僕の実家は、壁は砂壁で全室畳敷といった、よくある古いタイプの家でした。子どもの頃、マンション住まいの友達の家に遊びに行って、インターフォンモニターや玄関のオートロック、フローリングの洋室に憧れたもんです。
インターフォンモニター、オートロック、フローリングの洋室は僕にとって富の象徴で、この3つさえあれば外観が汚かろうが駅が遠かろうが気にならないので、家探しのハードルが低くすんでいます。
今回紹介するのは、そのインターフォンモニターが重要な要素となる『Inverted Angel』です。本作は、突然訪ねてきた見知らぬ女の子とインターフォンモニターごしに会話し、女の子の正体を探っていくアドベンチャーです。
疲れて眠っていた主人公を起こしたのは、インターフォンの鳴る音だった。荷物が届いたのだろうとインターフォンモニターを見てみると……
そこには見たことのない女性が立っていた。見覚えのない女性を訝しんでいると、スマホに「きたよー」と一通のメッセージが届いた。状況から察するに、送り主はこの女性のようだけど、トーク履歴も無ければ名前も見覚えがない。履歴が残ってなくて記憶にないということは、相当昔に連絡先だけ交換した相手なのだろうか。
僕なら、女性と連絡先を交換すること自体がかなりレアなので、そんな貴重なイベントがあれば忘れることはないだろう。
どうやら通知音がドアの外に漏れていたらしく、モニターの向こうの彼女が話しかけてきた。彼女の口ぶりからすると、バイトのシフトも把握されているようだ。まさかストーカーか?と警戒していると「なんで出てくれないの?恋人に対してひどくない?」と怒り出した。恋人……?
本作の目的は、主人公の恋人と名乗るこの女性と会話をし、正体を探っていくことだ。ストーカーだから主人公の情報を把握しているのか、それとも主人公が忘れているだけで本当に恋人なのか。
異性との出会いが無い僕なら絶対忘れるわけはない。つまり主人公は結構ナンパなヤツなのだろうか。彼女の正体だけではなく、主人公の性格や身辺についても推理していく必要がありそうだな。
会話の途中に彼女の正体について推理する場面があり、そこではプレイヤーが自由にテキストを入力する。入力した内容に応じて”だいたいのニュアンス”で判定され、その後の会話内容が分岐していくのだ。
入力した推理があまりに突飛な場合は「あまりしっくりこないな」と言われて再入力になる。「母親」は駄目だったので「義理の妹」と入力してみたら今度は通ったぞ!しかし主人公の中では正体がまだ確定したわけではなく、会話を続けてさらに探っていく。
義理の妹の場合、僕の親父が浮気をしたってことになるんだろうな。複雑な気分だけど、妹が出来るのはちょっと嬉しいな。僕には姉しかいないので、年下の可愛がる対象が出来るのは……
急にめっちゃ早口でまくしたてられる。やばいぞ、この娘ヤンデレ風だ!どうやら主人公の動向をずっと監視している上に、異性として興味を持っているようだ。腹違いとは言え血の繋がりがあるんだからそれはやばいぞ!
それどころか彼女の中では恋人関係であることは確定しているようだ。もしかしたら主人公が記憶を失っているだけで、本当に恋人なのかもしれない。
回答は選択式ではないため、一般的なアドベンチャーのように総当りで正解を探れないので、僕のように察しの悪いタイプの人はテキストを読んで怪しいところがあればメモをしていくのが良さそうだ。
義理の妹との禁断の恋が描かれるストーリーと思いきや、なんだか雲行きが怪しくなってきた。
プレイヤーは自由にテキストを入力できるんだけど、あくまでそれは分岐のきっかけなので、思っていた流れと全く違うストーリーが展開されることもある。
分岐ごとに彼女の立場や正体が変わっていく。彼女は一体何者で、自分はなぜ彼女のことを知らないのか……。
何を書いてもネタバレになってしまいそうなので、ヤンデレ風の見知らぬ美少女の正体をモニター越しに推理するという舞台設定に惹かれた方は、是非プレイしてみてほしい。
ただ、リアルな僕の場合、物語は進展せずに終わるんだろうな……と思いながらプレイしていました。
『Inverted Angel』はPC向けに800円で大好評配信中!
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https://inverted-angel.com/
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