アニメ映画『ジャーニー』公開前レビュー!某戦ゲーにハマっている筆者が見た結果、意外な関連性が…!/サウジアラビア初の長編アニメとGhost of Tsushimaの関連性とは!?

日本とサウジアラビアのアニメ制作会社が共同で制作したアニメ映画『ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語』が6月25日(金)東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7にて限定ロードショーします。

サウジアラビアとしては初の劇場アニメーションとなり、古代アラビア半島を舞台に、激しい戦いや神話を描いた作品です。

ビジュアルからしてアクション映画や歴史ドラマにも見える本作ですが、果たしてどのような内容になっているのか?今回は某戦ゲームに絶賛ドはまり中の筆者がレビューします!

※本記事では『ジャーニー』のネタバレはありませんが『Ghost of Tsushima』のネタバレを含んでいます。

アニメ映画『ジャーニー』あらすじ

古代アラビア半島にある貿易都市メッカ。信仰の厚い民が多く暮らすこの都市を狙って、アブラハと名乗る敵将が巨大な軍隊を率いて現れる。アブラハはメッカの民に対し、「信仰を捨て、カアバ神殿と聖なる石を破壊し、奴隷になること」を要求。これを断ればメッカの民は虐殺されてしまう。怒れるメッカの民は武器を手にし、アブラハの軍団と戦うことを決意する。その志願兵の中には、妻と子を持つ青年・アウスも参加していた。メッカの隊長からも一目置かれるアウスだが、彼には人には言えない過去があった。家庭を守り、過去を清算するために戦うアウスだが、アブラハの軍隊も強大な力と狡猾な戦略で、メッカの民に襲い掛かる。果たしてアウスたちに勝ち目はあるのか…?

日本×サウジアラビアによるタッグ作

©︎2021 マンガプロダクションズ 

冒頭でも書いたように、映画『ジャーニー』の注目すべきポイントは制作背景です。

本作はサウジアラビアのアニメ制作会社「マンガプロダクションズ」と、日本の「東映アニメーション」が手を組んで誕生した長編アニメ。制作も東京・リヤドで行われました。

また、映画などで歴史を扱う際に注視されるのが「時代背景のエビデンス」です。

本作は原案や演出においても、サウジアラビアのスタッフが監修しているお墨付き。プレスシートに記載されていた制作日誌には「アラビアでは太陽が赤いというイメージがないことを共有」などと書かれており、現地の人が見ても違和感がないように細かい配慮がなされています。

©︎2021 マンガプロダクションズ 

日本の制作陣からは、コナン君がパラボラアンテナで超絶スケボーをキメたことで知られる『名探偵コナン から紅の恋歌』などを手掛ける静野孔文監督をはじめ、脚本には『劇場版ONE PIECE STAMPEDE』の冨岡淳広氏。キャラクター原案には「逆転裁判」シリーズや「アニメ モンスターストライク」を担当した岩元辰郎氏が参加しています。

豪華声優陣が古代アラビア半島で荒れ狂う!

©︎2021 マンガプロダクションズ 

制作陣だけでなく、起用された声優陣も非常に豪華な本作。

主人公アウスの声を演じるのは「機動戦士ガンダム」のアムロ・レイ役をはじめ、「名探偵コナン」の安室透役でも知られる古谷徹が担当。信仰心もなく盗賊として戦いに参加したズララには「進撃の巨人」のリヴァイ兵長や「夏目友人帳」の夏目貴志を演じる神谷浩史、アウスの妻・ヒンドには「新世紀エヴァンゲリオン」で葛城ミサト役を演じた三石琴乃が抜擢されました。

アウスやズララを率いる小隊長ニザールには、「氷菓」の折木奉太郎を務めた中村悠一、メッカの志願兵をまとめるムサブ隊長には「ONE PIECE」のロロノア・ゾロ、「銀魂」の土方十四郎といった剣キャラに定評のある中井和哉が演じました。敵将アブラハには「龍が如く」の桐生一馬役で知られる黒田崇矢が起用されており、見渡す限りの豪華キャスティングとなっています。

アクション映画以上に、知識欲を刺激する作品

©︎2021 マンガプロダクションズ 

『ジャーニー』はビジュアルや題材からするとアクションものを想像するかもしれませんが、それ以上に古代アラビア半島に伝わる神話などの演出が印象的。「うおー!今から戦争じゃー!」と兵士の熱量がぶち上っている中で、(こんな時こそ思い出せ!●●の神話を…!)と壮大な回想に突入しちゃうことも。観客としては勢いをくじかれた感が否めませんが、この回想の映像がとても美しいです。

©︎2021 マンガプロダクションズ 

同時に「その神話とやら、もうちょっと知りたいな?」と思える演出にもなっており、アクション映画というより、観客の知識欲を刺激する美しい作品と言えるかもしれません。

しかし敵将アブラハをはじめとする精鋭部隊の凶悪な武器のビジュアルや、見ているこちらも「あぶねっ」と声がでてしまうアブラハとアウスの戦いは迫力あり!武器を振り回し、空を切る音が凄いです…。

■東映×サウジアラビアの初長編アニメと対馬ゲーの関連性とは?

