今更だけどアレ見よう『タクシードライバー』/ミラナ・ラヴィーナ

ミラナ・ラヴィーナ

初めまして、こんにちは!ミラナ・ラヴィーナと申します。YouTubeで映画の話をしたりでかい男の尻を追いかけ回したりしているVTuberです。

平均的な人よりはちょっと多く映画を観てるかな?という自負のあるわたしですが、新作を優先しがちでいわゆる「往年の名作」を観るタイミングが無いというのが悩みです。そういう方、意外と多いのではないでしょうか。

ということで、見逃し続けてきた有名作品を観てレビューをする!というテーマで今回から記事を書かせていただくこととなりました。ムービーナーズさん、名作履修機会を下さってありがとうございます!
テーマの特性上すでに語り尽くされている作品が多くなるかとは思いますが、劣情強めのBLオタクという視点をフル活用して、あまり類を見ないであろう独自不真面目感想(ときどきちょっと真面目)を展開していく所存ですので、どうぞよろしくお願いします!

記念すべき1作目は『タクシードライバー(76)』です。
わたしはあまり気持ちがよくない映画が好きで、今作はそういった作品としてよく名前が挙がるのでずっと気になっていました。あとにわかながらデ・ニーロのお顔とうますぎて笑えてくるほどの演技力が好きで、そんな彼の出世作というのもいつか観るべき映画リストに入っていた理由でした。

本作は1976年公開、監督はマーティン・スコセッシ、主演はロバート・デ・ニーロ。このスコセッシ監督とデ・ニーロとの関係性にオタクとして言いたいことがめっちゃあるのですがそれは後述するとして、ひとまずあらすじ。
ベトナム戦争から帰還した主人公トラヴィスは夜間のタクシードライバーの職を得る。気になる女性とデートしたり、ワケありっぽい若い娼婦を乗せたりするうちに、やがて危険な思想が彼の心を支配し始めて……というサスペンス映画です。(サスペンスでいいよね?)

©1976, renewed 2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

戦争で受けたPTSDに苦しみうまく社会に馴染めないベトナム帰還兵の若者、今でいう「無敵の人」による無差別な暴力が引き起こす結末の重さなど、アンバランスでヒリついた世情をよく表していて、後年の作品に大きな影響を与えたと言われているのも納得の名作でした。全編通してイヤ~な気持ちにさせてくれるストーリーがかなり好きでした!

最近では『ジョーカー(19)』は有識者たちの考察や批評を読むと必ずと言っていいほど『タクシードライバー(76)』のオマージュについて言及されてましたよね。奇しくもデ・ニーロも出てるし。
まあまあ強めにDCヒーローが好きなわたしとしては、確かに何もうまくいかない哀れな男が大事件を起こす……というプロットは似ているように思いますが、『ジョーカー(19)』については全部虚言でアーサーなんて男は存在しないと思っているので(ジョーカーってそういう奴なので)『タクシードライバー(76)』ほど悲惨じゃないと思っています。
あの話、真に受けたら負けと思ってるというか……個人の感想なんですけど……。続編の公開で全部ひっくり返されそうなので今のうちに言っちゃお!

©1976, renewed 2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

『ジョーカー(19)』の話は置いておいて、一番キツいな~と思ったのは気になる女性とのデートでポルノ映画に行くシーンでした。自分がデートに誘われる側で、まあまあ良いかなって思ってた人に初デートでポルノ映画に連れていかれたらそりゃあキモいしナメてんのか?と思うじゃないですか。多くの人がそうだと思います。
でもその感覚を主人公がいまいち理解していないというのが本当につらかった。このシーンまでにも彼が壊れていることを示す描写はいくつかありましたが、ここで彼と世間との断絶が明確になったのが残酷すぎて……。

ついでに言うといよいよ大統領候補を襲うぞとなったときに髪型をモヒカンにしていたシーンでも同じ感覚を味わいました。
こういう「明らかなズレ」の描写に弱いです。好きだけどキツい。

それから、観終わったとき、正直「いやお前生きてるんかい!」って思いませんでした?わたしは思いました。あの感じで生還してんのかい!しかもヒーロー扱いされてんのかい!
エンディングが流れるまで割とマジで夢オチを信じていました。だってこんなの絶対肯定しちゃダメなやつじゃん!

©1976, renewed 2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

大統領候補を殺せなくて半ば八つ当たり的に選んだ相手がたまたまギャングだったから称賛されたけど一歩間違えれば大犯罪者だし……てか暴力の捌け口欲しさにそのうち再犯しそ~……と薄ら寒くなる終わり方、観た瞬間はびっくりしましたが、正直めっちゃ好きです。
最後にヨリ戻したがってそうな女をフってやったぜみたいなドヤ感を見せてくるのもめちゃくちゃ嫌すぎて最高でした。

そしてここからは不真面目感想なのですが、実は懇意にしている映画オタクコミュニティ内の友人にリキ入ったデ・ニーロのオタクというのがおります。
そいつが常日頃から「デ・ニーロはスコセッシ監督のミューズ」とうわごとのように言っていたので、デ・ニーロ作品は『ゴッドファーザー PART II(74)』と『キラー・エリート(11)』(わたしはステイサムのオタクのため)くらいしかちゃんと観た事がないわたしも、その情報だけは受動喫煙(原作に触れずオタクのうわごとで知識を得る事)で知っておりました。

で、いざ監督の撮るデ・ニーロを観たらこれがま~キレイに撮られておりまして……もとよりデ・ニーロが美人というのはありますが、画面越しに監督の好きだ……という気持ちがほとばしっているのが感じられましたね。やっぱ推しを撮るのが一番楽しいよね、分かる。

©1976, renewed 2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

そして監督本人が出ているというのをリスナーさんに教えてもらって本当にビビりました。
しかも1カットでカメオ出演とかじゃなくて結構ストーリーに影響与えるタイプの出方してる。あの謎の乗客にそそのかされたことで主人公はマグナムを選んだわけですよね?
別に全然普通の役者を使ってもよかったところに自分が出演してゴリゴリに自我出してくるのこわいよ~!(褒めてる)

監督と主演俳優の並々ならぬ関係の深さを観る映画という意味でも非常に満足度が高い作品でした。

というわけで『タクシードライバー(76)』を観てみたわけですが、名作と言われている作品って今更観てもかなり面白いので本当にすごい。観る機会を逃し続けていたあなたもこのタイミングでいかがでしょうか?

次回は何を観ようかな!

タクシードライバー作品情報

©1976, renewed 2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
タクシードライバーとして働くベトナム帰還兵のトラビス。戦争で心に深い傷を負った彼は次第に孤独な人間へと変貌していく。汚れきった都会、ひとりの女への叶わぬ想い――そんな日々のフラストレーションが、少女との出逢いをきっかけに、トラビスを過激な行動へと駆り立てる!!

スタッフ
監督:マーティン・スコセッシ
製作:マイケル・フィリップス
製作:ジュリア・フィリップス
脚本:ポール・シュレイダー
撮影:マイケル・チャップマン
音楽:バーナード・ハーマン

キャスト
トラビス・ビックル:ロバート・デ・ニーロ
ベツィ:シビル・シェパード
アイリス:ジョディ・フォスター
ウィザード:ピーター・ボイル
トム:アルバート・ブルックス
スポーツ:ハーベイ・カイテル

引用元
https://www.sonypictures.jp/he/2302

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