朝イチを逃しても“勝てる”愉しみ方
行かずにごちゃごちゃ語るより、行って自分で攻略したい!沖縄行きの飛行機が雷で欠航してジャングリア入りが12:30になっても――とても楽しかった。
「行く」のがただ一つの正解。
テーマパークやお祭りを可能な限り“現場”で追う漫画家・ウェブライター、旭です。
近日は 万博は今日も“毎日新しいお祭無限開催”。東京からちまちま遠征、後半戦のリアルレポ | ムービーナーズ 、イマーシブ・フォート東京【フォルテヴィータに帰郷した日々】 ~9ヶ月間、私に”故郷”をくれたイマーシブ・フォート東京~ | ムービーナーズ などのレポート記事もあげています。
ジャングリア沖縄にも早々に行く計画を立ててました。USJ、イマーシブフォート東京などの森岡毅さん率いるチームのテーマパークは客を信頼しエンタメの新しい可能性を感じさせてくれるので、ジャングリアもきっと楽しい!
インターネット上の「一生現場に行かないのになんかいっちょ噛みする人」の声を間に受けても良い事はないのでみなさん、私の声を信じてください。
人生初の終便欠航 → 羽田泊 → それでも行く……!
数々のテーマパーク行脚経験により、準備は万端でした。
有料のプレミアムパスは数か月前から3種類確保。前日には沖縄入り、8時前に到着し9時入園で朝イチから整理券を取り、プレパス以外のアトラクションを押さえる算段。
…が、当日、搭乗時間後に飛行機が雷で欠航のアナウンス。悲鳴、途方に暮れる人々。保安検査後にロビーに戻されることあるんだ……。満席国内外のフライトはそれなりに乗ってきたけれど、完全な欠航は初体験。


しかしここで止まったら全てが終わりです。
欠航のアナウンスを聞いてすぐ、怒号の飛び交う夜中の羽田で反射的に翌日の飛行機を抑える。値段は見ない。
やむを得ず羽田空港に夜泊。あのたまに見る羽田の野宿者ってこうやって生まれるんだ……。「本来ならもう沖縄にいたのに…」という切なさで胸が詰まりますが切り替えるしかない。




――けれどなんとか本物の沖縄の空と海、そしてジャングリア沖縄にいけました。




翌朝の始発便でも、ジャングリア到着は昼前になってしまう。当初の「7時台着→9時入園」は崩壊しましたが、ここで退かない。もう精神力の勝負です。遊びに行く事は遊びじゃないんです!!




体験① SKY-END TREKKING――“ガチで「私を殺す気かー!!」と叫ばせられる貴重な機会”
命綱を装着し、荷物はロッカーへ。いきなり“遊びじゃない”――安全が最優先だから、我々一般人は基本的に写真は不可。粛々と安全装置をつけます……。




「高所の足場を渡るので止まらず頑張りましょう!下がジャングルでキレイですよー!!」お兄さんの説明は単純。よくある網で守られた擬似高所ではない、ガチの高所が真下に口を開く。テーマパーク楽しむぞ!の勢いだけでここまで来たけど私運動できません。普通に怖すぎ。
足場がどんどん人には渡れないものになっていくので、私は足がすくんで小島で固まってしまったところ、スタッフのお兄さんに後ろから押されました……(多分助けてくれてるのですが、現場では殺されるとしか思えない)
「鬼!!鬼―っ!!」とうっかり叫んだ私に、
「鬼じゃなくて、お兄さんですよ~^^」と返す、達人の笑顔。
“空中で鬼と呼ばれがちな仕事”に磨かれたプロの台詞回し。心から感服したけどそれどころじゃないので絶叫しながら渡り切りました。
命綱のロープを握り込み過ぎて右手はしびれ、翌日から腕が最も筋肉痛。漫画家がして良いことだったのでしょうか…?
体験② パノラマダイニング――“凄まじいオペレーションと沖縄名産品が含まれたご馳走”






ランチ帯は整理券制。入ってすぐに整理券を取っていたので決死のスカイエンドトレッキング後に入ることが出来ました。食事もとても美味しいのですが、オペレーションが凄い。
沖縄食材を取り入れたプレートが速く・丁寧に出てくる。テーマパークは時間との戦い。スピード×質の両立は、戦い続けるゲストにとって大変ありがたいです。
攻略の初手としても最適解だった。流石私……!
体験③ バギーボルテージ――600mの“悪路の快楽”、娯楽施設で突如友人の命を預かる


挑んだのは子ども用ではなく、要・普通免許のアドレナリンチャレンジコース。約600m、激しい坂道や砂利道のわざと激烈悪路。映画のようなドライブが出来ます。
私はペーパードライバー。それでもハンドルを握り、同乗の友を乗せる。「死んでも大丈夫?」と友人に一応確認し、命を預かるドライブ。(テーマパークで起こる会話……?」
アクセルがどっちかも危うい状態からのヤバい車の運転、正直、楽しすぎました。
「私、運転うまいかも…」と一瞬よぎったけれど、過去に事故を起こしてエアバッグを出した女なので調子に乗らないと誓う。バギーしか乗りません。
体験④ ダイナソーサファリ――“圧倒的!まさにジャングリア沖縄にきたらこれだけは体験しておいて”




