どうも、ゲル山ゲル子です。


突然ですが、ゲル子は『行き止まりの中にあるひとつまみの救い』がある作品が大好きです!!
なんだそれ?って人も多いと思います。何故ならついこないだ作った言葉なので、この世に存在しないから知らなくて当然じゃないかな。
この言葉が出来たのはツイッターでバズっていたある漫画を読んだ時。
この漫画、大好き。
龍村景一さんの漫画、このひとつ前に描かれてた『おクスリの時間です』もとても良かったというか、個人的にすごい刺さった。
なので、まず読んでほしい!読んで!
この漫画の素晴らしいところ、普通はSFとして「データとしての自己は本当の生命なのか?」という使い古された、王道なテーマを使うところをあくまで要素の一つにしてあってメインテーマじゃないのがまず凄い良いよね。
「自己は自己として存在が既に在るのでその先の話をする」という、人間的な妥協だけど前向きなキャラ行動理念はかなり人間らしくてリアリティラインが高く設定されてるように感じた…
キャラクターデザインとか色々「ギャグマンガなのかな?」と思えるような点が多くて、リアリティが無いように見えるのに、違和感なく引き上げてるあたり漫画の妙だ。
この漫画をラストまで読んだ人ならわかると思うんですが、最後の彼女の言葉に「救い」を感じたんです。その「救い」によって状況が改善するわけじゃなく、彼らは文字通り行き止まりから先に進むわけじゃない。でも、それがとても美しい…。
先へ進むための救いや希望じゃなく、その時を迎えるまでの「心」への救いなんですよね。
こういう作品がとても好きです!
なので、個人的にいくつかこういった気持ちになった作品を集めてみました。
今回の記事のテーマ上ネタバレを超含むので、それでもいい&ゲル子みたいにひとつまみの救いがある作品が大好きだから知りたいという人は是非覗いてみてください!
『 ダークシティ(1998)』


とあるホテルで目を覚ますが、自分が何者なのかも分からなくなっている男。ヒントは「シェルビーチ」と書かれた絵葉書が一枚とフラッシュバックする海の映像。
次々と出てくる情報に「街がどこかおかしいのか?」「それとも男が狂ってるのか?」とハラハラしたミステリーサスペンス的な内容なのに、途中から超能力バトルに発展するジャンプの打ち切り作品みたいだけど超面白い作品。


たまによくある「途中からジャンルが変わる映画」の一つだと思ってて、その作品たちの中でも特にストーリーがぶつ切りにならないで、すんなりシフトしているぐらいお話の完成度が高い。
しかも、この作品は映像面でも相当キマってるんだよね。監督のアレックス・プロヤスの初期の作品「スピリッツ・オブ・ジ・エア」とか「クロウ/飛翔伝説」なんかも映像が素晴らしいんだけど、本作ではかなり先進的かつ独自性が高い映像表現もある。
その一つが「ビルが変形しながら街が姿を変えていく」という、MCU作品の「ドクターストレンジ」まんまの表現がある。これを1998年に今観ても不自然ではないレベルでやってるんだから凄いよプロヤス。
今や「キングオブエジプト」を撮った監督だけど、全く雰囲気違うので本当に同じ監督なのか困惑するレベル。
この作品のラストは正に「行き止まりの中にあるひとつまみの救い」だと思ってるんだけど、多分人によってはもっと希望にも捉えられるし絶望を見ると思う。
それでもこの映画を視聴した全員があのラストに観た光景を「美しい」と感じたはず。いや、感じて欲しい。
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017)』


舞台はフロリダのディズニーワールドのお隣あたりにある安モーテル。
シングルマザーと娘の心温まる話…という感じでも実はなくて、母親は職についておらず娘と一緒に詐欺をしながらその日暮らしをしている。
安定しない生活の中でジリジリと辛い現実が見え隠れしつつ、モーテルに住んでる子供同士で遊ぶ様は楽しい現実もある。そんな辛さと楽しさが混在している作品。
とてもつらい…


モーテルがド派手なパステルピンクなせいも相まって全体的にカラフルな色彩の画面が多く、子供のクソガキ感もあるから明るい雰囲気なんだけど時折挟まる現実との温度差に顔の筋繊維を全部殺されそうになる。
あと、貧困さもディズニーワールドの客が近くにいる事でより際立つんだよね。観光客相手に少しずつ貰ったお金でアイスを買って子供3人で食べるというシーンとか、子供だから可愛いように見えて単に物乞いでしかない。そういう感じで暗くなり過ぎないけど心には確実に蓄積する貧困の差し込み方が上手い。


でも間違いなく子供たちにとっては夢のような時間と空間になっているんです。なっているからこそこの映画終盤に訪れる『終わり』がより残酷で辛いものにもなっている。
というか、今思うと初見の時は終盤まで完全に油断してたので今まで書いてた「見え隠れする辛さ」のようなものは見えてませんでした。
あぁ…この辛い現実はただ辛いだけのものになってしまうんだ…と思っていたその時、突然として雲行きが変わる。この母娘が救われる事は恐らくないんだけど、子供たちが見せてくれた精いっぱいの現実逃避は幻を得て救いに成った。
まさしく『行き止まりの中にあるひとつまみの救い』映画だと思う。
現状この作品が1位です。
まとめ
という事で1位は『フロリダ・プロジェクト』でしたが、そもそも「行き止まりの中にあるひとつまみの救い」通じてますか?
勝手に作った言葉だからここまでピンと来てない?でも、もしなんとなく分かったら「あぁこれそうかも」と思ってくれると嬉しいな。
それじゃあ終わり!
- 森岡毅さんを信じろ!こちらの楽しむ気持ちに応えてくれる”ジャングリア沖縄”
- サキュバスのメロメロ 27話/マー
- ぼっちメシとかとは何の関係もなく愛と信仰について問いかける良作……いやマジでなんスかこの邦題!?『孤独のススメ』
- 『RED ROOMS レッドルームズ』批評――スプラッタシーンの一切ないスプラッタ映画。無責任な傍観者の暴力性
- ホイホ・ホイホイホ/ほしつ 15話
- 呪術廻戦とエヴァンゲリオンの比較、そして廻る呪い関連
- 再読のススメ 範馬勇次郎の『変遷』について
- ぢごくもよう 第五十一話『山犬の夜』
- サキュバスのメロメロ 26話/マー
- 「この人だ〜れ?」「パンダだブー」「うつしちゃえ!」ジャック製菓の駄菓子を開けまくる