冒頭でも書いた通り、筆者は戦ゲーこと「Ghost of Tsushima」にどハマりしている最中。(今頃?というのはさておき…)来る日も来る日も、いかに蒙古兵を討ち取ってやろうか考えるに飽き足らず、最近は映画を見ていると「あっ…ここツシマっぽいな」と無意識に考えている始末。

そんな筆者が映画『ジャーニー』を見て、思うこと…

□共通の声優さんが出演している
△日本(文永11年)も古代アラビア半島も、戦略や士気の挙げ方が似ている
〇神話や逸話にまつわる動物との関係性

意外とありました。

共通の声優さんが出演している

©︎2021 マンガプロダクションズ 

豪華声優陣が多数出演している『ジャーニー』ですが、その中で大勢の志願兵を率いるムサブ隊長「ツシマ」の主人公・境井仁の声優は中井和哉が担当しています。剣キャラに定評のある中井氏ですが、まさかここでも剣キャラで被るとは…。

©2020 Sony Interactive Entertainment LLC.

ムサブ隊長が志願兵の士気を上げる姿は、境井仁が迫りくる蒙古兵を次々に倒す姿を見せつけ、民の士気をぶち上げるシーンと共通したエモさがありました。(後術する”鑓川の戦い”が良い例)

△日本も古代アラビア半島も士気の挙げ方や戦略が似ている

©︎2021 マンガプロダクションズ

映画『ジャーニー』は激しい戦が始まる前日の夜から、戦いの終結までを描いた作品です。アブラハはメッカの民に対し、これでもかと無慈悲な条件を突きつける邪悪さを持ち、巨大なゾウを何頭も引き連れて相手の戦意を削ぐ狡猾な戦略まで見せてきます。蒙古兵の長コトゥン・ハーンでさえ、大人しく従う敵には平和を与えるなど、アメとムチの戦略を見せていたのに…。

蒙古兵の長 コトゥン・ハーン

©2020 Sony Interactive Entertainment LLC.

従わないものは虐殺するが、寝返れば平和的関係を約束する狡猾な策士。主人公・境井仁の伯父である志村も、拘束されながら「味方になれば高待遇を約束する」など誘惑をちらつかせている。映画『ジャーニー』でも、敵将アブラハが同じような条件をアウスに出すシーンがある。

しかしアウスは自らの過酷な出自を明かしたり、敵の勢力にひるむ自陣に対して、神話を持ち出して士気を上げます。「ツシマ」でも「鑓川の戦い」というエピソードで、蒙古兵が鑓川の民に降伏を促す場面がありました。鑓川の民は降伏せず、蒙古兵はアブラハのように、相手の体力を下げるために夜まで攻め込みません。しかし敵が攻め込むと、境井仁は鬼神の如く敵を斬り殺し、民の士気をブチ上げます。

国の文化などに関係なく、戦で兵士たちの士気を上げるシーンはやはりグッと来るものがありました。

〇動物と神話の関係性

©︎2021 マンガプロダクションズ 

『ジャーニー』ではアブラハの軍隊に巨大なゾウが登場しますが、その他にも神話や“神の御業”にまつわる動物も登場します。本編では大勢の動物たちを乗せる「ノアの箱舟」のエピソードが登場し、神話と動物の関係を知ることができました。

一方、日本でも神話と動物の関係性は大きく、対馬では鹿や狐が神の使いとして大切に扱われています。特に狐は重要なキャラクターであり、狐を虐殺する蒙古兵をメチャクチャに殺して仇を討つサブクエストまで存在するほど。ちなみに『ジャーニー』ではアブラハとの戦いである動物が加勢してきます。

はるか昔から動物の神秘的扱いは日本もサウジアラビアも同じなんだと感じられる内容でした。(昔の度合いが桁違いですが…)

今回は古代アラビアと文永11年の比較になりましたが、世界中の古くから伝わる戦いや神話を調べて比較するのも面白そう…。もちろん「Ghost of Tsushima」に限らず、戦をテーマにした映画やゲームが好きで、その時代背景も気になる方におススメしたい作品でした。

『ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語』作品情報

©︎2021 マンガプロダクションズ 

公開日:6月25日(金)より、東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7にて限定ロードショー

監督:静野孔文
脚本:冨岡淳広
キャスト:古谷徹、三石琴乃、神谷浩史、中村悠一、中井和哉、黒田崇矢
音楽:和田薫
キャラクター原案:岩元辰郎
エグゼクティブプロデューサー:イサム・ブカーリ、清水慎治
プロダクションスーパーバイザー:サラ・モハンマド
宣伝プロデューサー:泉谷裕
製作:マンガプロダクションズ、東映アニメーション
制作:マンガプロダクションズ、東映アニメーション、横浜アニメーションラボ、アーチ
配給:東映アニメーション

公式HP:www.journey.toeiad.co.jp

日本語吹き替え・英語字幕/上映時間:1時間50分/音声:5.1ch/スクリーンサイズ:ビスタサイズ

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TS○TAYA→ミニシアター勤務を経て映画ライターをやっています。 謎な映画まとめ記事や、ネタ系ドキュメンタリー映画が好きです。 インドアなのに映画Tシャツを見ると買ってしまうのが最近の悩み。 あと映画ライターと名乗っておきながら、考察記事を書くのは死ぬほど苦手…。(観るのは大好き) Twitter→@serial_mai

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