「怪人トンカラトン」とは
全身に包帯を巻き、日本刀を持った姿で、「トン、トン、トンカラ、トン」と歌いながら自転車に乗って現れる、とされる都市伝説「怪人トンカラトン」。
30代前半~半ばくらいの方なら『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』に登場したトンカラトンのイメージが強いのではないだろうか。
1994年より、フジテレビ『ポンキッキーズ』内のコーナー枠にて放送された、怪談をモチーフにしたアニメ作品『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』10話に登場したトンカラトン。
人に出会うといきなり「トンカラトンと言え」と言い、それに従えば去っていくが、言わないと刀で斬り殺される。
また、劇中ではトンカラトンが「言え」とまだ言っていないのに勝手に言っても斬られてしまい、斬られた者はトンカラトンになってしまうという描写がなされた。
元々存在した都市伝説が上記のアニメ経由で急激に認知を広めたとされているが、超常現象研究家・並木伸一郎氏が原作本の版元へトンカラトンはオリジナルの創作なのか確認を行ったところ、制作者の1人の故郷での話らしいと確認できたもののその当人とは連絡がつかず、それ以上の詳細は明らかになっていないとされている謎の多い都市伝説である。
都市伝説や怪談に多い「問答」を仕掛けてくるタイプの怪異で、「トンカラトンと言え」という問いに対してそのまま答えるだけなので攻略難易度は低いが、アニメでは少年が一度突破したトンカラトンを探して名前を呼んだことがNG行為となり斬られてしまったことから恐ろしいエピソードとなっている。
口裂け女やテケテケなど、こうした都市伝説は映画などの創作作品のモチーフになることが多いが、トンカラトンに関しては強いキャラクター性と知名度を持ちながら上記の「花子さん」以外ほとんど創作に使われることがない。
そこで、ここでは貴重なトンカラトンを題材にした映像作品を紹介したい。
放送デキナイ 禁断 霊映像
地上波で放送できないほど衝撃的なため、制作中止やお蔵入りとなった映像を集めた心霊ドキュメント「放送デキナイ禁断霊映像」シリーズの第1作目に収録される「回収」という一編。
番組スタッフが取材中に失踪し、そのスタッフが取材現場に放置したカメラを回収に向かうというエピソードだ。
カメラの回収に向かうのは都市伝説が大好きな新人スタッフのエイザ(写真左)。
現場は廃墟ファンなら一度は耳にしたことがあるであろう有名廃墟の奥多摩湖ロープウェイ(みとうさんぐち駅)。
失踪した前任スタッフのカメラを探す中で、エイザは怪しい男に遭遇する。
上半身を包帯でグルグル巻きにした男は「トンカラトンと言え」と告げる。
伝承やアニメの描写では自転車に乗っているとされるが、本作では徒歩で突如廃墟に現れる不気味な存在として描かれる。
また、後の描写ではトンカラトンが増殖する描写もあるためアニメも参考にトンカラトン像を構築したことが伺える。
花子さんのアニメでは初回登場時、不気味で恐ろしい存在だったトンカラトンだが、回を重ねる毎にポップなイメージへと変化していった。
一方で、アニメ初回登場時のような不気味なイメージでトンカラトンを描いた『放送デキナイ 禁断 霊映像』は、トンカラトンファンにぜひ観ていただきたい作品だ(2021年1月現在Amazonプライムビデオで視聴可能)。
トンカラトン余談
トンカラトンの都市伝説の由来として、怪談サークル「とうもろこしの会」会長、オカルト研究家の吉田悠軌氏は、カシマさんの派生系なのではないかと考察する。
カシマさんやカシマレイコなど複数の呼び方が存在し、非常に多くのバリエーションが存在するカシマさん。
共通するのは、「過去に起きた悲惨な事件」の話を知った者が電話や夢で問いかけられるが、これに正しく答えられないと身体の一部を奪われ死ぬ、というもの。
トンカラトンと同様、問答を経て危害を加えるという怪異ではあるが細部は異なる。
しかし、カシマさんの噂の起源では「男性の傷痍軍人」だったとされており、そこからトンカラトンのビジュアルイメージが構築され、話も出来上がっていったのではないかと吉田悠軌氏は語る。
非常に謎の多い存在である「トンカラトン」。
詳しい方がいたらご一報ください。