップ店頭Loppi(Lコード:35716)
・イープラス
http://eplus.jp/gojigen/
・カンフェティ
http://confetti-web.com/gojigen/
0120-240-540(平日10:00~18:00)
・直前WEB予約(カルテット)※前日24時まで受付
https://www.quartet-online.net/ticket/gojigen-subaru
【配信チケット】
・Streaming+(ストリーミングプラス)
http://eplus.jp/gojigen/
■一般発売日
2021年2月27日(土)10:00~
※未就学児童はご入場いただけません。
※車椅子でご来場のお客様はチケットご購入後、お問合せ先までお知らせください。
■劇場
ザ・スズナリ
〒155-0031 東京都世田谷区北沢1丁目45-15
TEL:03-3469-0511
「下北沢駅」東口(小田急線)、京王中央口(井の頭線)より徒歩5分
松居大悟監督作『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』
映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』
4月9日(金)公開
公式サイト https://byplayers.jp/
出演: 田口トモロヲ 松重豊 光石研 遠藤憲一 濱田岳 柄本時生 菜々緒 高杉真宙 芳根京子 勝村政信 渡辺いっけい 近藤芳正 津田寛治 西村まさ彦 本宮泰風 菅田俊 小沢仁志 /岸井ゆきの でんでん 北香那 木村多江 北村一輝 有村架純 天海祐希 役所広司
監督:松居大悟
松居大悟監督作『くれなずめ』
映画『くれなずめ』
4月29日(木)公開
公式サイト:https://kurenazume.com
出演:成田 凌 若葉竜也 浜野謙太 藤原季節 目次立樹/飯豊まりえ 内田理央 小林喜日 都築拓紀(四千頭身)/城田 優 前田敦子/滝藤賢一 近藤芳正 岩松 了/高良健吾
主題歌:ウルフルズ「ゾウはネズミ色」
監督・脚本:松居大悟
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