メインアトラクション!これは楽しい~。
観たことない凄い装甲車によるプロの運転で、悪路を本気で駆けて恐竜にめっちゃ襲われます。
森岡敦さんプロジェクトの醍醐味である、キャストさんをふんだんに使った没入型イマーシブ体験系に大自然のフィールドとでっかい恐竜が加わって、めちゃくちゃ怖いくて楽しい。まさに味わった事のないド迫力のアトラクションでした。
キャストの演技が導線を作り、シェルター演出で緊張を跳ね上げ、恐竜の巨体が0距離で迫る。
いわゆる“ジュラシック風”というラベルには収まらないものをちゃんと創り出していました。人の命が失われる瞬間を皆で唖然と見上げるの、どういうこと……?
私は昼と夜で2回乗りました。席ガチャで視界も揺れも変わって何度も楽しめる。山の夜は短いのでナイトサファリの時間帯は貴重。おすすめです。
体験⑤ ファインディング・ダイナソーズ――“探す矢印”が涙腺を撃つ
吊り橋、トンネル、自走トロッコ、洞窟――自分の足で急流の赤ちゃんを歩いて探す回遊型アトラクション。
怖さは薄いのに、ドキドキは濃いです。 一歩が出る吊り橋、自分の手で本当に動かすトロッコ、暗がりで肩が触れる洞窟、
“私たちが迷子を見つけた!”という能動的な体験が素晴らしい。ティーダちゃんを発見するときの演出が素晴らしいので、是非ご自身で体験してほしい。
ジャングリアは「乗せられる」だけの施設ではない。“自分で進んで、発見しろ”と言われる施設です。








体験⑥ やんばるフレンズ――ショー形式で全部可愛い。
プレショーも必見、目が足りない。もっとキッズやご家族の方、恐れず入ってくれーっ!
飛べないヤンバルクイナとお話出来ます。私は人間以外の生き物に疎いため、やんばるクイナが飛べないという事も知らなかったので大変勉強になりました……。
飛べないやんばるクイナに飛行機が飛ばなくて……と涙ながらに話してしまいました。
ゲストと会話形式なので、一度として同じ公演はないであろう豪華さ。私が行ったときはお客さんが少なく、キャストさんの演技を独占してしまってオタク的には嬉しかったのですが、もっと満員にしてあげたいっ……!
ひろし(プレショーで出るキャラクター)のために……!


体験⑦ インフィニティスパ――“星まで届く露天”というラグジュアリー


ここも写真不可(“遊びじゃない”というより、全裸なので)。
何も遮られない夜空を見上げながら、ラグジュアリーなスパに身を沈める。
東京生まれの私にとって、全裸で湯に浸かりながら見た満点の星は、忘れがたい初体験でした。女湯は覗き見防止で露天風呂の景観が悪かったりするのですが、ここは覗きようがないので無限に広がるジャングルと星空が見える。山が深い……。
ここは普通に凄く良いスパです、駆け足の入浴だったのが勿体ない。
体験⑧ ショップ――“沖縄×テーマパーク”のハイブリッド、幅があって凄い。


エントランス側のVILLAGE BAZAAR。
ちんすこう、やちむん、恐竜×かわいい、大人アパレル、機能雑貨まで、レンジが広い。
イマーシブフォート東京でも感動したのですが、お土産すごく工夫されてます。沖縄名産品とのコラボが多く、 「買うものがない」は起きにくい。老若男女で必ず手が止まる棚がある。
オンライン非販売の“ここでしか買えないもの”がほとんど。
体験⑨ 花火――“近さ”の暴力、やんばるの夜が開く
近い。とにかく花火が近い。
ベストスポットで観れました。おすすめはダイナソーサファリ周辺。
気球がラスボス戦みたいに映えている。


というわけで大変楽しめたジャングリア沖縄。
でも勿論大変だった点も多々ありました。対策も含めてまとめておきます。
“ネットの声”とは違う“現地の手触り”――実際行ったジャングリア沖縄のここがちょっと大変!注意と対策。
①スコールがヤバすぎる。


侮っていたのはスコールの凄さ。
といっても侮ってないんですよ。わかっていたので、私はレインコート/レインパンツ/ブーツカバーまで用意していたのに、装備する隙がないほど急に下着まで濡れる雨が来る。
雨雲を見ていたらわかるのですが、 ダイナソーサファリ中に降られた油断もあった。
“雨雲レーダー”より“自分の目”――空の色を見て、野生の勘でやばそうならレインコートとスニーカーカバーをした方が良いですね。


