精通エピソードコレクターによる精通映画レビュー『ごめん』

 ある日俺(ナ月)の元に一通のマシュマロが届いた。

 早速俺は『ごめんね』なる映画を探した。だがそれらしきものが見当たらない。出てくるのはCMが印象的だった懐かしいジュースくらいだ。あのジュースは好きだった。俺は映画のことを忘れ懐かしいジュースの思い出に浸った。歌え水のように(ごめんね)、歌え果実のように(ごめんね)。

 それから数週間後、偶然調べ物をしている時にある映画の存在を知った。『ごめん』だ。

『ごめん』のあらすじを読んだ俺はあの時のマシュマロはこの映画を指しているのだと確信した。

『ごめん』のあらすじはこうだ。大阪に住む小学6年生のセイは、ある日授業中に精通してしまう。思春期の体の変化への戸惑い……性の目覚め……そして恋……だいたいそういう映画だという。
 精通とは男児の生涯初めての射精のこと。『ごめん』は精通映画なのだ。

 なぜこの情報であのマシュマロはこの映画のことだと確信できたのか、それは俺が精通エピソードコレクターであるからに他ならない。俺は精通エピソードコレクターとしてはちょっとしたものだと自負している。俺が運営しているnoteマガジン『みんなの精通』には現在約1400もの精通エピソードが集められており、当然その全てを読んでいる。ありがたいことに内容を厳選した書籍版も出させていただいている(全員買ってください)。

 そんな精通に精通している俺に、精通の映画を見てみてくれというオススメに違いない。

 このナ月、現実の精通エピソードは死ぬほど読んでいるがフィクションの精通へは目を向けたことがなかった。精通エピソードコレクターとして一歩前へ進むチャンスに違いない。というわけでDVDを買った。

 それでは本作の「精通」の要素に着目してレビューしていこう。タイトルには精通映画レビューと書いたが、どちらかと言えば映画の精通レビューというのが正しい。

 さて上映開始から1分半、国語の授業で『赤い実はじけた』をなぜかギンギンに勃起しながら音読する主人公のセイ少年。勃起したちんこが気になって仕方がないらしい。そんな勃起の仕方みてる方だって気になる。そして突然その瞬間はやってくる。

「アァン! アァ……はぁ……」

 恍惚の表情を浮かべるセイ少年。我に帰ってトイレに駆け込み、パンツを覗いて絶叫。

「おしっことちゃうやん!」

 そしてタイトルロゴ『ごめん』の文字がドーン。

(C)2002「ごめん」製作事業委員会

 精通ムービーだとは聞いていたがこんなに早く精通するとは思わなかった。

 さて射精には大きく分けて三種類あることをご存知だろうか。自慰や性行為など性的な刺激による射精、寝ている時に射精する夢精、そして目が覚めている時に性的な刺激なしに射精する「遺精」だ。

(C)2002「ごめん」製作事業委員会

 セイ少年の場合は「遺精」だと考えられるが、映画の描写からすると勃起したちんこがパンツに擦れた刺激で精通しているようにも見える。表情からは精通時には快感を感じている様が見て取れる。(原作だとシチュエーションが違うらしい)
 どちらにせよ、「おしっことちゃうやん!」のセリフから事前の性知識はなかったことが推測される。
 見慣れたちんこからおしっこ以外の液体が出る、相当なショックだったことだろう。事前知識があったとしても実際に体験するとショックなのに、知らないまま体験すると間違いなく病気を疑ってしまう。よく考えてみろ、ちんこから粘液だぞ。そんなのに慣れてる大人の方が異常だ。

 ちなみに『みんなの精通』に集められたエピソードから得られたデータによると、精通時に快感があるかどうかは約半々、しかし遺精の場合はどちらかと言えば快感がある方が珍しい。また精通時の年齢は小五~小六が全体の50%を占めている。知識は追いついていなかったものの、遅くも早くもない。来るべくしてきた精通だと言える。

 男性のみなさんは、自分が精通した時のことを覚えているだろうか。誇らしかった人、嬉しかった人、戸惑った人、ただ受け入れた人、そして憂鬱だった人。色々な思いがあったはずだ。
 セイ少年にとっては精通は憂鬱であった。そしてこの精通を発端に、映画ではセイ少年の性の目覚めやモヤモヤが繰り広げられていく。

(C)2002「ごめん」製作事業委員会

 無意味にちんこのサイズを測る。女の先生の胸が急に気になり出す。あと初恋。初恋ですってよお前。このセイの初恋相手の女の子がスーパー可愛い。恋しそうになる。俺もう31歳なのに。

 本作で精通シーンの次にオススメしたい見所はセイの母親。息子の精通を知った母親の言動があまりにも無邪気すぎてグロい。「お汁」「お汁」と大騒ぎする姿は頼むからやめてくれと土下座したくなってしまう。あらゆる拷問シーンより怖い。

(C)2002「ごめん」製作事業委員会

 真の悪は自分のことを悪だとさえ認識していない。

 ところで作中で精液のこと「お汁」って呼んでたんだけど大阪はそうなの? 大阪弁? あと精通したこと「蛇口が開いた」って言ってたんだけどこれも大阪弁?

 この映画は正直派手ではないし、特別なことは何もおこらない。ただの小学生の日常と言えばそれまでだ。しかし精通とは男の人生における大事件。もう二度と精通前には戻れない。そんな大事件と、それに翻弄される男が運命と闘う姿を描いた映画。そういうこともできるだろう。

 他に精通シーンがある映画をご存知だったらナ月までお知らせください。見るかもしれない。

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