映画館では今、『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』と『トイ・ストーリー5』が大ヒット上映中。それに付随して、前者の派生元となったドラマシリーズ『マンダロリアン』などの過去作をチェックするために、ディズニーのサブスクこと「Disney+」に入会した方も多いのではないでしょうか。
スター・ウォーズやピクサー作品、MCUなどの充実したラインナップの他、話題作『SHOGUN 将軍』や『ガンニバル』も揃う、強力な独占コンテンツが所狭しと並ぶディズニープラス。その中でも今回は見落とされがちな、とあるトイ・ストーリーのスピンオフ作品をご紹介。複雑化の一途を辿るこの人間社会を見つめるのは、その人間に捨てられたゴミだった!?
というわけで、『フォーキーのコレって何?』の深淵を覗いていきましょう。
まずはおさらいから。「フォーキー」とは、ウッディやバズたちをアンディから譲り受けた引っ込み思案の少女ボニーが、幼稚園の工作の時間に手作りしたおもちゃのこと。プラスチックの先割れスプーンをボディに、モールやアイスの棒を手足にして形作られたフォーキーはボニーのお気に入りのおもちゃになるのですが、彼(?)に突如として意思が宿り、他のおもちゃのように人知れず動き回るようになる、というのが『トイ・ストーリー4』の冒頭のあらすじです。
そんなフォーキー、出自が廃棄物であるがゆえに自認が「ゴミ」であり、当初はことあるごとにゴミ箱へ身投げを繰り返しますが、ウッディやギャビー・ギャビーとの触れ合いの中で人間とおもちゃの関係を知り、いつしか自分もボニーのおもちゃとしての役割に目覚めていきます。
彼は言ってしまえば生まれたばかりの赤ん坊のようなもので、彼の世話をする過程においてウッディが子離れを体験することで「役割」からの解放を、フォーキーが自らに課すおもちゃとしての使命にこそ『トイ・ストーリー』シリーズの哲学が織り込まれた、たいへん重要なキャラクターなのです。


いよいよ本題。『フォーキーのコレって何?』とはDisney+にて独占配信中の、10のエピソードで構成されたミニシリーズ。好奇心旺盛なフォーキーが気になったことを、ボニーの家で一緒に暮らす仲間のおもちゃたちに尋ねる、という内容となっています。
注目すべきは本作が扱うテーマで、「お金」に始まり「芸術」「時間」、さらには「愛」や「読む」といった人間の生態や感情にフォーキーが興味を抱いている点に、私たちは少しだけヒヤリとするべきなのかもしれません。それを際立たせるのが配信ページのあらすじ紹介で、熱量の低い文体のせいで余計に深みが増しているので、ぜひ一度チェックしてみてく


目に映るものすべてが「なぜ?」なフォーキーに、それぞれの哲学を語る人生(?)の先輩たち。先生役として登場するのはハムやレックスといった古参組から、ボニーの家で出会ったドーリーやミスター・プリックルパンツなどなど。彼らが持ち主の居ぬ間に何を語らっているのか以前から興味があったが、まさかこんな深いことを話し合っていたなんて……。
対象年齢も低いので教材向けコンテンツではありますが、だからこそ着地はタメになって面白く、時にはハッとさせられることも。例えば、「時間って何?」というフォーキーの疑問に対して、レックスはこんな例え話を持ち出します。


フォーキー「こんな時にどうかと思うけど……時間って何?」
レックス「時間が経てば忘れられる。恐竜はいなくなったんだ。いま地球上にいる鳥たちは恐竜の子孫だけど」
レックスはこのように、自身のモチーフである恐竜が辿った歴史を参照して、「過去」と「現在」の意味を語るのです。それでもフォーキーは産まれたばかりで、恐竜たちのように膨大な時間を過ごしたわけではありません。
両者の異なる射程により認知される「時間」の概念。ですがフォーキーは「今」を生きているからこそ、レックスとこうして語り合える時間を慈しみ、彼にある言葉を贈ります。そのどこかぎこちない、しかし飾らない言葉が、観ている私たちの心をそっと癒してくれるのです。


何でも知りたがり、でも難しいことはわからなくて、でもちゃっかり理解している時もある。そんなフォーキーが気になっちゃうこと、すなわちテーマ(エピソードリスト)は以下の通り。
1.お金って何?
2.友達って何?
3.芸術って何?
4.時間って何?
5.愛って何?
6.コンピューターって何?
7.リーダーって何?
8.ペットって何?
9.チーズって何?
10.読むって何?


ただのおまけ映像と侮ることなかれ。友達ってどこからが友達なのか、人はなぜ芸術を嗜むのか。そんな問いをふいに子どもたちから向けられて、満足に答えられる大人がどれだけいるでしょうか。フォーキーはそんなあなたの代わりに、人間という生き物の複雑で面倒で素晴らしさを子どもたちに教えてくれる……かもしれません。
一度サブスクに入ると、アレも観たいコレも観たいと思いいつの間にかマイリストが渋滞しがちなところ、本作は1エピソードが5分程度なので、その意味でハードルが低いのもポイント。日本語吹き替え音声は映画版のキャストが続投しており、フォーキー役はもちろん竜星涼さんが担当。キョウリュウレッドとはまた異なる無邪気な演技が本当に可愛らしいので必聴です。
また、Disney+ではその他の『トイ・ストーリー』のスピンオフ短編を網羅していて、中でも『トイ・ストーリー2』と『4』の間の空白の期間を描く『ボー・ピープはどこに?』は意外と知られていない名作。これを機にチェックしてみてはいかがでしょうか。
『フォーキーのコレって何?』はDisney+にて独占配信中。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/browse/page-cb73f583-4934-4a7a-ad2c-a8cae7184732