施設側へのお願いとしては、雨をしのげる中間避難のハブがもう少し増えると助かると思いました。パラソルや屋根が少なくて逃げ場がないんですよね……。
旅先でスニーカーが濡れたら終わるのですが、この時終わりました。
※ジャングリアさんの対応の良さとして、スポーツアトラクションの際にタイツとシューズを借りれるのが凄くよかったです。基本はスニーカーが推奨されてる施設なのでスニーカーで行くべきなのですが、あまりに雨がひどい場合、スコール前提でサンダルで行って、スポーツするときにシューズを借りるのもアリかもしれない。
また、各地に傘が置いてあって何処でも返せるのも助かりました。勿論折り畳み傘はもっているのですが、雨量すごすぎて追いつかないです……。
②車前提。
専用バスなど頑張ってくれているのですが、本数が少なくて、今回のようにやむを得ず遅れてしまった場合の交通手段が特に限られました。基本はレンタカーや車で来ることが想定されている土地なので仕方ない事とはいえ、ちょっと大変でした‥‥。
奥まりすぎたところに造ったから当たり前なのですが、奥まりすぎていて空港からの道が永遠。東京から大阪とか余裕でいける時間がかかります。だからこその雄大な土地なのはわかりつつ、車のない人類にももう少し優しくしてくれれば‥‥。
タクシーも呼ぶのが困難で夜駐車場を追い出され、遭難するかと…!
③アトラクションの満足感と安全と引き換えに回転率が悪い。
雑な管理で危険なのが一番よくないので、これも全く持って仕方ないのですが、スポーツ系のアトラクションの一日の体験できる人数が極端に少ないですね。とはいえちゃんと装備をつけさせないとならないし、かなり自主性に任せられているので人を詰めても危険です。体験できたら凄い満足度ですが、朝出遅れたらスポーツ系アトラクションは全ての勝負が決まってしまう。とはいえ山は夜いるところではないし、仕方ないかも‥‥。
でもまぁ、そこは森岡毅さんのテーマパークだから、普通に改善されると思います。しかし一方で大好きだったイマーシブフォート東京が9ヶ月でテーマパークの形ではなくなってしまったばかりなので、油断大敵‥‥。
広告と距離――オタク以外に如何に届けるか……
いくら天才マーケター森岡敦さんの仕事とはいえ、IF東京を9ヶ月で失った私としては、ジャングリア沖縄のことも勝手に心配しています……。
私が行った段階でお客さんが少なめだったことや(飛行機が欠航してたからお客さん少な目なのは当たり前説もあります)この野外施設でどう寒い冬を越すのかなど、勝手にハラハラ。無関係な私がハラハラしても仕方ないのですが、させてくれ……。
この施設はいわゆるキャラクターなどのオタク向けというより、一般ご家族層、お友達同士の旅行などがメインターゲットかと思われます。
沖縄のへの距離を考えると、大阪くらいなら体験価値が高ければ通う私も、流石にすぐにリピートできる距離ではありません……。キャラ売り出来ない以上オタクの集客は難しく、かと言ってふらっと行ける距離に住んでる人は少なく……。かなりのやる気のある人だけが辿り着けるテーマパーク感が否めず。でもテーマパークにかなりやる気のある客層ってどこ?私?
参考:ジャングリア基本情報
- 場所・コンセプト:沖縄北部・やんばるの森。「Power Vacance!!」=都会にない興奮と贅沢を自然で。
- 営業時間:日によって変動。営業カレンダー要確認。チケットブースは概ね開園1時間前目安。スパは別時間帯。
- チケット:①1Day、②スパ、③パーク&スパ、④プレミアムパス(オプション)。公開時参考例として大人6,930円/子ども4,950円。最新は公式販売ページで。
- 整理券&アプリ:一部アトラクションは無料整理券を公式アプリで先着取得。入園前に連携しておく。
- プレミアムパスの本質:有料の優先体験枠。整理券対象でも指定時間で入れる枠があり、混雑帯の時短に効く。ショー優先などセットもあり、日程で変動。
まとめ “森岡理論”のテーマパーク――お客さんはゲストではなく“一緒に没入する共演者”
ジャングリア沖縄を構想したのは森岡 毅さん(刀 CEO)。
USJでの再建やイマーシブフォート東京には建物内の造り込み命でしたが、今回は自然と共存してイマーシブ体験が出来る、期待通りの面白さでした。
氏の「開けてからが勝負」の言葉どおり、初期の混乱すら走りながらチューニングしていく前提で設計されている様に感じます。テーマパークは生き物……!
そして、ここが私が感じた本質。
「我々はただのゲストではなく、同時にパークを共に盛り上げる仲間」――私が森岡さんのテーマパークが好きな理由はここなのですが、このメッセージの濃度が高い。
受動の「全部お任せで楽しませて」はという人には刺さりにくいかもしれない。
それくらい能動的に自分で探して、自分の手で冒険する事がとても重んじられています。
これはなんでも動画で済ましたりAI生成する現代とは逆の、非常に原始的な物理体験を重んじている。
動画でアトラクションを撮れば済むというものではなく、本当の意味で現場に行かないと体験できません。フォトスポットだけの施設しか創られないこの時代に、こんなにも自主的なアドベンチャーが出来るテーマパークが造られるのは凄く挑戦的だと思います。
挑戦って大事!!我々も挑戦されなければなりません!